現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > WTCRの名を冠する歴代最強のGTI「ゴルフ GTI TCR」、その真骨頂はコーナリングにあり!

ここから本文です

WTCRの名を冠する歴代最強のGTI「ゴルフ GTI TCR」、その真骨頂はコーナリングにあり!

掲載 更新 4
WTCRの名を冠する歴代最強のGTI「ゴルフ GTI TCR」、その真骨頂はコーナリングにあり!

Volkswagen Golf GTI TCR

フォルクスワーゲン ゴルフ GTI TCR

WTCRの名を冠する歴代最強のGTI「ゴルフ GTI TCR」、その真骨頂はコーナリングにあり!

ゴルフ GTI史上最強のパフォーマンスをもつ「TCR」

フォルクスワーゲン ゴルフ GTIの限定車(600台)である「TCR」に試乗することができた。

TCRとは2015年から開催されている「世界ツーリングカーレース」(WTCR)の参戦車両を表すイニシャル。フォルクスワーゲンもこのレースには16年からレーシング部門がカスタマー用にゴルフ GTIをデリバリーし、また自らもワークスとして参戦していた。

“していた”と表現したのは、フォルクスワーゲンが昨年末に2020年以降のモータースポーツ活動を、内燃機関から電動化にシフトすると発表したからだ。これによって残念ながら事実上、フォルクスワーゲンは2019年をもってWTCRへの参戦を終了することとなった。対して同じフォルクスワーゲングループであるアウディとセアトは、その活動を継続する。

歴代トップの最高出力290ps/最大トルク380Nm

今回試乗したのは、このTCRの名前を冠した「ストリートバージョン」。よってホモロゲーションモデルのストイックさはなく、あくまでゴルフ GTIのハイパフォーマンス仕様というキャラクターが与えられていた。

とはいえレーシング由来の名前を背負ったゴルフ GTI TCRには、それ相応のモディファイが施されていた。そのハイライトと言えるのは、ノーマル比でプラス出力60ps/同トルク30Nmもの専用チューンが施されて最高出力290ps/最大トルク380Nmとなった2.0 TSIエンジンだろう。ちなみにその数値はゴルフ GTIとしては歴代最高スペックである。

290psのゴルフ GTIは、非常に穏やかな出力特性を持っていた。簡単に言うとそれは、ゴルフの最強モデルとなる「R」よりも軽やかな印象である。もっともゴルフRは最高出力310ps/最大トルク400Nmを誇り、この高出力を受け止めるべくシャシー側にハルデックスカップリングの4WDを採用している。対してTCRはFWDモデルだから、瞬発的な加速力に劣るのは当然言えば当然かもしれない。

ただそれにしても、ターボエンジンがもたらすブーストのフィーリングなどは、ベーシックなGTIの延長線上にあった。全開でパワーを路面に叩きつけても、フロントタイヤが地面をかきむしるようなそぶりはまったくない。極めて伸びやかに気持ち良く、そのパワーを紡いでいくのであった。

チタンのエキゾーストパイプ他装備も充実

エキゾーストはアクラポビッチ製のチタンパイプに変更されているようだが、その排気音も大人しめ。エミッションの関係からかアクセルを閉じても未燃焼ガスがパンパンと弾けるような演出もなされていない。となるとその旨みは、チタン化による軽量化か。ちなみにTCRの車両重量は標準モデルに対しては30kgほど重いが、ほぼ同じ装備を備える「GTI Performance(260ps)」よりは10kg軽量な1420kgとなっている。

そんなTCRの乗り心地は、エンジンパフォーマンスと同様にジェントルだ。タイヤ径はゴルフRよりも1サイズ大きな19インチにも関わらず、むしろ乗り心地の良さが際立っている。アダプティブシャシーコントロール“DCC”で「スポーツ」を選ぶと、可変ダンパーはやや伸び側減衰力を高めてインリフトを防ぐけれど、それさえ乗り心地の良さを奪うものではない。

エンジン特性に加えて、乗り心地さえもが穏やか。そんなモデルに面白さを感じることはできるのか?

その答えはイエスであり、ノーだ。もしあなたがホンダ シビック タイプRやルノー メガーヌ R.S.トロフィーのような切れ味を求めるならばTCRはお勧めしない。ちなみにゴルフ GTIでは「クラブスポーツS」というモデルがこうしたニュルアタッカーたちへの対抗馬となっているが、このモデルは日本に導入されていない。

しかしもしあなたがこのTCRを日常の友として選ぶならば、望んだ以上の性能が得られると私は思う。なぜならそのしなやかな乗り味と共に、TCRは驚くほどによく曲がるクルマに仕立てられているからである。

リニアな操舵特性としなやかなサスペンション

ハンドリングにクイックさはまるでない。しかし、しなやかに路面を捕らえるサスペンションによって、その操舵応答性は惚れぼれするほどリニアだ。またディファレンシャルには、左右輪のトルク差を0-100%の間で電子制御する油圧式LSDが組み込まれている。ターンインではその作動制限がほぼ感じられず、素直にノーズがインに向く。そしてアクセルを踏み込むほどにフロントタイヤへ駆動力を掛けていく。そしてゴルフRと同じ7速ギヤとなったDSGが、そのトルクを速いテンポで正確に次のギヤへと伝えていく。

