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テイスト・オブ・ツクバの「隊長」が2年3ヶ月ぶりに走行姿を披露 Ninja誕生40周年を記念した「NINJA 40 th FESTIVAL」開催

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テイスト・オブ・ツクバの「隊長」が2年3ヶ月ぶりに走行姿を披露 Ninja誕生40周年を記念した「NINJA 40 th FESTIVAL」開催

Ninja誕生40周年を祝う「NINJA 40 th FESTIVAL」

 2024年はカワサキ「Ninja(ニンジャ)」生誕40周年です。1984年に発売されたGPZ900Rが革新的な技術と高性能で世界的にヒット。北米モデルに“Ninja”のペットネームがつけられたことからこの名前が一気に広がりました。現在でもカワサキスポーツバイクにNinjaの名前が受け継がれ、40周年を記念したアニバーサリーエディションが発売されています。

【画像】Ninja誕生40周年を記念し筑波サーキットのコース1000で開催された「NINJA 40 th FESTIVAL」の様子を画像で見る(35枚)

 この歴史的なバイクの生誕を祝おうというイベント「NINJA 40 th FESTIVAL」が8月25日、筑波サーキットのコース1000で開催されました。主催は大阪のチューニング&メンテナンスショップ「MC.GEMMA」。GPZ900Rをはじめ、ZX、ZZR、ZRX系などのカワサキ4気筒を専門に扱うショップです。代表の石田さんがこのイベントの目玉と考えていたのがテイスト・オブ・ツクバ(T.O.T)参戦ライダーによるデモ走行でした。

「イベントをやるんだったら走るモーターショー的なコンセプトでいきたいと思いました。そこで一番見せたかったのが山根さんたちT.O.Tライダーの走りです。ライダーの熱いNinjaへの愛や情熱がなければ、ああいうマシンでレースはできないじゃないですか。Ninjaを通して最近の日本に希薄になってしまったガッツを伝えたいと考えたんです。レースにはまったく興味がないという人もいますが、そういう人たちに見てもらえる機会にしたいと思いました。」(石田さん)

 石田さんが見せたかったという山根光宏選手と茨城県坂東市にショップを構えるパワービルダーが製作したゼッケン29番のNinjaレーサーとは、いったいどのようなライダーとマシンなのでしょう?

 T.O.Tは日本最大のアマチュアレースとして知られています。最速クラスのハーキュリーズでは有力コンストラクターが作り上げたモンスターマシンやオリジナルフレームのマシンなどが多数出場。有名ライダーも参加して激しいバトルが繰り広げられてきました。

 このレースにパワービルダーが手掛けたGPZ900Rで参戦していたのが山根選手でした。90年代に参加するようになった当初は成績も満足できるものではなかったと言います。しかしチューナーであるパワービルダーの針替さんと共にマシンとライディングを進化させていった結果、全日本選手権などで活躍したライダーを相手に優勝を重ねるようになり、2019年11月のレースでは57秒843というコースレコードまで樹立します。Ninja(GPZ900R)ベースのマシンが、このタイムを記録したことは多くの人達に衝撃を与えました。

 その後、ハーキュリーズには最新マシンのエンジンを搭載した過激なマシンが登場するようになり、ファクトリーチームで活躍していたような有名ライダーも参加するようになります。それでも山根選手とパワービルダーのNinjaレーサーは一歩も引かずにトップ争いを続けました。

「隊長(山根さんのこと)が最終コーナーで最新モデルのカワサキ”H2R”をアウトから抜いたことがありました。アレを見たときの感動は忘れられません」。(石田さん)

 山根さんとパワービルダーの活躍が、Ninjaオーナーのみならず多くの旧車ファン、カスタムバイクファンの心を掴んでいたのは単に速かったからというだけではありません。

 山根さんと針替さんは、勝てないときも決してあきらめず、長い時間をかけて協力しあいながらマシンをゼロから作り上げていきました。Ninjaというバイクに対する大きな愛情とライダーとチューナーとの深い信頼関係があったからこその結果を出すことができるようになったわけです。

 更には仲間たちの応援も大きな力になりました。背景にそんなストーリーがあったからこそ、勝利の意味がとても大きいということを、観戦していた多くの人達が知っていたのです。

クラッシュから2年3ヶ月ぶりに走行姿を見せた“隊長”山根選手

 ところが、2年前のレースで山根選手はクラッシュ。左手に大きな怪我をおうことになります。レースでその姿を見ることができなくなって淋しく感じていたファンは少なくありませんでした。そんな山根選手とニンジャレーサーがNINJA 40th FESTIVALで2年3ヶ月ぶりに走ることになったのです。

「前回のT.O.TでMC GEMMAの石田さんから『ニンジャで走ってもらえないですか』と打診されたんです。その頃には走れるようになっているかもしれないと思って引き受けることにしました。左手の怪我はオフロードバイクに乗れるくらいまでには回復していたけれどセパハンのレーサーでハングオンができるのか分からなかったので、まずはCBR600で様子を見てみることにしたんですよ。

 そうしたら左コーナーでうまく体が支えられない。ピンク号(29号車 Ninjaレーサーのこと)は重いから更に大変でした。でも久しぶりに仲間と一緒に走れてとても楽しかった。お客さんもたくさん見てくれていて、走行後テントに来て『走る姿を見れて嬉しかった』と言ってくれた人もいました」。(山根さん)

 昔から山根選手と切磋琢磨してきたゼッケン51、GPZ1000RXの松田光市選手もデモランで山根選手と一緒に走りました。松田選手はGPZ1000RXを自らチューニングして戦ってきたライダーで、山根選手を兄貴と呼んで慕い、一緒にトップ争いをしたことが何度もあります。

「久しぶりに山根さんと走って楽しかったですよ。怪我の影響で調子が良くないというわりにはキレがあった。いい走りをしていました」。(松田さん)

 Ninjaレーサーを作り、アップデートを重ねてきたパワービルダー代表の針替さんはこう言います。

「オレより山根さんと一緒に走ってきた連中のほうが感慨深かったようです。山根さんの背中を追いかけていたヤツがたくさんいましたから。リハビリでオフロードバイクに乗っても、左手で支えられなくてバイクを倒してしまうくらいにしか回復していなかったんです。そんな状態の山根さんが再びサーキットを走る姿を見て、皆熱いものを感じていました」。(針替さん)

 他にもニンジャでT.O.Tに参戦し、活躍しているライダーたちが多数参加するという豪華なデモランになりました。チューニングされたニンジャレーサーの共演は素晴らしい迫力があったようです。

「ハーキュリーズには最新のエンジンを搭載したバイクも走っていますけど、僕らは設計の古いエンジンでこだわってレースをしています。キャブに集合管ってやっぱり排気音が素晴らしいですよね。インジェクションにはない良さがあります」。(松田さん)

 この様子を見て、誰よりも喜んでいたのは主催したMC.GEMMAの石田さんでした。

「主催した僕が一番感動していたと思います。隊長の体は本調子じゃなかったかもしれないけど男のプライド、維持、意気込みを感じました」。(石田さん)

 MC GEMMAはT.O.Tにも参加していて、11月に開催されるレースに向けて鋭意準備中。山根さんはコース2000での慣熟走行を目標に怪我の回復につとめていると言います。40年経っても多くライダーの心を熱くしてしまう。Ninjaってそういうマシンなのかもしれません。

写真/POP近藤

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