はじめに
ポルシェ・カイエン・ターボは、2000年代最初の10年間で、もっとも賛否が別れたクルマではないだろうか。しかし、もしこのクルマが、2002年以来向けられてきた批判的な意見をすべてかいくぐり、強烈なアンチの存在をものともせず、明らかに利幅の大きいビジネスモデルを確立していなかったら、今のマーケットの状況は多少なりとも変わっていたかもしれない。
はたしてランボルギーニ・ウルスやベントレー・ベンテイガ、ロールス・ロイス・カリナンが続き、ハイパフォーマンスSUVのカテゴリーが成立していただろうか。さらには、プロサングエなる車名が取り沙汰されているフェラーリのSUVは、生まれることがなかったかもしれない。
つまりこのクルマは、経済的に余裕のあるひとびとが、本格的に速くラグジュアリーなSUVに高額な出費をいとわないという事実の、揺るぎない確証を示した最初の例だといえる。そして今回テストするのは、そのカテゴリーのトップを奪回するために投入されたモデルだ。
このカイエン・ターボGTは、カイエンのラインナップにおける新たな最強グレードだ。ルーフを低めたカイエン・クーペにのみ設定され、アクティブ制御のサスペンションや四輪操舵、先進技術を備えたブレーキといった、これより下位のグレードではオプションとなるアイテムも標準装備。さらには、数多くのシステムが全面的に改修され、大幅にアップグレードされたV8エンジンを搭載する。
これは、カイエンのダイナミクスに関するポテンシャルを、フルに引き出すことを目指したクルマだ。狙い通りになれば、欧州の高級車ブランドを震え上がらせる存在となるはずだ。
われわれとしては、はたしてポルシェが、2.3tもの高級SUVのハンドリングをいかに仕上げたか、また、加速や制動などのタイムはどれほどのものか、それを徹底的に確かめたい。驚きの数字をお見せすることになるだろう。
意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆
3代目となるカイエンは、アウディQ7やベントレー・ベンテイガ、ランボルギーニ・ウルスといったフォルクスワーゲングループの兄弟車に先駆けて現行世代へ移行した。2017年のことだ。
それらのモデルと同じく、プラットフォームはMLBエヴォを使用するが、ホイールベースはほかより短い。ベンテイガやQ7/Q8より100mm、ウルスに比べればそれ以上ショートだ。もしも本質的に俊敏な大型SUVを探しているのなら、まずそこは好材料となる。
この手のクルマは無駄が多いように思われるが、ポルシェは間違いなく軽量化や低重心化を視野に入れて、ターボGTの設計や仕様決めを行なっている。それこそ、わずかながら軽く、屋根が低いカイエン・クーペのみをベースとしている理由だ。
さらに、カーボンルーフが標準仕様で、車体の一番高い部分から重量を削減している。カイエン・クーペに装備されることが多いグラスルーフと比較した場合、その差は22kgにもなる。また、チタンエキゾーストは、ターボ用より18kgも軽い。カーボンセラミックブレーキも標準装備される。
テスト車の実測重量は2251kg。2018年にテストしたターボを50kg、1年前に計測したウルスを34kg、それぞれ下回る。
ターボGTの車高は、カイエン・ターボより最大17mm低い。走行モードによって変化する実質的なスプリングレートは、3気室式エアサスペンションの車高調整機能により、ほかのグレードより10~15%高めている。
多岐にわたるマテリアルの変更は、アダプティブダンパーのPASMや、ターボよりロック率を強めたトルクベクタリング機能付きリアディファレンシャルのPTV、四輪操舵システムといった各デバイスにも及ぶ。アクティブ制御のアンチロールシステムも、全面的にチューニングが見直された。
