カーボンニュートラルの実現、エンターテインメント性向上などを目的に開発テストを実施しているスーパーフォーミュラ。第5戦SUGOの翌日には前回に引き続き、カーボンニュートラル素材を使ったタイヤとカウルのテスト、ウイングの角度を調整しての追従テストなどが実施されたが、それと並行して排気音のテストも初めて行なわれた。
今回の排気音テストのテーマは、排気管のレイアウトを工夫することで、現在使用している直列4気筒エンジンから8気筒エンジンのような甲高い音を出させるというもの。“ウェイストゲート(タービンを回転させるために使う排気ガスのうち、余剰分を逃すための機構)”からの排気を独立したパイプで出し、メインのエキゾーストパイプと時間差で排出することにより、爆発音が2倍になる……つまり4気筒エンジンでありながら、8気筒エンジンに相当する爆発音=エンジン音が奏でられるようになる、という訳だ。
■【動画】“V8サウンド”に近付けるか? 排気音テスト中のSF開発車両『赤寅』を通常排気の『白寅』と比較
“より良い音”を目指したこのテストは、テスト初日である20日(月)の午後に実施され、TCD(トヨタカスタマイジング&ディベロップメント)が開発した排気レイアウトを石浦宏明が乗る『赤寅』に取り付け走行。塚越広大が乗る『白寅』と比べて、高回転域で高い音を発生させた。
タイヤなどに関するデータがあらかた集まったテスト終盤には、さらに“良い音”を出すために『赤寅』のブースト圧を下げ、ウェイストゲートから出る排気量を増えるように調整して再度コースイン。明らかに変わった排気音に、関係者の頬も緩んでいた。
開発テストを率いる永井洋治テクニカルディレクター(TD)は、セッションを終えて次のように語った。
「私としては、まず“できた”ということが大きな一歩だと思います。感度もありますし、チューニングをすることでポテンシャルはまだまだ引き出せるのかなと思います」
「カーボンニュートラル燃料を使った多気筒エンジン導入以外にも、ダウンサイジングをしながらの音作り、という形もある……今後に向けて幅が広がる良い試験だったと思います」
TCDの佐々木孝博氏も、今回のテストに対する満足感を口にした。
「私はテストでの音も聞いていますし、数値的なデータも見ているので、先入観が入ってしまっているのですが、想定していた領域がしっかり再現できていると思いました」
「今回色んなところで音を録っているのでそれを持ち帰って解析し、合わせ込んでいく作業をしていきます」
「良い音を作るためにこういう手段がある、ということが分かりましたので、ホンダさんとも協力しながら音作りをしていきたいです」
“良い音作り”をするにあたっては、今回こそブースト圧を下げるという形の対応があったものの、基本的には車両のパフォーマンスを大きく損なわないような形で開発を進められる見込みで、熱害などについても細かい最適化は求められるものの基本的には問題がない様子。ホンダも次戦富士での開発テストに向けて“良い音”を出す排気管を開発することに前向きという声も聞こえてきており、近い将来共有部品として正式導入されることも十分期待できそうだ。
また永井TDは、自身の考える“良い音”について言及しながら、こう締めくくった。
「古くはSWCのV10エンジンや、F1のV10、V12……皆さんのイメージもそこだと思います」
「ダウンサイジングでは流石にそこまでの音は出せませんが、V8サウンドというのが、ダウンサイジングで狙える最適解かと思います」
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