現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > いま買い時か!? 「DB7」で始めるアストンマーティンライフに待っているものとは?

ここから本文です

いま買い時か!? 「DB7」で始めるアストンマーティンライフに待っているものとは?

掲載 5
いま買い時か!? 「DB7」で始めるアストンマーティンライフに待っているものとは?

■現代アストンマーティンの基礎をつくった「DB7」とは?

 2020年春から、COVID-19対応でオンライン限定を余儀なくされていたクラシックカー/コレクターズカーの国際オークションだが、業界最大手のひとつであるボナムズ社が9月20日に開催した「The Bonmont Sale 2020」あたりを皮切りに、リアルな対面型オークションもオンラインと併催のかたちながら、欧米各国で再開の兆しを見せているようだ。

500万円で憧れのボンドカー、アストンマーティン「DB5」が手に入る!?

 スイス国内でおこなわれた「The Bonmont Sale 2020」については、VAGUEでもいくつかのレビューを紹介済みなのだが、実はボナムズ社では同じ9月20日に、同社が本拠を置く英国内においても、オンラインと対面型を併催したオークション「BONHAMS MPH September Auction」を開催していた。

 イングランド・オークスフォードシャー州ビスターの空軍基地跡地に作られたクラシックカーの楽園「ビスター・ヘリテージ(Bicester Heritage)」にておこなわれた「MPH September Auction」では、英国車を中心とする100台以上のクラシックカーとコレクターズカーが出品されたのだが、今回VAGUEが注目したのは今世紀初頭のアストンマーティンである「DB7ヴァンテージ・サルーン」と「DB7ヴァンテージ・ヴォランテ」の2台の12気筒モデルだ。

●2001 アストンマーティン「DB7ヴァンテージ・サルーン」

 まず紹介するのは、クローズドボディのDB7ヴァンテージである。

 2000年に正式リリースされたDB7ヴァンテージは、アストンマーティンを民主化したともいわれるヒット作、1994年から生産された「DB7」のスープアップ版だ。

 1950年の「DB2」以来、アストンマーティンの高性能バージョンにおける伝統となってきた「ヴァンテージ」の名を冠し、スタンダードDB7に追加設定というかたちをとってはいながらも、実質的にはマイナーチェンジであった。

 イギリスでは「シリーズ1」とも呼ばれる初期型DB7から、もっとも大きな変更となったのはパワーユニットである。DB7がジャガー「XJ6」用のAJ6型直列6気筒DOHC24バルブの3.2リッターユニットに、機械式スーパーチャージャーを組み合わせて搭載したのに対して、「シリーズ2」ことDB7ヴァンテージでは、一気に6リッターのV型12気筒4カムシャフト48バルブ自然吸気ユニットにジャンプアップを果たした。

 まもなく生産を終えると伝えられている「ラピードAMR」の心臓部として、今なおギリギリ現役のポジションにあるV12NAエンジンは、当時親会社であったフォードの「モンデオ」などに搭載されたV型6気筒4カムユニットを2つ組み合わせたものともいわれる。

 同じV12でも同時代のフェラーリなどと比べると、パワーでは若干分が悪いものの、サウンドやトルク感も野太くて、じつにアストンらしい魅力的なフィールの持ち主である。

 パワーはDB7シリーズ1でも330psを発生していたが、DB7ヴァンテージは420psに到達。6速MT仕様では298km/hの最高速度を標榜し、名実ともにスーパーカーと呼ばれるに相応しいパフォーマンスをもたらした。

 今回出品されたDB7ヴァンテージ・サルーン(アストンマーティンでは「クーペ」を「サルーン」と呼ぶのが伝統)は、2001年に生産され、英国内にデリバリーされた1台。現状でオドメーターの示す走行距離は2万9870マイル(約4万7000km)と、年式のわりには比較的少なめである。

 また、ボナムズ社が作成したオークションWEBカタログを見る限りでは、外装のコンディションも極めて美しいのだが、設定されたエスティメート(推定落札価格)は2万4000-2万8000ポンド、日本円換算では約320万円-約380万円という、V12エンジンのアストンマーティンとしては、かなりリーズナブルに感じられるものとなっていた。

 しかも、今回のオークションでは最低落札価格に届かず「継続販売」となってしまったことを思うと、やはり新型コロナ禍におけるコレクターズカーの市場が、ここ数年の高騰・高値安定志向から大きく変貌しつつあるかに感じられてしまったのである。

■「DB7ヴァンテージ」は、いま買いどきなのか!?

