F1サンパウロGPの決勝でアルピーヌがまさかのダブル表彰台を獲得し、コンストラクターズ選手権6位に大躍進した。エステバン・オコンが2位、ピエール・ガスリーが3位。カート時代からライバル同士だったふたりはその後半目し合い、F1でチームメイトとなった今も決して仲は良くない。それでも表彰台では、素直に健闘を称え合っていた。
「僕らに賭けようなんて人は、レース前には誰もいなかっただろうね」と、レース後のインタビューで語っていたガスリー。その言葉どおり、今季のアルピーヌは大低迷に苦しみ続けた。
【ポイントランキング】2024年F1第21戦サンパウロGP終了時点
開幕戦バーレーンは予選19、20番手。決勝も17、18位と惨敗状態に終わった。その後、徐々に戦闘力を上げていくが、9、10位入賞が精一杯。中団グループの力関係ではハース、RBには明らかに劣り、ウイリアムズにもこのところは負け続きだ。このまま行けば、いまだノーポイントのキック・ザウバーに次ぐ選手権9位のまま、シーズンを終えそうな情勢だった。
ただし直近2戦の予選ではガスリーが7、8位とトップ10内に入り、復調の兆しは見えていた。今回のサンパウロGPでも、初日フリー走行で10番手、スプリント予選も7番手の速さを見せ、スプリントレースもそのまま7位入賞を果たしている。
そして雨の予選では、ガスリーこそ15番手に終わったが、オコンは波乱の展開の中ノーミスの走りで4番グリッドを獲得した。
その予選から約3時間後に行われた決勝レース。ウエット路面のスタートで、ガスリーは一気に9番手にジャンプアップを果たしたほか、オコンも4番手をキープし、2台は序盤から入賞圏内を好走した。さらに27周目から28周目にかけて、アルピーヌ2台とマックス・フェルスタッペン(レッドブル)を除くほぼ全車がタイヤ交換に向かったことで、ステイアウトしたこの3台がトップ3を形成した。
そしてその直後に、フランコ・コラピント(ウイリアムズ)のクラッシュによる赤旗中断という幸運が訪れた。このタイミングで赤旗が出たおかげで、2台はピットインすることなく摩耗し切ったタイヤを交換することができた。
その後、オコンはフェルスタッペンにかわされて勝利は逃したが、2位でチェッカー。ガスリーはジョージ・ラッセル(メルセデス)猛攻を最後まで凌いで、3位表彰台を守り切った。
ドライ路面のインテルラゴス・サーキットなら、アルピーヌがメルセデスを抑え切ることは到底できなかっただろう。しかし雨のレースでは、マシンの空力効率の優劣以上にウエットタイヤの性能がペースを左右する。
偶然とはいえ、ガスリーとラッセルの自己ベストは、1000分の1秒まで同じ1分21秒645だった。他にも1分20秒台の最速タイムを叩き出したフェルスタッペンは別格として、シャルル・ルクレール(フェラーリ)の自己ベストは0.014秒、ランド・ノリス(マクラーレン)も0.128秒しかガスリーと違わない。雨と幸運が生んだ、アルピーヌのダブル表彰台だった。
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