フロントのサスペンションジオメトリーは見直され、ほかのカイエンよりワイドな22インチホイールを許容する。ネガティブキャンバーは0.5°強められ、横グリップの限界値を高めた。前後とも、ヘルパースプリングは長く、マウントは硬くされている。タイヤはハイパフォーマンス銘柄のピレリPゼロ・コルサがスタンダードだ。
ボンネットを開けると、大幅に改修された4.0LV8が姿を表す。ベースとなるのは、ポルシェ主導で、フォルクスワーゲングループが数年前に新開発したユニットだ。最高出力は641ps、最大トルクは86.7kg-mを発生。ウルスよりパワーはわずかに劣るが、トルクは同一で、これはグループ内の戦略が絡んで決められた数値なのだろう。
カイエン・ターボとは、数多くの構成部品が違っている。クランクシャフトやピストン、コンロッド、チェーン駆動系、ターボとインタークーラー、そしてエンジンマウントが専用品だ。さらに、ラジエーターが3基追加され、圧縮比はわずかに下げられ、高められたブースト圧に対応させている。
内装 ★★★★★★★★☆☆
ターボGTのキャビンは、典型的なポルシェのそれだ。高級感と質感は控えめだが、走り志向で、ドライビングへと駆り立てるような雰囲気がある。
快適で、華美さは抑えた室内は、大人が前後にふたりずつ乗り込める4シーターだ。特別に至れり尽くせりな大型SUVというわけではない。身長が190cm近くなると、後席では頭頂部が天井に触れそうになるだろうし、中央部はプラスティックの小物入れトレイが設置され、シートもシートベルトもそこにはない。
それでも、どの位置に座ってもレッグペースは広々としていて、シートの快適性もおおむね良好。40:20:40分割可倒式のリアシートは、フォールドしても完全にフラットにはならないものの、嵩張る荷物を積むのも拡張するのも容易で、家族旅行の荷物くらいは楽に呑み込む。
前席周りには、ポルシェはグレーのアルカンターラを広範囲に使用し、ダッシュボードやドアトリム、ステアリングホイールやシフトセレクターレバー、シートやグラブハンドルを覆っている。それに加えて、グレーのレザーとカーボン、グロスブラックのトリムが用いられている。
マテリアルのバリエーションは限定的で、ダークな色調のシリアスな運転環境を構築しているが、それでも魅力が感じられ、高価そうな感じがある。ただ、オフロードを走ったら、アルカンターラが泥や埃で汚れたり、水に濡れたりするのが心配になりそうだ。
メーターパネルは、中央にデジタルではなく実体のある大きな回転計が据えられ、その両脇を固めるデジタル画面の表示内容は好みに合わせて調整可能だ。前上がりのセンターコンソールには、実体スイッチのエアコン操作部と、常設されたたくさんのインフォテインメント用ショートカットや、サスペンションとスタビリティコントロールのタッチ式ボタンが配置される。
ステアリングホイールには、右下にゴルフボール大の走行モード切り替えノブが、スポークにはインフォテインメントシステムやトリップコンピューターの使い勝手のいい操作スイッチが、それぞれ設置されている。それでも、スイッチが多すぎる感じはしない。
走り ★★★★★★★★★★
3年前にテストしたランボルギーニ・ウルスは、0−97km/hが3.3秒、0−161km/hが7.8秒、ゼロヨンが11.6秒だった。ここまで大きくて重いクルマでは、決して見ることがないと思っていた数字の羅列に、すっかり打ちのめされたものだ。
しかし、必然と言うべきか、それらのタイムが破られるときが来た。ヴァイザッハの面々がそれを口にすることはないだろうが、それを狙ったのが確かだろうと思えるのは、ポルシェがフォルクスワーゲングループ最速SUVの座を奪回するべくカイエン・ターボGTを生み出したのだということ。そうであれば、まずは上々のスタートを切ったと言える。
暖かい日のドライ路面で、2251kgのカイエンは3.1秒で97km/hに、7.6秒で161km/hに達し、ゼロヨンは11.4秒。SUVという前提を抜きに考えても、パフォーマンスカーとしてかなりのタイムだ。メルセデスAMG GT 63 4ドアクーペや、2017年にテストした日産GT-Rよりも速いのだから。