 ボナムズ「MPH September Auction」に出品された、もう1台のアストンマーティンDB7ヴァンテージは、2+2コンバーチブルの「ヴォランテ」である。

●2002 アストンマーティン「DB7ヴァンテージ・ヴォランテ」

 アストンでは「DB6」時代初期に「DB5ドロップヘッド・クーペ」をベースにDB6のディテールを与え、わずか37台が製作された「アストンマーティン・ヴォランテ(通称ショートシャシ・ヴォランテ)」以来、コンバーチブル版をヴォランテと呼ぶようになり、DB7シリーズでもその慣習が踏襲されていた。

 今回の出品車であるDB7ヴァンテージ・ヴォランテに対して、ボナムズ社は1万6000-2万ポンド、日本円に換算すれば約210万円-270万円という、ちょっと驚いてしまうほどに控えめなエスティメートを設定していた。

 クラシックカービジネスの世界では「ドアの数は少ないほうがいい。できればルーフは無いほうがいい」などとしばしばいわれるのだが、こと今回の出品車については同じオークションに出品されたDB7ヴァンテージ・サルーンよりも、大幅に安価な設定とされていたのだ。

 しかし、ボナムズ社が作成したオークションWEBカタログに正直に記された「In need of some re-freshing(リフレッシュが必要)」の一文を見れば、安価なエスティメートの理由が判ってくるだろう。

 現状での走行距離は約5万7000マイル、約9万7000kmとけっこう伸びてはいるものの、18年落ちであることやヨーロッパでのクルマの使用環境を思えば、一概に「過走行」とは言えないレベルである。

 また、WEBカタログによると、エンジンや5速ATなどの機関部について「has been serviced and is now running and driving well.(メンテナンスを受け、良く走る状態にある)」と記されているなど、メカニカルコンディションは完調と思われる。

 それでもエスティメートが低く見積もられてしまったのは、エクステリア/インテリアともに、かなり難アリのコンディションが最大の要因であろう。

 エンジンフードはクリア塗装が一部剥げた状態で、アイヴォリーの本革シートにもかなりの使用感。正直なところ「リフレッシュ」というよりは「レストア」が必要であるかにも見える。

 この内外装コンディションがシビアに評価されたのか、9月20日におこなわれた競売ではリザーヴ(最低落札価格)に届かなかったようで、残念ながらDB7ヴァンテージ・サルーンと同じく流札。現在でも、ボナムズ社営業部門によって継続販売となっている。

* * *

 さて、ここまでは遠い海外での話なのだが、DB7ヴァンテージ/ヴァンテージ・ヴォランテについては、日本国内のマーケットでもまれに売り物が出ることもあり得る。

 そして、もしも貴方がアストンマーティンに憧れ、DB7ヴァンテージを手にしたいと切望しているならば、筆者は心からのエールを贈りたいと思う。

 確かに、「DB9」および初代「V8ヴァンテージ」以降のアストンに比べると、トラブルの可能性がかなり大きくなってしまうことは否定できない。

 しかし双方のDB7ヴァンテージともに、現代のアストンマーティンにはもはや望むことのできない、豪放磊落(ごうほうらいらく)なフィールが存分に味わえる、旧き良き自然吸気V12エンジンがこのプライスで味わえるというのは、なかなかリーズナブルとも感じられてしまう。

 こと趣味の領域で「コスパ」なんて観念を持ち出すのは野暮と言い切ってしまえる豪快な英国車エンスージャストには、労苦と出費に見合うだけの幸福感が待っていると信じたいのである。

