2019年11月に日本に上陸した2代目アウディA1。3ドアが廃止されて5ドアのスポーツバックのみとなった新型A1のラインアップは、当初は1.5L直4ガソリンターボを積んだ35 TFSIのみだった。価格は300万円台後半からと、プレミアムブランドのアウディとはいえ、Bセグメントハッチバックとしては割高感を感じたのも正直なところだ。
簡素な装備の“素モデル”でもスタイリッシュ だが発売当初からアナウンスされていた、1L直3ガソリンターボ搭載モデルが、2020年11月、ついに日本市場に投入された。コロナ禍もあって1年待つことになってしまったが、販売の“主力”となる待望のベーシックモデルが、ようやく選べるようになったのである。
「A1スポーツバック25 TFSI」という名のこのモデルは、アドバンストでもSラインでもない「素」の仕様。車両価格は294万円(消費税込み)と、300万円以下だ。タイヤサイズは185/65R15とおとなしく、いかついエアロパーツも装着されていないが、キリッと引き締まった顔つきやエッジの効いた造形の後ろ姿はアウディらしいフレッシュなイメージ。Aピラーからルーフにかけてブラックアウトされているのも、なかなかスタイリッシュだ。
次期型アウトランダーのデザインがちょっとだけ見えた!正式発表は2021年2月。公開画像を観察してみると、もしやアレか!?
LEDのヘッドライトやリヤコンビランプ、レザーステアリングなどはオプションで、スポーツシートやアウディドライブセレクトも装備していない(MMIナビゲーションシステムとバーチャルコックピット、Audi connectは全車にパッケージオプション)が、Bluetoothのハンズフリー機能、USB充電ポートなどは標準で、安全装備の省略はなく、特に装備面で大きな不満を感じることはない。むしろ気兼ねなく使えてランニングコストも抑えられるので、デイリーユースにはちょうどいいくらいである。
アウディでは常とう手段ともいえるアルミ調の加飾はほとんどないものの、インテリアの質感はコンパクトカーとしては上々だ。ただ、「デルタクロス」という名のシート表皮は、もう少し“いいモノ感”がほしいと感じるし、シート自体もホールド性を感じられる形状だと、なおいい。
市街地からワインディングまで軽快な走り味 3気筒エンジンは、始動時から違和感はなく、振動もうまく抑えてあって、アイドリング時からとてもスムーズな回転フィールを感じさせる。
走り出してもパワーは必要十分だ。DCTである7速Sトロニックの変速はスムーズで、低燃費タイヤのブリヂストン・エコピアは転がり感もいい。最高出力95ps/5000~5500rpm、最大トルク175Nm/2000~3500rpmというスペックは、今どきのヨーロッパ車の1Lユニットとしては控えめだが、日常の足として不満を覚えることはないだろう。
快適性も十二分に高く、まさにアウディのクオリティ。街なかではフラットで静粛性に優れ、ワンランク上の移動空間を実現。荒れた路面ではタイヤと足まわりで凹凸をいなし、強い入力はボディがしっかりと受け止める。
ハンドリングはとても楽しい。特にワインディングロードでは、パワーは大したことないが、わずか1170kgの車両重量とノーズの軽さが奏功して、とても俊敏なコーナリングが楽しめる。絶対的に速いワケではないが、意外なほどに粘るタイヤと高いスタビリティ、コントロール性に優れたブレーキペダルのタッチと十分な制動力のおかげで、自由自在に走れる感覚なのだ。
“質のいいゲタ”にもカスタム素材にも…… 日常的に上質な移動を楽しむためのツールとして使うのもいいし、これをベースに好みの仕様にモディファイするのも楽しそうだ。プラットフォームを共用し、まったく同じ1L3気筒ターボを積んだVWポロのコンフォートライン リミテッドが、カーナビやLEDヘッドライト、レザーステアリングなどが標準装備で265万3000円で買えてしまうことを考えれば、A1スポーツバック25 TFSIはやはり安くはない。
だが、よりデザイン性に優れ、機械としての精度の違いも感じられるアウディの末っ子は、一度運転すればその価値に納得できるはずである。
[A1スポーツバック 25 TFSI(FF・7速DCT)主要諸元]【寸法mm・重量kg】
全長:4040mm
全幅:1740mm
全高:1435mm
ホイールベース:2560mm
トレッド:前1530mm/後1510mm
最低地上高:165mm
車両重量:1170kg
【エンジン・性能】
型式:DKL
種類:直3DOHCターボ
総排気量:999cc
最高出力:70kW(95ps)/5000~5500rpm
最大トルク:175Nm(17.8kgm)/2000~3500rpm
使用燃料・タンク容量:プレミアム・40L
WLTCモード燃費:15.2km/L
最小回転半径:5.1m
乗車定員:5人
【諸装置】
サスペンション:前ストラット/後トレーリングアーム
ブレーキ:前Vディスク/後L&Tドラム
タイヤ:前後185/65R15
【メーカー希望小売価格】
294万円
〈文=竹花寿実 写真=岡 拓〉
アウディジャパン
TEL:0120-598106
https://www.audi.co.jp/
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終わってるね、こりゃ
ダメだ、こりゃ