このパフォーマンスを産んでいるのは、強力なパワーと、それによって911の中間グレード並みとなっている馬力荷重比だけではない。完成されたグリップとトラクション、そしていつもどおりトップレベルの先進的な電子制御とのコンビネーションによるところも大きい。
これほどのパワーとウェイトがあるクルマなら、路面にペンキを塗りたくるように、そのトルクを撒き散らしてダッシュすると思うだろう。ところが実際には、ローンチコントロールが、物理的に妥協のないクルマであるかのように、乱れのないスタートを決める。
急発進をすると、ATギアボックスが余すところなくトルクを使い、カタパルトから打ち出されるように飛び出していく。中間ギアの低いほうを、マジシャンがカードを扱うように目まぐるしく切り替え、エンジンの力を引き出すのだ。
このパワーデリバリーと引き換えに、また2500rpm以下では多少ながらも明らかに出るターボラグや、低められたV8ターボの圧縮比により、低速トルクは小さいながらも明らかに損なわれている。
それでも、マニュアルモードでシフトアップポイントを自分で決めながらフルスロットルにすると、3速や4速に入れるまでタフな操作を強いられる。もっともワイルドな状態では、理屈抜きの凶暴さを見せつける機会を逃すことはない。
ノーマルモードなら、V8エンジンは遠くで鳴っているような音を聴かせるのみで、ギアボックスはなめらかで融通が効く。スムースで、機械的に洗練された走りをみせるのだ。しかしながら、ステアリングホイールに取り付けられたダイヤルを時計回りに180°ひねり、スポーツプラスモードに入れると、突如として、走りのキャラクターがガラリと変わる。
操縦系の手応えが増し、レスポンスも高まり、エンジンは低音の効いた好ましいサウンドを放つ。ギアボックスは早めのシフトダウンでエンジン回転を高く保ち、低いギアをより長くホールドして、音の聞こえる範囲一帯にポルシェらしいスポーティさを知らしめる。
スロットルペダルのトラベルはかなり大きいので、カーペットまで踏み込んだらどれほど速いのか、すぐに見積もることを難しい。その答えは、ありふれているが、かなりのものだとしか言いようがない。
カーボンセラミックブレーキの効き方はほどよく、効きの増し具合も扱いやすい。制動力と耐フェード性も文句なく、この手のヘヴィウェイトなパフォーマンスマシンに期待するレベルだ。
使い勝手 ★★★★★★★★★☆
インフォテインメント
ターボGTには現行カイエンではじめて、第6世代のポルシェコミュニケーションマネージメントことインフォテインメントシステムが採用され、その後はこれより下位のグレードにも設定されるようになった。
旧バージョンに対する最大の改善点は、Apple MusicやPodcastsとの連携強化で、携帯電話を接続しなくても使えるようになった。また、Androidのスマートフォンとのミラーリングも、使えるものが加わった。すでにApple Musicの利用者なのであれば、選曲が簡単にできる。3年間は、モバイルデータとのコネクティビティが無料で利用可能だ。
この音楽系のシステム見直しは、なかなかの強みと言える。それは、オーディオが標準装備される出力150Wのサウンドパッケージプラスであってもだ。
メインのタッチスクリーン式インターフェースは操作しやすいが、これはディスプレイ下に使いやすく並べられたメニュー選択スイッチのおかげだ。また、ナビゲーションは設定の仕方がシンプルで、地図表示は鮮明。好みに合わせて調整するにしても、その設定は簡単だ。
燈火類
PDLSことアダプティブLEDヘッドライトのポルシェダイナミックライティングシステムは標準装備で、自動減光機能とコーナリングライト機能を備える。テスト車は、さらに機能が追加されたPDLSプラス装備車だったが、その実力を試す機会はなかった。
ステアリングとペダル
