現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【左右も本数もバラバラ!!】マフラーの位置 なぜ違う?? 差別化の意義と狙い

ここから本文です

【左右も本数もバラバラ!!】マフラーの位置 なぜ違う?? 差別化の意義と狙い

掲載 更新
【左右も本数もバラバラ!!】マフラーの位置 なぜ違う?? 差別化の意義と狙い

「マフラー」は、エンジンが付いている車であれば、どんな車種にも付いている当たり前のパーツ。

 しかし、車の後ろに回ってみると、車種によって、左右どちらかに1本しかないもの、左右にひとつずつあるものなど、その本数や位置はマチマチで全く統一されていません。

【1年に1回は交換を!!】油断してたら超絶進化「ワイパー」の実力と可能性

 なぜマフラーの本数や位置はバラバラなのでしょうか? 差別化する必然性は、技術が発展した今もあるのでしょうか?

 本稿では、高級輸入車からコンパクトカーまで、あらゆるマフラーを見てきた元レクサス営業マンの佐々木亘氏が、その理由を解説。

 マフラーの意義は時代とともに変わりつつあります。

文:佐々木亘(自動車コンサルタント)
写真:編集部、TOYOTA

かつてマフラーの「位置」にも意味があった

写真はロードスター。右側に2本出しのマフラーを採用し、給油口は逆の左側に付いている

 エンジンから排出された高温の排気ガスは、マニホールドからセンターパイプを通り、サイレンサーを通って外に排出されます。

 エギゾースト機構のなかで、通称「マフラー」と呼ばれるのは、排気ガスの最後の通り道である「サイレンサー」の部分です。

 エンジンは、エンジンルームの中央に配置されることが一般的で、マニホールドやセンターパイプも中央部分に配置されていることが多いです。

 そこからパイプが湾曲し、排気口が右や左へと振り分けられます。部品点数や排気効率を考えると、真っ直ぐ来たパイプを、曲げてしまうことにはデメリットしかないように思えますが、これには2つの理由があります。

【1】「左右」の違いは引火を防ぐため

 排気ガスは非常に高温で、引火物であるガソリンとは本来、できるだけ距離をとるべきものです。そのため昔の車は、給油口とマフラーの位置が左右反対になっていることが多く、給油口が運転席側であれば、マフラーは助手席側から出ていました。

 ただ、現在は耐熱性能が向上し、マフラーの温度上昇をコントロールできるようになったため、ガソリンの引火のリスクがなく、ガソリンタンクとマフラーを近づけても危険性は少なくなりました。

 現在も、昔の名残や下回りの部品取り回しから、給油口と反対側に出ている車のほうが多いです。

マフラーの「本数」は大排気量の証!?

写真はレクサス RC F。5L・V8エンジンを大排気量車らしく左右4本出しのマフラーを採用

【2】「本数」の違いは排気量と静粛性を考慮したため

 エンジン排気量が大きくなると、燃料の燃焼量が大きくなり、排気ガスの量も増えます。ひと昔前は、「マフラーの本数は大型排気量の証」であり、一種の「ステータス」であったため、エンジン排気量に合わせて、マフラーの本数を増やしていました。

 しかしながら、現在では、小排気量車でも2本出しのマフラーがあり、排気量に関係なく本数のバリエーションが増えています。

 また、消音性を高めるために、複数本のマフラーにしている場合もあります。

 静粛性を高めるには、サイレンサーの径を大きくしたいのですが、法律で規定されている車両の最低地上高を確保する必要があるため、サイレンサーの径を大きくするには、そのぶん車高を高くする必要があります。

 この時、サイレンサーの数を1つから2つに増やすと、サイレンサーの径を大きくしたのと同様の消音性を得ることができます。

 つまり、スポーツイメージが強くなる「2本出しマフラー」は、サイレンサーの個数が増えるために、「排気音量アップ」というよりも「音量ダウン」となっているケースもあるのです。

「機能」で位置や本数が変わる時代を経てマフラーは「デザインの一部」に

スイフトスポーツは1.4Lターボと小排気量エンジンながら左右2本出しのマフラーを採用

 現在の車のマフラーは、マフラーが元来持っていた「スポーティ・高級・エレガント」といったイメージを印象付けるためのひとつの要素となっていることが多いです。

 例えば、マツダ ロードスター(右2本出し)や、スズキ スイフトスポーツ(左右2本出し)のように、1.5L前後の小排気量車でもスポーツイメージから2本出しマフラーは当たり前であり、レクサス LFAのような4.8L・V10のモンスターエンジンでも、マフラーは中央の3本出しです。

 位置や本数は、本来の目的のためではなく、車種ごとのイメージによって、デザインの一部になっているのが実情なのです。

◆  ◆  ◆

 プリウスなど、一部のハイブリッド車は、環境イメージを良く持たせるため、マフラー出口を隠しています。

 このように、自由にデザインできることは、車のデザイン性を高める要素にもなり、意味をなしていないからと言って、一概にマイナスとは言えません。

 現在では、マフラーは車のデザインの一部であり、アクセサリー的な存在となっているのです。

■佐々木亘(自動車コンサルタント)/大学卒業後、金融業に従事するも自動車業界への眺望が捨てきれず、自動車ディーラー営業職へ転職。レクサス・セールスコンサルタントとして7年間勤める。より良いカーライフを多くの人に提案・提供するため、自動車コンサルタントとして独立し、エンドユーザーを意識した、クルマに関する情報発信を行っている。

