■クルマの部品が溶けるほど暑い猛暑で、どんなトラブルが起きたのか
猛暑日続きの夏が、終わりに近づいています。2019年も、暑さの影響によるクルマのトラブルが、全国各地で発生しました。いったい、どのようなクルマのトラブルが起きたのでしょうか。
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JAFの調べによると、夏のトラブルを代表する「バッテリー上がり」は、年間を通じて出動回数のトップとなっており、2019年7月の出動回数も5万262件と、5万件を超えました。
原因は、雨が多く蒸し暑いこの時期に、エアコンやワイパーなどの電装品を使う機会が多くなることが考えられます。しかし、京都に住むKさんは、信じられない理由でバッテリーが上がっていたことに気づきました。Kさんは次のように話します。
「朝、自宅の駐車場からクルマで出かけようとしたら、バッテリーが完全に上がっていました。室内灯やスモールランプの消し忘れなどもないのに、なぜだろうと思ってロードサービスを呼んでエンジンをかけてもらったんです。
その後、整備工場で調べてもらったところ、今回のバッテリー上がりはなんと、外気温が異常なまでに上昇したことにより、ブレーキランプのリレー周り(電気回路のオン・オフの切り替えをおこなう部品)が溶けて、ランプが点灯したままになっていたというのです」
※ ※ ※
暑さによる被害はそれだけではありません。猛暑の影響を受けたタイヤの劣化(ひび割れなど)や、空気圧不足などによって、走行中に突然タイヤがバーストするトラブルが急増しています。
現在までに公表されているJAFのデータによると、タイヤのパンク、バースト、エアー圧(空気圧)不足の件数(4輪車合計)は
●2019年4月:3万2687件(19.38%)
●2019年5月:3万3194件(20.02%)
●2019年6月:3万3453件(21.56%)
●2019年7月:3万6719件(20.96%)
と、夏に向かうにつれてタイヤのパンクやバースト、空気圧不足によるトラブルが多くなっています。
2019年8月のデータは、本記事の執筆(2019年8月下旬)時点では出ていませんが、2018年は、7月の3万8995件に対して、8月は4万392件と4万件を超えました。
徐々に空気が抜けていくパンクと違って、バーストは高速道路の走行中などに突然やってきます。少なくとも2か月に1回程度は空気圧をチェックし、ひび割れなど劣化が進んでいないかを確認しておきましょう。
■猛暑のせいで高速道路の料金所でトラブル? ドライブ時に気をつけたい注意点とは
皆さんはクルマから降りる際、ETCカードを抜いていますか。炎天下となる屋外の駐車場では、夏はとくに抜いたほうが安全です。
というのも、ETC車載器(ETCカードを入れる機械)の設置場所にもよりますが、後付けの車載器でフロントガラスの真下、直射日光を受けるダッシュボードにセットされている場合は、入れっぱなしのETCカードが長時間60度から70度の高温に晒されることになり、熱に弱いICチップ部分がダメージを受けることがあります。
熱でダメージを受けると、ETCゲートに近づいても反応しなくなり、ゲートが開かないトラブルに見舞われる恐れがあるので、注意が必要です。
また、オートライトの義務化に対応したマツダ「マツダ3」では、猛暑によるオートライトの不具合も報告されています。具体的には熱により、オートライトのセンサーにエラーが発生するとのことで、エアコンをつけてしばらく冷やしておくと正常に戻るようです。
※ ※ ※
一般的な乗用車で起きる猛暑が原因のトラブルがある一方、フェラーリやランボルギーニなどのスーパーカー、とくにちょっと古い年式のモデルでありがちな猛暑トラブルには、どういったものがあるのでしょうか。
1970年代のものから最新モデルまで、多くのスーパーカーを扱っているスーパーカーアドバイザーの伊藤隆利さん(ガラ・オートモーティブ株式会社営業主任)は、次のように話します。
「おそらく猛暑が原因かな、と思われるトラブルは数多くあります。イベントへの参加で炎天下に約3時間放置したのちクルマに戻ると、ルームミラーが脱落していたり、パワーウインドウが動かないといった事例がありました。どちらのモデルも旧車のフェラーリです。
また、スーパーカーでお決まりのトラブルとしては、エアコンの使用によるエアコンコンプレッサーの故障やガス漏れ、バッテリーの“死亡”によりエンジンが始動しない、といったことなどがあります。
最新のスーパーカーではこのようなトラブルはありませんが、クラシケ(クラシック)フェラーリなどの場合はよくあります。そのため、真夏に乗ることを控えているオーナーが多いのも事実です。
なお、古いスーパーカー全般にいえることですが、昔のボディ塗装は質が悪く、熱害によって塗装面を傷めてしまう危険性があります。そのため、炎天下は1番の大敵です。
加えて、フロントウインドウ、リアウインドウなども、古い車両にはUVカットや紫外線対策品はないので、オーナーは運転中もかなり日焼けします。
新旧問わずいえることは、猛暑により炎天下に放置すれば、外装や内装を少なからず傷めてしまうことですね」
8月も間もなく終わりとなりますが、猛暑で蓄積されたクルマへのダメージが形になって出てくるのはこれからです。大事故につながる前に、運転前の点検、整備をおこなうことが重要だといえます。
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