この2023年で第101回を数えるPPIHCパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムに向け、故ケン・ブロックの妻であるルーシーが初出場を決断。通称“Race to the Clouds(雲に向かうレース)”に精力的に参加した夫の「ドライバーとしての功績を称える」とともに、自身も本戦への挑戦を通じて「夫のモータースポーツとイノベーションへの愛を祝いたい」と意気込む。
すでに今大会での“トリビュート・ラン”実施を表明している愛娘リアとともに、自身もアメリカ大陸でラリードライバーとしての実績を積んできたルーシーは、今季も北米選手権のARAアメリカン・ラリー・アソシエーションにフォード・フィエスタ・ラリー3でレギュラー参戦中。ここまでトップ10の常連となっているものの、彼女にとってもPPIHCは初参戦となる。
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「私の最大の功績はつねに子供たちの母親であり、強く協力的な妻であったこと」だと語ったルーシー。
「ケンのために、今回パイクスピークの頂上までクルマをドライブする機会が与えられたことは光栄よ。彼はアクションスポーツの コミュニティに多大な貢献をしてきたし、PPIHCはケンの精神を前進させ、彼自身がやりたいと思っていたことを実行する方法を私たちにも与えてくれた」
「だからこそ、私たちはこの機会を利用して『43インスティテュート(ケン・ブロックが創設したアスリート、アーティストへの支援機関)』についての意識を高め、夫のモータースポーツとイノベーションへの愛を祝いたいと思っている」
そのルーシーは、かつて夫がドライブしたフォード・エスコートRSコスワース、通称“Cossie V2”のカラースキームを彷彿とさせるトリビュートカラーの『シエラ・エコーEV』を走らせる予定だ。
センターコクピットの高性能バギーを製造するシエラ・カーズ社のレース用オフロード車をベースとした『シエラ・エコーEV』は、同じくユタ州のハイパークラフトUSA社が開発した電動パワートレインを搭載。エネルギー量18.6kWhのバッテリーセルを3個備えることで、最大225kW(約305PS)のピークパワーと498Nmの最大トルクを持続し、約120マイル(約193km/h)の最高速を可能とする。
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シエラ・カーズ社は、今回の参戦に際し“ブロック・エディション”を7台限定で生産し、販売収益の一部はブロック家の運営する『43インスティテュート』に寄付すると表明。「ブランドを構築したり、アクションスポーツに挑戦したり、ドライバーとしてのキャリアを追求したりする機会が得られず“成長と成功のための適切なサポートが不足している可能性のある、並外れた意欲を持った人々にチャンスの道を作る”という同組織の理念に賛同」し、この取り組みで非営利団体のために4万3000ドル(約600万円)を集める予定だ。
「彼らブロック・ファミリーとともに、今季のPPIHCに参加できてとても光栄だ」と語るのは、この同社の創設者で自身もプロドライバーであるコール・パウエルソン。
「ケンが亡くなった直後にもルーシーと話をしていて、彼女が家族とともにモータースポーツに携わり続けることが、彼女にとってどれほど重要であるかを認識した。ルーシーをパイクスピークに参加させることが、僕らが最もポジティブな影響を与えることができる場所のように思えたんだ」と続けたパウエルソン。
「レース当日にパイクスピークの頂上に立つことは、今まで経験した中でも最大の喜びのひとつになるだろう。それをルーシーやリアと共有できることが、今年最も楽しみにしていることさ」
そのパウエルソンと同じく「ケンは何十年にもわたって、我が社の多くのメンバーにとって大きなインスピレーションを与えてくれた」と語るのは、ハイパークラフトUSA社の共同創設者兼最高マーケティング責任者のジョナサン・ミラー。
「ルーシーと協力し、この伝説のマウンテンに彼女を連れて行く『シエラ・エコーEV』のパワートレイン供給企業となる機会は、控えめに言っても非常に光栄だ」
「我々もまたブロック一家が彼らの父親と同じように次世代のパフォーマンス・カルチャーにインスピレーションを与えるのを目撃することができて、本当に興奮している」
競技部門に参加する母ルーシーとともに、前述のとおり父の遺作でもある1400PSのモンスター4WD『Hoonipigasus(フーニピガサス)』のステアリングを握るリアは、タイム計測のない“トリビュート・ラン”を実施予定。2021年のNitorRXナイトロ・ラリークロスではシエラ・カーズのワンメイク部門で表彰台も獲得している彼女だけに、母と同じく現地では父に捧げる走りを披露してくれるはずだ。
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