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ランチア デルタ HFイングラーレ暴騰中! 国外流出が加速する背景とは?

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ランチア デルタ HFイングラーレ暴騰中! 国外流出が加速する背景とは?

一時、日本の中古イタ車市場で数多く流通していたランチア「デルタ HFインテグラーレ」は、その多くが海外へ輸出されてしまったという。しかも、現地では驚くほど高額で売買されている。現況はいかに?

注目のネットオークション

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新型コロナウィルスの惨禍に、全世界の自動車業界も大きな打撃を受けている。3月のジュネーヴ・ショーが中止になって以降、あらゆるモーターショーがペンディング状態。モータースポーツも中止・延期のラッシュである。

クラシック・カー業界にも甚大な影響は及び、2月にパリで開催された「レトロモビル」を最後に、大規模なイベントはすべて延期ないしは中止。そしてオークションも、3月に北米で開催された「アメリア・アイランド」以降、予定されていたものはすべてペンディングになっている。

そんな状況のなか、業界最大手の1社である「RMサザビーズ」は 5月21日から29日まで「DRIVING INTO SUMMER」と称した、オンライン限定のオークションを開催した。

コレクションカーをネット上で競売するというアプローチは、今年3月くらいから試験的におこなわれていたようであるが、大手オークショネアが事前のプロモーションをおこない、開催するのは、おそらくこれが初めてではないか?ということで、業界ではかなり注目されていた。

5月中旬、競売がスタートする以前のプレビュー段階で、筆者が個人的に気になっていた出展車両の1台が、9万ドル~11万ドル(邦貨換算で約964万円~約1078万円)という、少々強気なエスティメート(推定落札価格)を設定していた、1994年型ランチア「デルタHFインテグラーレ・エヴォルツィオーネII」である。

デルタ・インテグラーレは、FIA「グループA」規約で闘われることになった世界ラリー選手権(WRC)制覇を目指し、ランチアと旧アバルト技術陣が開発したスーパーウェポン。

コンパクト・ハッチバック車であるデルタのボディに、2.0リッターの直列4気筒ガソリンDOHCターボ・エンジンとフルタイム4WDシステムを押し込んだモンスター的モデルだった。

当初は「HF4WD」として1987年にデビューするが、翌1988年にはエンジンをさらにチューンするとともに、ブリスターフェンダーを与えた「インテグラーレ」に進化。1989年にはエンジンを気筒当たり4バルブ化した「インテグラーレ16V」。1992年には、アバルト開発陣の手でボディのワイド化を図った「エヴォルツィオーネ」。そして 1993年には「エヴォルツィオーネII」と、ラリーでの戦闘力アップを図るために次々と進化を繰り返した。

その結果、WRCでは6年連続メイクスタイトルという前人未到の戦果を挙げた。また、スーパーカー的なエッセンスも湛えた独特のセンスもあって、市販ロードカーとしても熱狂的支持を得てきた。

7万ドルまで入札されるも……

ランチア・デルタHFインテグラーレと言えば、“ヤングタイマー”と呼ぶ1980~1990年代のネオ・クラシックカーのなかでも、国際マーケットにおける相場価格が近年になって一気に高騰してしまったことでも知られている。

歴代モデルの中でも「エヴォルツィオーネ」および「エヴォルツィオーネII」の人気は格別で、2000年代初頭には300~400万円の売り物が普通に流通していたが、2010年代中盤以降は軒並み1000万円前後のプライスを掲げるようになってゆく。

とくに、日本に向けて限定生産されたファイナルバージョン「コレッツィオーネ」や、イエローボディの「ジアッラ」。ブルー・メタリックのボディに、クリーム色のレザー内装を組み合わせた「ブルーラゴス」。あるいはWRC制覇を記念して、白いボディにワークス・ラリーカーを彷彿とさせるマルティーニ・カラーのストライプが施された「マルティーニV/マルティーニVI」などの限定モデルになると、その市場価格は天井知らず。1500万近い高値で取り引きされる事例が、世界各国で見受けられた。

ところが、日本におけるマーケット相場が諸外国と比べて相対的に低かったうえ、当時日本に正規輸入された車両はすべて左ハンドル仕様だったのもあって、多数のインテグラーレが海外へ流出してしまった。

実は今回の出品車両も、日本から海外に流れた1台である。エンジンルームにJAIA(日本自動車輸入組合)のコーションステッカーが貼られていることからも判るように「ガレーヂ伊太利屋」が正規輸入。日本国内で長年大切に所蔵されたのち、アメリカのディーラーに渡った1台とされている。走行距離は約3万8000kmと年式を考えれば少なめで、オリジナル性やコンディションでも極上とうたわれていた。

今回の「DRIVING INTO SUMMER」はオンライン限定の競売ということで、通常の対面型オークションのように1台につき数分で勝敗が決してしまうのではなく、5月21日から出品ロットナンバー順に競売がスタートし、5月28日ないしは29日の締め切りまで、世界中からいつでも入札できるシステムとなっていた。

このデルタHFインテグラーレ・エヴォルツィオーネIIについては、競売スタートから4日目、現地時刻5月24日15:00の時点で入札は5件。5万5000ドルまで上昇した。

その後、締め切り当日の28日には5万9000ドルからジリジリと上昇。最終的には14件のオンライン入札が入り、最高額7万ドル(約754万円)で終了となった。ところが、オーナーが設定した最低落札価格には到達しなかったため、締め切り直後に「Still for Sale」。つまり、この競売は残念ながら流札に終わり、オークショネア側でフォロー販売に回すことが伝えられたのだ。

冒頭で記したとおり、今回出品されたデルタHFインテグラーレに設定されたエスティメート(9万ドル~11万ドル)は、限定モデルではないスタンダード版のエヴォルツィオーネIIとしては、なかなか強気だったように思われる。実際のオークションでは最高額でも7万ドルに終わってしまったが、はたしてこれが新型コロナウィルス禍の真っただ中にある現在の国際マーケット相場なのか?それとも、オンライン限定オークションの特質なのか?

その答えは、このあとにも開催されるオンラインオークションを注視することで、見極められることだろう。

文・武田公実

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みんなのコメント

5件
  • 残るは、テーマ832かな。
    流失=手放した結果だから、維持が大変なんだろうけど、
    イタリアやヨーロッパの道を走れたら、デルタにとっては
    幸せなのかもしれない。
  • イタリアの変態が作った変態の変態による変態のための変態クルマだ。

    1.ベース車を販売します。
     ランチア社は自社の中で割とコンスタントに売れている「デルタ」に目を付けました。
    2.さすがに1.5LのSOHCエンジンではつまらないので、1.6LのDOHCエンジンに換装しました。
     ついでにタービンも載せたので標準グレードなんかメじゃありません。
    3.排気量1.6Lとはいえターボ車になってしまったため、
     トラクション確保という言い訳として4WDにしました。もはや別物です。
    4.駆動方式が4WDになったら、今度はタイヤ幅で接地面積を稼ぐしかありません。
     前後ブリスターフェンダーになって仰々しくなったけど、必要だからしょうがない。
    5.ラリーに出るので細かい部分をゴッソリ更新しましょう。
     原型はもはやガラスくらいでしょうか。
    6.上記が良い感じなので第2弾も出しました。もちろん魔改造済です。

    やっぱ変態じゃねーか!
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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