荷重移動時にリヤタイヤが路面を離さない安定志向のセッティングはフォルクスワーゲンならではだが、リヤサスペンションは突っ張ることなく伸びてくれるため、ドライバー自身は向きが変わっている感覚は強い。だからそのドライビングにも、退屈を感じないのである。

唯一不満があるとすれば、それは速さではなくブレーキのキャパシティだ。TCRは前後に大径ディスクローターを奢っているが、ワインディングを少しハードに攻めただけでブレーキからは“むわっ”と煙が上がる。そのときタッチに変化や違和感が起こらないところを見るとローターは懸命にその熱を放出しているようだが、パッドの耐熱温度はその速さに対してまだまだ低いように思える。

TCRはゴルフ GTIの完成形にして頂点だ

もしこのTCRに、ノーマルGTIと同じ「XDS」のトルクベクタリング制御が働いているのであれば、速さを増した分だけブレーキパッドの性能はもう少し高めるべきだろう。内輪にブレーキをかけてターンインを補助するこのシステムは、コーナーを曲がるだけでブレーキパッドに熱を与えてしまう。

別にレースをするためのクルマではないのだから、そこまでの性能は必要ないという意見もあるだろう。しかし仮にもTCRの名前を冠するならば、こうした部分でもユーザーに不安や不満を感じさせないで欲しい。同じグループであるポルシェのように。

総じてゴルフ GTI TCRの走りは「ゴルフ GTIの完成形」と言える域に達していた。これはたんなるハイパフォーマンスなGTIではなくて、走り込むほどにクルマとの対話を深めることのできる、玄人好みな一台だと言えよう。とはいえその基本姿勢は、実はノーマルのGTIとなんら変わらない。もっといえば1.4TSIエンジンを搭載するゴルフ TSI ハイラインの延長線上にあるクルマである。つまりそれだけこの7代目ゴルフというクルマは「傑作」なのである。

REPORT/山田弘樹(Kouki YAMADA)

PHOTO/篠原晃一(Koichi SHINOHARA)

【SPECIFICATIONS】

フォルクスワーゲン ゴルフ GTI TCR

ボディサイズ:全長4275 全幅1800 全高1465mm

ホイールベース:2635mm

トレッド:前1535 後1510mm

車両重量:1420kg

エンジン:直列4気筒DOHCターボ

総排気量:1984cc

ボア×ストローク:82.5×92.8mm

最高出力:213kW(290ps)/5400-6500rpm

最大トルク:380Nm/1950-5300rpm

圧縮比:9.3

トランスミッション:7速DCT

駆動方式:FWD

サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後4リンク

ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク

タイヤサイズ:前後235/35R19

燃料消費率(WLTC):12.7km/L

車両価格(消費税10%込):509万8000円

【問い合わせ】

フォルクワーゲン カスタマーセンター

TEL 0120-993-199

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

オジエが豊田スタジアムステージの苦手意識を明かす「僕たちはいつも遅い」/ラリージャパン デイ1コメント
オジエが豊田スタジアムステージの苦手意識を明かす「僕たちはいつも遅い」/ラリージャパン デイ1コメント
AUTOSPORT web
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
ベストカーWeb
ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
AUTOSPORT web
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
ベストカーWeb
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
Auto Messe Web
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
AUTOCAR JAPAN
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
AUTOSPORT web
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
乗りものニュース
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
AUTOSPORT web
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
AUTOSPORT web
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
くるまのニュース
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
AUTOCAR JAPAN
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
AUTOCAR JAPAN
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
AUTOSPORT web
「俺のオプカン~仙台場所~」初開催!「オープンカントリー」を愛する男性ユーザーが集まって工場見学…川畑真人選手のトークショーで大盛りあがり
「俺のオプカン~仙台場所~」初開催!「オープンカントリー」を愛する男性ユーザーが集まって工場見学…川畑真人選手のトークショーで大盛りあがり
Auto Messe Web
「ラリーのコースなのでトンネル工事を休止します」 名古屋‐飯田の大動脈 旧道がレース仕様に!
「ラリーのコースなのでトンネル工事を休止します」 名古屋‐飯田の大動脈 旧道がレース仕様に!
乗りものニュース
紫ボディはオーロラがモチーフ、中国ユーザーが求めた特別なインフィニティ…広州モーターショー2024
紫ボディはオーロラがモチーフ、中国ユーザーが求めた特別なインフィニティ…広州モーターショー2024
レスポンス
『頭文字D』愛が爆発。パンダカラーで登場のグリアジン、ラリージャパンで公道最速伝説を狙う
『頭文字D』愛が爆発。パンダカラーで登場のグリアジン、ラリージャパンで公道最速伝説を狙う
AUTOSPORT web

みんなのコメント

4件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

691.2792.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

18.0804.0万円

中古車を検索
ゴルフ Rの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

691.2792.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

18.0804.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村