■EV感覚を強調したアウトランダーPHEV
三菱の「アウトランダーPHEV」は、国産自動車メーカー唯一の「SUV + PHEV」のモデルです。近年のSUV人気で各社はさまざまなSUVモデルを投入していますが、それらに負けないアウトランダーPHEVの魅力はどんなところにあるのでしょうか。
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アウトランダーPHEVは、2012年12月に登場。2018年8月には、デザイン変更、新エンジン搭載、PHEVシステムの主要構成部品の約9割を改良するなど大幅なアップデートをおこなっています。
最大の特徴は、一般的なハイブリッド車よりも大容量のバッテリーを積むことでモーターのみで距離が長く、またケーブルをつなげば外部から電気を充電できるようになっていることです。(充電せずにガソリンを給油するだけでも走行できます)
搭載バッテリーは13.8kWhとなり、ハイブリッド車の代表格でもあるトヨタ「プリウス(3.6kWh)」の約3.8倍も大きく、カタログ(WLTCと呼ばれる計測方法)を見るとモーターのみで最大で57.6kmを走行できると記載されています。
実際の走行では、基本的に低中速領域をモーターで走り、高速領域になるとエンジンパワーを直接駆動力として使って走行するシステムを備えています。
高速域にならなくてもバッテリーが減少したり、強い駆動力が必要な際はエンジンを始動して発電しますが、このような状況で始動したエンジン音は騒がしいのが従来の課題点でした。
エンジン始動音が目立つ理由としては、エンジンを停止した静かなEV走行状態から突然エンジンが始動するため、人の耳にとって不快に感じてしまうという理屈です。
さらに、PHEVでは発電量を確保する(効率よく発電する)ために、エンジン始動中の回転はある程度高めになることも影響しているといえます。
しかし、現行モデルでは対策の一環として、エンジン排気量アップが図られました。排気量を上げて発生するトルクを太くすることで、エンジン回転数を上げなくても必要なトルクを維持して発電量を確保することができます。エンジン回転数を下げるため、エンジン音を静かに目立たなくしました。
パワートレインの刷新は、「シリーズハイブリッドとしての走行中にエンジンの音を感じさせないようにして、よりEV感覚を強調した」というわけです。
日常領域の時速40kmから80kmの間では、エンジンが始動してもエンジン音を感じさせないといっても過言ではありませんでした。
アウトランダーPHEVのエンジン音について、EV・パワートレイン開発担当の阿部孝秀氏は次のように説明しています。
「オーナーからの声で評価されているのは『モーターによる走行感覚の気持ちよさ』です。しかし、その一方で『エンジンが始動するとその音で騒がしくなり、せっかくの静かさが失われてしまうのが残念』という声も多く聞かれました。
そこで、モーター走行領域を拡大するとともにエンジンが始動しても騒がしくないように配慮ています」
■アウトドアの可能性が広がるアウトランダーPHEVの使い勝手
そんなアウトランダーPHEVでキャンプへ出かけてみたら、そんな大容量バッテリーのメリットがあらためて見えてきました。それは、キャンプ場において、電気を活用できることです。
車両に組み込まれたAC100Vのアウトレット(後席足元と荷室の2か所に用意)から電気が供給されて家庭用の電化製品が使えるのですが、その最大容量は1500W。
最近は、AC100V電源が搭載されている車両もありますが、それら(ハイブリッドカーではない一般的なクルマ)の容量は100Wなので、アウトランダーPHEVは15倍もの大容量ということになります。これは注目せずにはいられません。
スマートフォンの充電やポータブル冷蔵庫の活用はもちろん、消費電力が大きすぎて一般的な車載電源では対応できない電気ケトル、そしてコーヒーメーカーなど、アウトランダーPHEVではクルマから電源を供給して使うことができるのです。
濡れた髪をドライヤーで乾かしたり、必要とあれば電気炊飯器やホットサンドメーカー、さらにはホットプレートだって利用可能。もちろん、エンジンをかけることなく電気を供給できるから、たとえ深夜でも周囲のキャンパーに迷惑をかけることはありません。
不便を楽しんでこそキャンプという考えを持つ人も多くいるとは思いますが、サッとコーヒーを飲みたいときなどにそういった電気製品の力を借りることは実に便利です。電気によって新しい楽しみ方が増えると考えれば、アウトランダーPHEVによってキャンプの可能性はますます広がります。
三菱自動車でアウトランダーPHEVの開発を担当している鴛海尚弥氏は、アウトランダーPHEVとキャンプの親和性について次のように話します。
「キャンプで電気を使うというと、抵抗がある人もいるかもしれません。しかし、少しだけ家電製品を活用することで、新しいアウトドアのスタイルを楽しむことができます。エンジンをかけずに1500Wの電気を供給できるアウトランダーPHEVなら、そんなアウトドアレジャーをしっかりサポート可能です」
※ ※ ※
また、アウトランダーPHEVのようなハイブリッドカーはバッテリー残量さえあればエンジンを止めて走ることができるのでエンジン音がせず、静けさを乱すことなくキャンプ場の中を移動できるのもメリットと感じました。
ところで、SUVとしての実用性も気になるかもしれません。今回は大人2人のキャンプとして、2名用のテントひと張り、寝袋&シュラフマット(各2個)、タープ、バーベキューコンロ、テーブル、折り畳みチェア(2個)、50Lのクーラーボックス、そして電気ケトルなどを積んでみましたが、もちろん後席を畳むことなく積載可能です。
これだけの荷物を積んでも荷室には、まだ余裕があるのでファミリーキャンプにも十分対応できます。後席を畳まなくても荷室の奥行きは1mを超え、容量は約463Lもあります。
キャンプに出掛けるのに便利なアウトランダーPHEVは、キャンプ好きやアウトドア好きには要チェックの1台といえるでしょう。
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