セブリングのクラス優勝を目指した大改良
今回お借りしたブリティッシュ・レーシンググリーンのMGAは、いつになく特別だ。1960年3月のアメリカ・フロリダ州で開かれた、セブリング12時間レースを4位でフィニッシュして以降、殆ど姿を変えていないのだから。
【画像】競技人生を物語る凛々しさ MGA ツインカム・ワークスマシン 同時期のレーシングカーたち 全148枚
やや艶の薄れた塗装に、丸いスポットライト、ツインカムのエンジン、いまお尻に敷かれているシートまで、64年前にMGのワークショップを旅立った時のまま。ドライバーのジム・パーキンソン氏とジャック・フラハティ氏が見た姿と、殆ど違わない。
グレートブリテン島ではよくある土砂降りの中、130km先の目的地まで運転することが、うしろめたく感じても当然だろう。現在の走行距離は、1万kmを過ぎたばかり。1年間の平均では、160km弱しか走ってこなかった計算になる。
MGのワークス・レーシングカーとして誕生したこれは、飾られるために設計されたわけではない。1958年のAUTOCARを読み返すと、ベース車両になった量産仕様のMGA ツインカムですら、モータースポーツを嗜むドライバー向けだと記されている。
そのMGA ツインカムは、デザイナーのシド・エネバー氏によるスタイリングをまとって1955年に発売された、オリジナルのMGAと同じように見えた。しかし、1300-1600ccクラスの市販車レースで勝利するため、大幅な改良が施されていた。
DOHC化で最高出力58%増し 最高速度は183km/h
Bシリーズと呼ばれた直列4気筒エンジンは、シリンダーの内径(ボア)を73mmから75.4mmへ拡大。排気量が1489ccから1588ccへ増やされていた。後に、通常のMGAにも、1.6Lエンジンは積まれているが。
さらに、最大のアップデートといえたのが、アルミニウム製のダブル・オーバーヘッド・カムシャフト(DOHC)・ヘッドの採用。スチール製だったシングルカム・ヘッドからの、大きな進歩といえた。
ブレーキは、ダンロップ社製のディスクが標準。センターロックのノックオフ・スチールホイールも、始めから備わった。
MGは、1955年にBシリーズ・エンジンのツインカム仕様を実験。アイルランド島北東部のダンリッドで開かれた公道レース、RACツーリスト・トロフィーでは、流線型ボディをまとったマシンで、1956年と1957年にクラス最高速記録を塗り替えた。
1958年に発売された量産仕様のMGA ツインカムでは、コンロッドとピストンの形状を変更し、圧縮比を9.9:1へ上昇。だが、それ以外は通常のBシリーズのままだった。
重さは23kgほど増えていたが、58%増しとなる109psの最高出力を、6700prmで発生。最大トルクは35%多い、14.3kg-m/4500rpmを得た。
当時のAUTOCARは、MGA ツインカムの動力性能をテスト。0-100km/h加速を、シングルカムのMGAから1.7秒短い13.3秒でこなし、145km/hへの加速では15.0秒速いことを確認した。最高速度も、22km/h上昇の183km/hに届いたようだ。
6台作られたMGA ツインカムのワークスマシン
かなりの競争力向上といえたが、ドライバーの関心を惹くには、露出を高める必要があった。携帯電話もない時代に、実力を広く知ってもらう方法はただ1つ、モータースポーツでの勝利だ。
1950年代には、MGがターゲットとする人の80%は北米大陸に住んでいた。自ずと、参加するレースもアメリカでの開催へ絞られた。
アメリカ人起業家でレーシングドライバーとしても活躍した、ブリッグス・カニンガム氏がフロリダ州にセブリング・インターナショナル・レースウェイを完成させて以来、MGは積極的に参画。以前から、12時間レースへレーシングカーを提供してもいた。
グレートブリテン島の中南部、アビンドン・オン・テムズを拠点とする技術者は、1959年に3台のワークスカーを準備。その年の12時間レースは雨が続いたが、2台が1300-1600ccクラスで2位と3位に入る、好成績を収めた。
翌1960年には、それ以上の成績が目指されて当然だろう。年が明けると、アッシュ・グリーンに塗られた6台のMGA ツインカムが製造ラインから抜き取られ、コンペティション部門へ搬入。レーシングカーの製作が始まった。
メカニズムは殆どオリジナルのままだったが、エンジンには2インチのSUキャブレターを2基装備。フロントグリルの横に吸気口が設けられ、より多くの空気がエンジンルームへ導かれた。オイルフィラーキャップまで専用品になった。
アメリカ・フロリダ州へ搬送された4台
4速マニュアルには、クロスレシオのギアをセット。リミテッドスリップ・デフも与えられた。ボンネットには、アメリカ・フロリダ州の陽気に備え、キャビンへ冷気を送るダクト用のインテークが追加された。
長距離用の20ガロン(約78L)・ガソリンタンクを積むため、荷室のフロアは切断。給油キャップがトランクリッドの横に顔を出し、素早い補給を可能とした。
前後のバンパーは外され、ヴァンデンプラ社製のアルミ製ハードトップを装着。ブリティッシュ・レーシンググリーンの再塗装で、全体が仕上げられた。シャシーは、センタージャッキで持ち上げられるよう、改良された程度だ。
6台のワークスマシンは、1960年2月16日に完成。MGの英国代理店、クロウソーン・モーターズへ届けられると、4台がフロリダへ搬送された。残る1台はグレートブリテン島に残り、もう1台はカナダ人によって買い取られた。
セブリングへ向かった4台には、UMO 93からUMO 94、UMO 95、UMO 96という、通しのナンバーが与えられた。いずれも、バークシャー州での登録だった。
UMO 94は練習用で、3チームが共有。ゼッケン38番が振られた、UMO 95のステアリングホイールを握ったのは、英国人のエドワード・ランド氏とコリン・エスコット氏。1959年のル・マン24時間レースで、エドワードはクラス優勝を遂げていた。
39番のUMO 96は、カナダ人のエド・リーブンス氏とフレッド・ヘイズ氏がドライブ。今回ご登場願った40番のUMO 93は、アメリカ人のジム・パーキンソン氏とジャック・フラハティ氏のチームへ割り当てられた。
この続きは、MGA ツインカム・ワークスマシン(2)にて。
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みんなのコメント
タイヤは食わんしブレーキは効かんし
相当おっかないやろなー