フットウェルは幅も奥行きも余裕があり、ペダルはサイズも間隔もバッチリ。電動調整式のステアリングコラムは、チルト/テレスコピックとも十分な調整幅がある。
操舵/安定性 ★★★★★★★★★☆
乗り込むときにはドレスアップをしたくなるようなクルマというのもある。となると今回は、さしずめレスラーのマスクとケープをまとって歩み寄りたい、四角いリングのようなクルマということになるだろうか。
というのもカイエン・ターボGTは、ドライバーに腕力と本気の取り組みを要求するクルマだからだ。何度も言っているが、これは大きくて重く、しかも速いクルマで、乗っていると常に物理的な力に晒される可能性がある。それも、小さくない力に。
適切な環境でグリップさせて走ると、巨体を持つほかのマッスルカーにはできそうもないことができるのが身をもって分かるはずだ。しかし、驚くことではないかもしれないが、緻密さやしなやかさ、デリケートさや俊敏さはそこにない。
むしろ、物理法則に左右されたがって、全開で走るのは非常に難しい。また、グリップ限界でコーナーを抜けるとほぼ同じようなラインと挙動になり、ある意味やんちゃな魅力をみせつけられるが、それによってますますこのクルマにのめり込まされる。もちろん、それを確かめるのは、安全に試せる場所に限られるが。
標準設定のノーマルモードでは、ステアリングの重さはほどほどで、ペースは一定で、直感的かつ慎重なところが感じられる。長距離運転がしやすくなり、安心感や精密さも増すが、リラックスしてドライブできるようになる。ボディコントロールは整っていて、しかし従順さを犠牲にはしていない。
ところが、よりスポーティなセッティングを選ぶと、ステアリングリムの手応えとフィードバックは、ラグジュアリー志向のSUVのほとんどがみせるものよりも倍か、それ以上に増す。ボディコントロールも、より緊密で妥協がないものとなる。
ただし、アルファロメオ・ステルヴィオ・クアドリフォリオのような素早い動きは避けている。このポルシェは歩調の整ったターンインをしたがり、よりタイトなカーブではコーナリングラインを安定させるのに多少の時間がかかり、フロントの接地面で発生した横荷重がリアへと伝わって、加速しながらアペックスを通過する準備が整う。
けれども、Pゼロ・コルサを履いたこのクルマは、間違いなくボディコントロールのパワーを限界まで試せるほどグリップが強力だ。いったん自重を落ち着かせたら、きわめて速いスピードが乗るタイトなラインをガッチリ捉え続け、驚くほど安定して超高速コーナーを駆け抜け、パワーオーバーステアに持ち込むことが求められたら、駆動力を適切な場所に伝えることができる。
だが、そのサイズと重量を考えたら、どこでもそれを試せるわけではない。広くてクリアなサーキットでもなければ、全開にするのは難しい。
快適性/静粛性 ★★★★★★☆☆☆☆
ターボGTのドライバーズシートは、大型SUVとしては中ほどのサイズに過ぎず、かなり身体の大きいドライバーには合わないかもしれない。だが、テスター陣は長距離でも快適に過ごせ、厳しくチェックしても十分にサポートが効いていて、このクルマの高いグリップの限界を試すような走り方をしても、腰をしっかり支えてくれる。
座面はそこそこ高いが、車高調整サスペンションのおかげで、背の低いひとでも乗降しやすい。
ただし、22インチホイールと高められたサスペンションレートは、乗り心地や衝撃吸収に影響を与えている。ソフトめの走行モードを選んでも、きつめのエッジや路面にちょっと鉄板が浮き上がっているところなどでは、予期しなかったほど粗く急激に突き上げられるのだ。
サスペンションのトラベルがかなりあるので、大きめの突き上げもかなりうまく吸収してくれる脚の動きを見せるのだが、スポーツやスポーツプラスといったモードを選んで低いスピードで走ると、乗り心地は動き過ぎて硬い。速度を上げると、それも気にならなくなるのだが。
もっとも穏やかなモードなら、それほどうるさくないのは幸いだ。風切り音も、Pゼロ・コルサが起こすロードノイズも遮音性は上々で、113km/h巡航時の室内騒音は68dBA。メルセデスAMG GLC 63 Sの71dBAより静かだ。
