日本自動車輸入組合(JAIA)が2021年1月8日に発表した「2020年ブランド別新車登録台数速報」によれば、外国メーカー車モデル別1位は今年も「MINI」だった。
「MINI3ドア」と「MINI5ドア」「MINIクラブマン」「MINIクロスオーバー」「MINIコンバーチブル」を合算した数字ではあるが、MINIが輸入新車登録台数のトップに立つのは2016年以来5年連続。
100万円で1000万円カーの気分が味わえるセンチュリーの中古車が欲しい!
その人気はもはや盤石で、かつて27年連続で輸入車NO.1の座にあったVWゴルフに代わり、MINIこそが「日本でいちばん売れてるガイシャ」になったといえるだろう。
そんな人気モデルであるMINIの新車を買ってキビキビ乗り回したいとは思うが、「新車のMINI」というのは決して安くはない。
そこで今回は、ぐっと敷居を下げて「100万円以内の予算で中古のMINIを買う!」、さらにもう一歩踏み込んで、「もっともお買い得なMINIの中古車」という2つをテーマに、中古車事情に詳しい伊達軍曹が解説する。
文/伊達軍曹
写真/BMW MINI
【画像ギャラリー】3ドアからオープン、クロスオーバーまでラインナップ豊富なMINIの写真をチェック!
100万円以内でどんなMINIが買えるのか?
歴代MINI。左から順にローバーミニ(クラシックミニ)、BMW MINI初代、MINI2代目、MINI3代目
例えば3ドアクーパーの車両本体価格は323万円で、そこにオプション装備を付けるとだいたい360万~370万円ぐらいにはなる。さらに諸費用を合わせると「おおむね400万円弱の買い物」にはなってしまうのが、新車のMINI(の比較的ベーシックなクーパー)なのである。
もちろん、それはそれで悪い買い物とは思わないが(なにしろ運転が非常に楽しいクルマなので)、MINIというクルマは、なんというか、もっとこう手頃な予算で購入し、カジュアルに楽しみたい……という思いも個人的には強い。具体的には「だいたい100万円ぐらい」のイメージだろうか。
もちろんそうなると新車は無理で「中古車を探す」ということになるわけだが、MINIは人気モデルゆえ中古車の流通量が非常に多く、流通量が多いゆえに、その相場はかなりこなれている。
つまり100万円ぐらいの予算でも、「けっこう悪くない1台」を余裕で探せるのだ。
100万円以内の予算では2代目MINIクーパーがベスト!
2代目MINIクーパー(2007~2014年)。1.6L、NAエンジンの最高出力は120ps。クラブマンを含め、走行距離20000km~40000kmの個体は300台以上見つけられる
100万円前後の予算で中古のMINIを探す場合の王道は、先代=2代目MINI(R56/2007~2014年)のクーパーだろう。
2代目MINIは初代と比べてぐっと信頼性が向上し、エンジンもBMWとフランスPSAグループが共同開発した1.6L、DOHCに刷新。また初代でイマイチ不評だったCVTも、2代目には引き継がれなかった。
そのなかでクーパーは中間グレードにあたるもので、エンジンは最高出力120psの1.6L自然吸気。ツインスクロール直噴ターボを採用したクーパーSほどのパワーを楽しむことはできないが、日常使いするぶんには「クーパーでぜんぜん十分」というのが正直なところだ。
そんな先代クーパーの走行2万km台から4万km台あたりの物件が今、車両本体価格が60万~90万円付近で豊富に流通している。中古車ならではの多少のヤレはもちろん生じているが、そこがさほど気にならないのであれば、かなりお値打ちな選択肢だ。
2代目クーパーS。ツインスクロール直噴ターボ搭載、最高出力は175ps
2代目MINIクーパーの中古車情報はこちら!
また最高出力175psの直噴ターボエンジンを搭載する先代クーパーSもこの価格帯で探すことはできるが、そちらはクーパーと比べると流通量が少ないため、「なるべくいい感じの個体を吟味しながら探す」のは少し苦労するかもしれない。
先代MINIの全長を240mmほどストレッチし、右側後部に小さなドアを付けた先代のMINIクラブマンの比較的低走行な物件も、車両60万~90万円付近のゾーンでまずまず豊富に流通している。
先代のクラブマンは、シューティングブレークとはいっても「小ぶりなシューティングブレーク」でしかないため、積載量を目当てに買うとがっかりするかもしれないが、こと「おしゃれ感」に関しては先代ミニのなかでも随一。手頃な予算で洒落倒したい人には最適なチョイスだ。
MINIのクロスオーバーSUV版である、その名もMINIクロスオーバーや、電動ソフトトップを備えたMINIコンバーチブルも探すことはできるが、予算100万円付近で探せる好条件車の数は少ない。
クロスオーバーまたはコンバーチブルが欲しい場合は、車両価格120万~140万円あたりをひとつの目安とする必要があるだろう。
もっともお買い得なMINIの中古車とは?
