11月8日、2024年全日本スーパーフォーミュラ選手権の第8戦&第9戦が行われる三重県の鈴鹿サーキットにて、シリーズに参戦しているTGM Grand Prixが2025年Abu Dhabi Autonomous Racing League(A2RL)にエントリーすることを表明した。
A2RLは、スーパーフォーミュラで採用しているダラーラ社製のシャシー『SF23』と横浜ゴム製のタイヤを使用し、2024年春に最初のレースが実施された世界最高峰の自律走行選手権だ。
AI自律走行のSF23がスーパーフォーミュラ最終戦鈴鹿に登場へ! ダニール・クビアトがデモラン
今週末の『JAFグランプリ』では、シリーズを創立したASPIRE社が開発した自律走行マシンのデモランが予定されており、その走行に先立って8日(金)昼に行われた記者会見にて、TGM Grand Prixの池田和広代表が来季A2RLへの参戦を発表した。
2024年春に行われたシリーズ初戦も現地に訪れていたという池田代表は、「このレースはAIという新しいテクノロジーを使うカテゴリーで、実際にその走りを目の当たりにした時に、自分たちがこの場にいなければ、どんどん技術の進歩に遅れを取ってしまうと感じた」と当時を振り返り、参戦を決めた理由を語る。
「さらに、A2RL側と協議を進めていくなかで、『次世代の人材育成』という点で共通の価値観を感じました」
「私たちもTGM Grand Prixを通じて、若者たちとコラボレーションしていきたいと思っておりました。若者とともに、異国のチームを相手にしながら最先端の技術へ挑戦したいと感じたので、参戦を決めました」
池田代表は、現状ですぐにレースに出場できる体制が整っているわけではないというが、その点においては、「これから多くの若者に声をかけつつ、大きい組織にはできないようなTGM Grand Prixの機動力の良さを活かしていきたい」とコメントした。
このA2RLシリーズでは競争領域をプログラミングに定めているため、エンジン面やジオメトリーの調整は許可されていない。そのため、参戦している面々もレース経験者というよりもプログラマーや数学者らがほとんどで、レーシングチームがシリーズに参戦するのは初だ。
そのため、スーパーフォーミュラでSF23を実際に使用しながらノウハウを得ているTGM Grand Prixは、ライバルチームとは異なるアプローチで競争に参加することができる。池田代表は、このシリーズは『コンピュータ上のシミュレーターに対して、実走行で必要になってくる安全マージンをインプットしていくこと』が重要になるとし、次のように自チームの強みを考えているという。
「現在我々は、セッティング用のシミュレータとドライビング用のシミュレータを自社開発して使用しています。さらに、実際の走行で生じてくる不規則なコンディションの変化(温度の上昇やブレーキロックなど)についても理解しています」
「なので、自律走行のプログラミング開発においても、実際の走行で得たノウハウを落とし込んでいるシミュレータ技術を落とし込んでいくというところで、自分たちの強みがあるのではないかと思います」
自律走行という新たな分野へ、さらなる一歩を踏み出したTGM Grand Prix。SF23への知見を持つ唯一のチームとして、さらには世界各国のチームが集うシリーズへ挑む日本代表として、彼らの新しい挑戦に注目したい。
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