購入と維持 ★★★★★★★☆☆☆
細かいことを抜きにすれば、このターボGTはフル装備のカイエンだと言えるだろう。標準装備してもらいたい運動面のオプションはすべて備わっている。
とはいえ、そこはやはりポルシェのこと。オプションは無数に用意されていて、その中には、ほかのブランドであれば追い金なしに手に入るようなものもちらほら見受けられる。
15万ポンド(約2475万円)級のクルマでありながら、ワイヤレス充電器やスペースセーバータイプのスペアタイヤ、曇りを素早く消すヒーター付きフロントウインドウ、アダプティブクルーズコントロールなどが有償オプションなのだ。いまどき、そんなクルマはどこにもないはずだ。
さらに、ボディカラーやトリムの選択肢は無数にある。あれやこれやと追加していくと、請求金額はすぐに16万ポンド(約2640万円)を超えてしまう。
テスト車の燃費は、長めのツーリングで9.2km/Lだったが、これくらいのサイズとパフォーマンスのクルマとしては一般的な数値だ。平均燃費は7.1km/L、燃料タンク容量は90Lなので、満タンでだいたい640km程度走るという計算だ。しかし、現在のガソリン価格で、90Lタンクを満たすのは、なかなか財布に厳しい。
スペック
レイアウト
カイエンのプラットフォームは、フォルクスワーゲンのMLBエヴォのホイールベースを、それを用いるほかのSUVより短めにしたものだ。センターデフ式ではなく、クラッチ式のアクティブ4WDも同様だ。
V8はフロント縦置きで、その直後に8速トルクコンバーターATを搭載。サスペンションは3気室エアスプリングと、アクティブ制御スタビライザー、四輪操舵を標準装備。前後重量配分は、実測で57:43だった。
エンジン
駆動方式:フロント縦置き四輪駆動
形式:V型8気筒3996ccツインターボチャージャー、ガソリン
ブロック・ヘッド:アルミニウム
ボア×ストローク:φ86.0×86.0mm
圧縮比:9.7:1
バルブ配置:4バルブDOHC
最高出力:641ps/6000rpm
最大トルク:86.7kg-m/2300-4500rpm
エンジン許容回転数:6800rpm
馬力荷重比:289ps/t
トルク荷重比:39.0kg-m/t
エンジン比出力:160ps/L
ボディ/シャシー
全長:4942mm
ホイールベース:2895mm
オーバーハング(前):1022mm
オーバーハング(後):1025mm
全幅(ミラー含む):2200mm
全幅(両ドア開き):3860mm
全高:1636mm
全高(テールゲート開き):2210mm
足元長さ(前席):最大1080mm
足元長さ(後席):780mm
座面~天井(前席):最大1020mm
座面~天井(後席):920mm
積載容量:549~1464L
構造:アルミ/スティールモノコック
車両重量:2220kg(公称値)/2251kg(実測値)
抗力係数:0.36
ホイール前/後:10.5Jx22/11.5Jx22
タイヤ前/後:285/35 ZR22/315/30 ZR22
ピレリPゼロ・コルサ
スペアタイヤ:スペースセイバー(オプション)
変速機
形式:8速AT
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
1速:4.71/10.1
2速:3.14/15.3
3速:2.11/22.7
4速:1.67/28.6
5速:1.29/37.0
6速:1.00/47.8
7速:0.84/56.8
8速:0.67/71.3
最終減速比:2.95:1
燃料消費率
AUTOCAR実測値:消費率
総平均:7.1km/L
ツーリング:9.2km/L
動力性能計測時:4.2km/L
メーカー公表値:消費率
低速(市街地):4.4km/L
中速(郊外):7.0km/L
高速(高速道路):8.5km/L
超高速:7.9km/L