こんな記事も読まれています

昨日?そんな昔のことはもう忘れた…捨て去った過去と断ちきれない想い出!【アメリカンカープラモ・クロニクル】第25回
昨日?そんな昔のことはもう忘れた…捨て去った過去と断ちきれない想い出!【アメリカンカープラモ・クロニクル】第25回
LE VOLANT CARSMEET WEB
日産「新型スポーティ“セダン”」世界初公開! 美麗ボディ&4連テールが超カッコイイ! 「次期型アルティマ!?」な「エポック」中国で発表
日産「新型スポーティ“セダン”」世界初公開! 美麗ボディ&4連テールが超カッコイイ! 「次期型アルティマ!?」な「エポック」中国で発表
くるまのニュース
【北京モーターショー2024】ホンダ eNシリーズ第2弾e:NP2とe:NS2を公開。中国で2035年までにEV販売比率100%を目指す
【北京モーターショー2024】ホンダ eNシリーズ第2弾e:NP2とe:NS2を公開。中国で2035年までにEV販売比率100%を目指す
Auto Prove
レクサスが今秋に新型GX550を日本で通常販売すると発表。合わせてGX550“OVERTRAIL+”を先行販売するとアナウンス
レクサスが今秋に新型GX550を日本で通常販売すると発表。合わせてGX550“OVERTRAIL+”を先行販売するとアナウンス
カー・アンド・ドライバー
元大関“小錦”も愛用!! ARTS VOLTのペダルレス特定小型原付「K−KOHOLA」 2024年モデル発売
元大関“小錦”も愛用!! ARTS VOLTのペダルレス特定小型原付「K−KOHOLA」 2024年モデル発売
バイクのニュース
“爆速ターボ”搭載!? マツダ新型「最強ハッチ」実車公開! めちゃ速&シャコタンな「MAZDA3」登場
“爆速ターボ”搭載!? マツダ新型「最強ハッチ」実車公開! めちゃ速&シャコタンな「MAZDA3」登場
くるまのニュース
【訃報】元ニッサンワークスドライバーの都平健二さんが逝去。ハコ車の名手として名を馳せる
【訃報】元ニッサンワークスドライバーの都平健二さんが逝去。ハコ車の名手として名を馳せる
AUTOSPORT web
新型スイフトは質感が爆増!! ヤリスは驚異の燃費36km/Lを記録! ベーシックコンパクト最新勢力図
新型スイフトは質感が爆増!! ヤリスは驚異の燃費36km/Lを記録! ベーシックコンパクト最新勢力図
ベストカーWeb
【MotoGP】スペインGPでKTMビンダーがダークホースに? 予選Q1行きも調整でブレイクスルー「バイクを取り戻した感じ」と自信
【MotoGP】スペインGPでKTMビンダーがダークホースに? 予選Q1行きも調整でブレイクスルー「バイクを取り戻した感じ」と自信
motorsport.com 日本版
BEV販売台数が100万台に到達! MINIは新型予告! BMWグループ「2024年第1四半期の販売台数」を発表
BEV販売台数が100万台に到達! MINIは新型予告! BMWグループ「2024年第1四半期の販売台数」を発表
THE EV TIMES
ホンダが斬新“タテ目”の「新型スポーティSUV」実車初公開! 光り輝く「インテリア」は高級感アリ! “超静音”実現した「新型Ye S7」北京で初披露
ホンダが斬新“タテ目”の「新型スポーティSUV」実車初公開! 光り輝く「インテリア」は高級感アリ! “超静音”実現した「新型Ye S7」北京で初披露
くるまのニュース
復帰戦の元王者ゴメスが鮮烈ポール獲得の週末は、逆転の新鋭がキャリア通算2勝目を記録/SCB第3戦
復帰戦の元王者ゴメスが鮮烈ポール獲得の週末は、逆転の新鋭がキャリア通算2勝目を記録/SCB第3戦
AUTOSPORT web
【MotoGP】好調確信ビニャーレス、スペインで連勝なるか? ライバルは「マルケスとバニャイヤが強いだろう」
【MotoGP】好調確信ビニャーレス、スペインで連勝なるか? ライバルは「マルケスとバニャイヤが強いだろう」
motorsport.com 日本版
【F1第5戦無線レビュー】苦戦予想を覆し、2位表彰台を獲得したノリス「結局は最高のレースをしたってことだ」
【F1第5戦無線レビュー】苦戦予想を覆し、2位表彰台を獲得したノリス「結局は最高のレースをしたってことだ」
AUTOSPORT web
ランドローバー、プレミアムコンパクトSUV「ディスカバリー スポーツ」2025年モデルの受注を開始
ランドローバー、プレミアムコンパクトSUV「ディスカバリー スポーツ」2025年モデルの受注を開始
月刊自家用車WEB
ホンダ新型「ヴェゼル」発売! オシャレ仕様「PLaY」何が変わった? ガソリン車が異例の4WDのみとなった理由は?
ホンダ新型「ヴェゼル」発売! オシャレ仕様「PLaY」何が変わった? ガソリン車が異例の4WDのみとなった理由は?
くるまのニュース
【セミナー見逃し配信】※プレミアム会員限定「モビリティサービスのリ・デザイン最前線~ライドシェアは幸せの量産をもたらす魔法の杖なのか~」
【セミナー見逃し配信】※プレミアム会員限定「モビリティサービスのリ・デザイン最前線~ライドシェアは幸せの量産をもたらす魔法の杖なのか~」
レスポンス
スーパーGTが予選方式を微調整。Q1基準タイムの撤廃で、ピットスタートのリスクが軽減
スーパーGTが予選方式を微調整。Q1基準タイムの撤廃で、ピットスタートのリスクが軽減
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

289.9368.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

22.0528.0万円

中古車を検索
ロードスターの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

289.9368.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

22.0528.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村