車体の大型化もなんのその! 新型は新規客を呼び込んでいる
新型トヨタ・カローラセダンとステーションワゴンのツーリングが正式発売されて2カ月が過ぎた。トヨタが発信したリリースによると、ハッチバックのスポーツも含む、カローラシリーズのセダンとツーリングが発売された9月17日からの1カ月の受注台数は2万2000台(月販目標台数は3モデル共通で9400台)。自販連(日本自動車販売協会連合会)統計による、2019年10月のカローラシリーズの販売台数は1万1190台となり、久しぶりに登録車のみの販売ランキングで1位となっている。
「取り回しにくい」「税金が高い」はホント? クルマの3ナンバー化を嘆く人がいる理由とは
人気のミニバンやSUVではないので、ものすごく売れ行きがいいというわけではないが、いまの日本ではあまり注目されないセダンとステーションワゴンなのに、これだけ販売できるのはトヨタの販売力の強さもある。だが新型が評価を受け、一定数の新規客を呼び込んでいるのは間違いないだろう。
昭和の時代から平成に入った直後あたりまで、カローラは日本でのトップセラーカーとしての地位を欲しいままにしていた。そしてこの間は一貫して“大衆車”や“ファミリーセダン”などと呼ばれていた。いまどきのファミリーカーといえばハイト系軽自動車やミニバンとなるが、カローラがよく売れていたころはトヨタ以外のメーカーでも同クラスのセダンをラインアップしていた。
これが“ファミリーセダン”と呼ばれ、いまのハイト系軽自動車やミニバンと同じ位置付けだった。しかし、それ以降はミニバンがファミリーカーとして人気を博し、さらにハイブリッドカー“プリウス”の登場などもあり、カローラの存在感は急速に薄れていくことになる。
しかし2019年にカローラセダンとツーリングは、国内初の3ナンバーワイドボディとなってデビューした。いままでは実用性が重んじられていたのだが、今回の新型カローラはスタイリングも重視され、“格好いい”クルマとなった。グローバルモデルとプラットフォームやデザインを共用するものの、グローバルモデルより全長が短く全幅が狭くなった国内専用ボディの採用は、日本市場を意識したものとされている。しかし、いざ発売してみると「どうせならグローバルモデルと同サイズにしてほしかった」という声が販売現場では意外なほど聞かれるとのことである。
若者はそもそもカローラをオヤジグルマだとは思っていない
ボディサイズが大きくなったというのは、先々代ごろから言われていたことであり、この時点でボディサイズの拡大に難色を示していたユーザーは、パッソなどコンパクトハッチバックへと移行している。かつてファミリーカーと呼ばれていたころから親しみを感じる世代も、セミリタイヤやリタイヤ層となっている。
それらのユーザーが求めるマイカー像は、実用性より、趣味性や格好良さとなっている。いままでは仕事(社会的地位)や家族のことを考えて選んでいたマイカーも、そういうしがらみがなく、自分(あるいは夫婦)の思いのままに選ぶことができるようになったので、そのような世代に対して格好よくなったカローラの訴求効果は高いはずである。
先代は今回とは逆にカローラのメインユーザーへ“どストライク”なクルマとして開発して投入した。一方、肝心のその世代にウケていたのはSUVや2ドアクーペ、オープンカー、あるいは孫家族とのドライブなどを想定して、アルファードなどの大型ミニバンなど。マイカーの選択は多岐に渡っており、販売現場を悩ませたとも聞いている。そして、いまだにカローラを語るときに“大衆車”だとか“ファミリーセダン”という目線で語るのは「古い世代のひとたち」となっているのも現実といえよう。
2000年にデビューした9代目でステーションワゴンには“フィールダー”というペットネームがつけられた。そしてCMキャラクターにはキムタクこと木村拓哉さんが採用された。日本での10代目にあたり、フィールダーでは2代目にあたるモデルでも木村拓哉さんが再びCMキャラクターとして採用された。さらに11代目でもCMキャラクターを務めていた。そのため、“大衆車”というイメージの強い古い世代に対し、若い世代はカローラにファミリーカーというイメージは抱かず、“キムタクがCMしていたクルマ”ということで、とくにフィールダーには好意的なイメージを持つようになった。
そして満を持しての今回の新型のデビューである。セダンとツーリングに関しては、1.2リッターターボは6速MTのみとなっている。“オジさん世代”ではその設定に懐疑的な眼差しを向けるひともいるが、若い世代には、そのこだわりのラインアップが刺さっているようで、カローラシリーズのさらなるイメージアップに成功しているとのこと。
残念ながら全体で見れば、いままでのカローラユーザーの年齢層はかなり高い。世の中では高齢ドライバーの事故が大きくクローズアップされ、“運転免許の返納”が声高に叫ばれている。また消費税率の引き上げなどでの維持費の負担増なども加わり、高齢自動車ユーザーの“マイカー離れ”も目立ってきている。
そうしたなかでは新しいカローラユーザーを積極的に呼び込もうとするような、今回のカローラのモデルチェンジはまさに大英断と呼んでいいだろう。どこまで狙ったかはわからないが、若い層に人気のあるトップ俳優を長い間CMに起用し、若い世代ではカローラに対するイメージアップにも成功している。カローラ生誕100年の時も現役モデルがあるなかで迎えるためにも、今回のモデルチェンジは間違いのない選択だったといわれるように是非なってほしいと願うばかりである。
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