こんな記事も読まれています

『絶対完走』の重圧に耐えた勝田。来季シートがかかっていたことを示唆【ラリージャパン後コメント】
『絶対完走』の重圧に耐えた勝田。来季シートがかかっていたことを示唆【ラリージャパン後コメント】
AUTOSPORT web
米国にある「廃車の山」で見つけたお宝 40選 後編 ジャンクヤード探訪記
米国にある「廃車の山」で見つけたお宝 40選 後編 ジャンクヤード探訪記
AUTOCAR JAPAN
中型からステップアップ 人気の“ミドルクラスネイキッド”スズキ「SV650」とカワサキ「Z650RS」どっちを選ぶ?【スペックでライバル比較】
中型からステップアップ 人気の“ミドルクラスネイキッド”スズキ「SV650」とカワサキ「Z650RS」どっちを選ぶ?【スペックでライバル比較】
VAGUE
ラリージャパンで一般車の侵入という衝撃トラブルが発生! SSのキャンセルもあるなかトヨタ勢は2・3・5位に着ける
ラリージャパンで一般車の侵入という衝撃トラブルが発生! SSのキャンセルもあるなかトヨタ勢は2・3・5位に着ける
WEB CARTOP
米国にある「廃車の山」で見つけたお宝 40選 前編 ジャンクヤード探訪記
米国にある「廃車の山」で見つけたお宝 40選 前編 ジャンクヤード探訪記
AUTOCAR JAPAN
サーキット派に朗報! ウェッズスポーツ「TC105X」に16インチの新サイズ登場…マツダ「ロードスター」や走りのFF車にオススメです
サーキット派に朗報! ウェッズスポーツ「TC105X」に16インチの新サイズ登場…マツダ「ロードスター」や走りのFF車にオススメです
Auto Messe Web
【ラリージャパン2024】最終ステージでトヨタが逆転! マニュファクチャラーズタイトル4年連続獲得、豊田章男会長「感動という共感を生んだ」
【ラリージャパン2024】最終ステージでトヨタが逆転! マニュファクチャラーズタイトル4年連続獲得、豊田章男会長「感動という共感を生んだ」
レスポンス
独創的な「近未来」フォルム! シトロエンCX 5台を乗り比べ(1) モデル名は空気抵抗係数から
独創的な「近未来」フォルム! シトロエンCX 5台を乗り比べ(1) モデル名は空気抵抗係数から
AUTOCAR JAPAN
1度の運転では好きになれない シトロエンCX 5台を乗り比べ(2) GTiにファミリアール 仏大統領も愛用
1度の運転では好きになれない シトロエンCX 5台を乗り比べ(2) GTiにファミリアール 仏大統領も愛用
AUTOCAR JAPAN
4連覇を決めたフェルスタッペン「苦しいシーズンの中で多くのことを学んだ。だからこそ特別だし、誇らしい」
4連覇を決めたフェルスタッペン「苦しいシーズンの中で多くのことを学んだ。だからこそ特別だし、誇らしい」
AUTOSPORT web
【ポイントランキング】2024年F1第22戦ラスベガスGP終了時点
【ポイントランキング】2024年F1第22戦ラスベガスGP終了時点
AUTOSPORT web
カワサキ新型「レトロスポーツモデル」に反響多数!「古き佳き」スタイリングが“現代”に刺さる!? 玄人も注目する“バイクらしさ”を味わえる「W230」とは?
カワサキ新型「レトロスポーツモデル」に反響多数!「古き佳き」スタイリングが“現代”に刺さる!? 玄人も注目する“バイクらしさ”を味わえる「W230」とは?
くるまのニュース
「ジャガー」のブランドロゴが大胆に変更! 英国の名門ブランドはどこに向かう? まもなく登場する“新たなコンセプトカー”とは
「ジャガー」のブランドロゴが大胆に変更! 英国の名門ブランドはどこに向かう? まもなく登場する“新たなコンセプトカー”とは
VAGUE
村民の力で蘇った昭和のボンネットバス! 熊本県・山江村の宝物マロン号がロマンの塊だった
村民の力で蘇った昭和のボンネットバス! 熊本県・山江村の宝物マロン号がロマンの塊だった
WEB CARTOP
本物の贅沢──新型ロールス・ロイス ブラック・バッジ・ゴースト・シリーズII試乗記
本物の贅沢──新型ロールス・ロイス ブラック・バッジ・ゴースト・シリーズII試乗記
GQ JAPAN
道東道直結の“新道”がついに完成! 高速道路開通と同時に国道「8.8kmバイパス」の残り区間が拡幅
道東道直結の“新道”がついに完成! 高速道路開通と同時に国道「8.8kmバイパス」の残り区間が拡幅
乗りものニュース
[サウンドユニット・選択のキモ]メインユニット編…交換する意義を考える!
[サウンドユニット・選択のキモ]メインユニット編…交換する意義を考える!
レスポンス
【F1分析】速いチームがコロコロ変わる。実に難解だったラスベガスGP。鍵はもちろん”タイヤの使い方”だけど……
【F1分析】速いチームがコロコロ変わる。実に難解だったラスベガスGP。鍵はもちろん”タイヤの使い方”だけど……
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

5件
  • 売る時、怖いよ。
    自分が楽しんで誠心誠意メンテナンスをしたところで、5年後、25年落ちのアストンを買う人がどれだけ居るか?ということ。
    アストンは、フェラーリやランボとは訳が違う。
  • DB9はほとんど壊れないけど、DB7は元々はエンジンを覗いてベースはジャガーのXJ-Sだからね。
    変なの買うと大変なことに。
    剛性感低いし、スタイルも一見優雅だけど、ディーテールをみるとしょぼい。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村