混合:7.1km/L
燃料タンク容量:90L
現実的な航続距離:637km
CO2排出量:319g/km
サスペンション
前:マルチリンク/エアスプリング、アクティブスタビライザー
後:マルチリンク/エアスプリング、アクティブスタビライザー
ステアリング
形式:電動、ラック&ピニオン、アクティブ四輪操舵
ロック・トゥ・ロック:2.4回転
最小回転直径:11.6m
ブレーキ
前:440mm通気冷却式カーボンセラミックディスク
後:410mm通気冷却式カーボンセラミックディスク
制御装置:ABS、ブレーキアシスト
ハンドブレーキ:電動式、センターコンソールにスイッチ設置
静粛性
アイドリング:41dBA
全開時(4速):84dBA
48km/h走行時:60dBA
80km/h走行時:65dBA
113km/h走行時:68dBA
安全装備
ABS/ASR/ABD/EDTC/PSM
Euro N CAP:5つ星(2017)
乗員保護性能:成人95%/子供80%
交通弱者保護性能:73%
安全補助装置性能:62%
発進加速
テスト条件:乾燥路面/気温18℃
0-30マイル/時(48km/h):1.3秒
0-40(64):1.8秒
0-50(80):2.4秒
0-60(97):3.1秒
0-70(113):4.0秒
0-80(129):5.0秒
0-90(145):6.2秒
0-100(161):7.6秒
0-110(177):9.1秒
0-120(193):11.2秒
0-130(209):13.5秒
0-140(225):16.2秒
0-150(241):19.6秒
0-402m発進加速:11.4秒(到達速度:195.9km/h)
0-1000m発進加速:21.2秒(到達速度:242.7km/h)
ライバルの発進加速ライバルの発進加速
ランボルギーニ・ウルス(2019年)
テスト条件:乾燥路面/気温13℃
0-30マイル/時(48km/h):1.4秒
0-40(64):1.9秒
0-50(80):2.5秒
0-60(97):3.3秒
0-70(113):4.2秒
0-80(129):5.2秒
0-90(145):6.4秒
0-100(161):7.8秒
0-110(177):9.4秒
0-120(193):11.4秒
0-130(209):13.7秒
0-140(225):16.3秒
0-150(241):19.9秒
0-402m発進加速:11.6秒(到達速度:194.4km/h)
0-1000m発進加速:21.6秒(到達速度:253.1km/h)
中間加速
20-40mph(32-64km/h):1.8秒(2速)/3.2秒(3速)
30-50(48-80):1.4秒(2速)/2.2秒(3速)/3.0秒(4速)/5.2秒(5速)
40-60(64-97):1.4秒(2速)/1.8秒(3速)/2.3秒(4速)/3.6秒(5速)/6.5秒(6速)/11.7秒(7速)
50-70(80-113):1.8秒(3速)/2.2秒(4速)/3.0秒(5速)/4.8秒(6速)/8.4秒(7速)
60-80(97-129):1.9秒(3速)/2.3秒(4速)/3.0秒(5速)/4.2秒(6速)/6.3秒(7速)/14.7秒(8速)
70-90(113-145):2.1秒(3速)/2.4秒(4速)/3.2秒(5速)/4.2秒(6速)/6.3秒(7速)/11.5秒(8速)
80-100(129-161):2.5秒(4速)/3.3秒(5速)/4.4秒(6速)/5.7秒(7速)/9.3秒(8速)
90-110(145-177):2.9秒(4速)/3.4秒(5速)/4.7秒(6速)/6.1秒(7速)/8.9秒(8速)
100-120(161-193):3.6秒(5速)/5.0秒(6速)/6.6秒(7速)
110-130(177-209):4.1秒(5速)/5.3秒(6速)/7.2秒(7速)
120-140(193-225):4.8秒(5速)/5.9秒(6速)