3代目MINIクーパー(2014年~)。予算が少し高くなるが、100万円以上出せる人には3ドアの6MTがオススメ
現行型MINI3ドアクーパーの中古車情報はこちら!
ここまでの結論は、「予算100万円ぐらいで中古のMINIを探すなら、お薦めは先代MINIのクーパーか、先代MINIクラブマン!」ということになるわけだが、予算100万円にはそこまでこだわらず、「もう少しなら出してもいい」と考えた場合の「真のおすすめ」というか「もっともお買い得な中古MINI」は、はたして何になるだろうか?
人それぞれの価値観やおサイフ事情も絡む問題であるため、「絶対コレ!」という唯一の正解を出すのは難しい。だがあくまで筆者の価値観で物事を決めるとしたら、今もっともお買い得な中古MINIは「現行型MINI3ドアクーパーの6MT」ということになるはずだ。
2014年に登場した現行型=3代目MINIは、ボディサイズの大型化とボディ剛性の圧倒的な向上により、「こんなのミニじゃない!」とマニア筋から言われる場合もある。
しかし、コンパクトカーとしてはまずまず余裕のあるサイズは使い勝手が良く、「……MINIというよりBMW“0”シリーズか?」と言いたくなるほどの剛性感は、シンプルに気持ちの良いものだ。
3代目MINI ONE(2014年~)。1.2L、直3ターボが十分な動力性能を発揮する
現行型MINI ONEの中古車情報はこちら!
1.2L、直3ターボを搭載したエントリーグレード「ONE」であればけっこう安く探すことができ、また先代までのONEと違って非力ということもないのだが、買う時安いぶんだけ売る時も安いのがONEの特徴。悪い選択ではないが、「お買い得」とはやや言い難い。
しかし同じ直3ターボでも1.5Lとなるクーパーは、ONE以上に余裕ある動力性能を味わうことができ、なおかつリセール価格もさほど高いわけでもないが、ONEと比べればまずまず……。
そんな現行型MINI3ドアクーパーの走行3万km台までの物件が車両150万円付近から探せるのは、まあまあお買い得ということができるはず。
現行型クーパー・3ドアの6MT仕様。走行距離4万km未満の中古価格は約150万円~380万円
さらに同じ現行型の3ドアクーパーでも、一般的な6ATではなく、やや希少な「6MT」の個体を選べば、日々の満足度と同時にリセール価格の上昇をも期待することができる。
ご承知のとおりMINIは、これまでMT車も必ずラインナップしてきたわけだが、2020年2月をもって、最後まで頑張っていたMINI3ドアのMT仕様も終了となってしまった。
もちろん、MTのMINIを惜しむ声が一部にあるからといって、ごく普通の6MTクーパーの中古車相場が数年後に爆騰するということはたぶんない。だがそこに「希少価値」があることは確かであるため、ありがちな6速ATのクーパーよりはいくぶん高いリセールが期待できるのだ。
もちろん、クルマというのは売るために買うのではなく、日々の用を足し、同時に「楽しむため」に買うものである。それゆえ、あまりにもリセール面に注目しすぎるのは愚かな行為ではあるのだが、それでもやはり、数年後に手放すとしたら、その際の売却額は高いにこしたことはない。
その意味で、日々の運転が格段に楽しく、なおかつ「丁寧に扱ってさえいれば、将来的にもまあまあの値が付く」と思われる現行型クーパー3ドアの6速MT仕様は、「今、もっともお買い得な中古ミニである」と考えることができるのだ。
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みんなのコメント
街中でかなりの頻度で見かけるし外車を所有しているという特別感や満足感も少なそう
ましてや中途半端に古い年式の中間グレード以下なんて走行性能もさほど良くない上に高価な修理費の危険性をはらんだロクでもないものが多そう
今のミニクロスオーバーなんて「どこが『ミニ』やねん!」と突っ込みを入れたくなるほど。