130-150(209-241):6.0秒(5速)
制動距離
テスト条件:乾燥路面/気温18℃
30-0マイル/時(48km/h):8.3m
50-0マイル/時(64km/h):22.5m
70-0マイル/時(80km/h):44.3m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:2.73秒
ライバルの制動距離ランボルギーニ・ウルス(2019年)
テスト条件:乾燥路面/気温13℃
30-0マイル/時(48km/h):8.1m
50-0マイル/時(64km/h):22.1m
70-0マイル/時(80km/h):43.3m
各ギアの最高速
1速:69.2km/h(6800rpm)
2速:103.0km/h(6800rpm)
3速:154.5km/h(6800rpm)
4速:194.7km/h(6800rpm)
5速:251.1km/h(6800rpm)
6速:299.3km/h(6266rpm)
7速:299.3km/h(5264rpm)
8速(公称値):299.3km/h(4199rpm)
8速・70/80マイル/時(113km/h/129km/h):1580rpm/1806rpm
結論 ★★★★★★★★☆☆
ポルシェは過去5年ほど、競合するエキゾティックブランドがスーパーSUVを手がけ、自分たちがカイエン・ターボで築いたマーケットのシェアを奪っていくのを横目に、チャンスをうかがっていた。
そして今度は、そのライバルたちを制するべく、カイエンは逆襲に出た。ひとびとがポルシェに期待するものを、ターボGTはまさしく体現している。
このクルマは文句なしに速く、運動性能にはバランスと粘り強さがあり、ベントレーやアストン・マーティン、ランボルギーニ、そしてメルセデスAMGやBMW Mのライバルに勝るタイムを出してみせた。さらに、理屈抜きに速さを追求した走りのキャラクターは、うるさがたのドライバーも間違いなくドライビングを満喫できるはずだ。
ただし、高級車としての懐の広さは持ち合わせていないし、室内も広々というわけにはいかない。万能性やインテリアの贅沢なまでのリッチさでも、この手のSUVを購入するユーザーの期待には応えてくれない。
厳密な検査の結果、速さやヤンチャさを競うSUVとしては現時点で最高のものだという結果が出た。日常使いするには、妥協なしというわけにはいかないが、パフォーマンスはドラマティックさも客観的な数値もみごとなもの。このクルマとなら、さぞかし刺激的な暮らしを送れることだろう。
担当テスターのアドバイス
イリヤ・バプラートカイエンのインテリアには古さを感じさせるところもあるが、走り出す前に使い方を習得できそうなほど使いやすいインフォテインメントシステムはかなり気に入った。すぐに使いこなせるというのは、この手のデバイスとしてあるべき姿だ。
マット・ソーンダースチタンエキゾーストは、通常のターボよりサイレンサーがひとつ少ない。バイパスが設けられているので、スポーツモードでは最新の排気後処理をした後のV8サウンドを、できるだけ押し殺さずに放つ。音に関していえば、レンジローバーSVRに劣らぬ存在感だ。
オプション追加のアドバイス
少なくとも、5000ポンド(約8.3万円)の予算を用意したい。ポルシェの最上位のクルーズコントロールや4ゾーンエアコン、ヘッドアップディスプレイ、ヒーター付きフロントウインドウを追加するためだ。室内を明るくしたいなら、アルミトリムを追加するのもひとつの手だ。
改善してほしいポイント
・セカンダリーライドは、もう少し突き上げを抑えてほしい。
・インテリアのカラーバリエーションを増やして、もっと明るいトリムを用意してもらいたい。
・後席のヘッドルームを、もう数cm広げてもらいたい。
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みんなのコメント
まあSUV自体ロクな人間乗ってないけどな