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ジャガー Fペース 300ps版の30t Rスポーツ、直4最強のパワーユニット

掲載 更新
ジャガー Fペース 300ps版の30t Rスポーツ、直4最強のパワーユニット

もくじ

どんなクルマ?
ー グレード名の由来は排気量に非ず
ー 最強の4気筒は簡易的か?

ジャガーFペイス30t RスポーツAWDの画像をすべて見る

どんな感じ?
ー トルクとパワーの競演
ー 300ps版のスペシャルな内容
ー 30tならライバルと戦える

「買い」か?
ー ベストバイのFペースは?

どんなクルマ?

グレード名の由来は排気量に非ず

クルマ好きは車名の中に30という数字を見つけると無条件で6気筒エンジンを想像してしまうものだ。けれどBMWやメルセデスを例に挙げるまでもなく、近年は車名から諸々のスペックを想像することが難しくなっている。

ジャガーFペース30tは、今やジャガー・ランドローバーのメインユニットと言って差し支えないインジニウム・ターボ・エンジンのガソリン2ℓ版を搭載している。その最高出力は4気筒最強の300psで、この馬力が30tというグレード名の由来になっている。

20世紀の終わり頃は、ジャガーのエンジンといえばストレート6かV12の2通りという状態が長く続いていたが、昨今のバリエーションはモデル数に比例するように増えている。フラッグシップの5ℓ V8スーパーチャージドは健在だし、その下には3ℓ V6スーパーチャージドも控えている。そしてディーゼルとガソリンが存在するインジニウム・ユニットは、ガソリン版だけでも200ps、250ps、そして今回の300psと3つのバリエーションが用意されているのである。

最強の4気筒は簡易的か?

今回のFペース30tのグレードはRスポーツとなる。専用のバンパーやボディ同色のサイドシル、さらにオプションで追加されているクロームパーツのブラックアウト化(ブラックエクステリアパック)といった精悍な外装も魅力だが、それ以上に2色のレザーが使用された専用のスポーツシートを据えた室内がFペースのスポーティな性格を際立たせている。とはいえ30t Rスポーツ試乗のキモとなるのは、本邦のFペースのラインナップに新たに加わった300ps版のパワーユニットの出来ということになるのだろう。

当然のように4気筒モデルはシリーズ中で最も鼻先が軽く、軽快なハンドリングを見せることはこれまでのFペース25t(250ps版)でも確認できている。だが穿った見方をすれば、昨今のモジュラー・エンジンはコンピュータのプログラミングを変えてやるだけで、物理的な設定変更なしに簡易的に出力を変えている場合もある。

あまりクルマに興味のない、ただエンブレムの数字が大きければ満足と言う人にはそれでもいいのかもしれないが、我々はそうではない。さらに、そういった“簡易エンジン”はハイレブ域に到達するまでのフィーリングが下位グレードとあまり変わらなかった例もある。果たして最強のインジニウム4気筒はどうか?

どんな感じ?

トルクとパワーの競演

エンジンの始動からアイドリングに至るまでのドラマを4気筒エンジンに期待することはできない。以前、インジニウム4気筒を搭載したXJサルーンを試乗した時には、軽快であることより質感の心許なさのほうが腑に落ちなかった記憶がある。だがFペースはサイズ的に4気筒をギリギリで許容していると思う。

走りはじめの印象はこれまでの4気筒Fペースである25tと変わらない。トルクが有り余る感じはしないが、かといって1.9トンほどの車重に負けているわけでもない。だが前をノロノロと走っていたトラックがどいた瞬間、30tの真価がはっきりと分かった。

1500から3000回転あたりの中間トルクの分厚さが際立っており、ストレスなく加速していくのだ。さらにディーゼル版のインジニウムが少しおとなしくなる3000以上の回転域ではトルクよりパワーの伸びが感じられ、ひと際甲高い音を聞かせてくれる。これならばエンジンを目一杯回すようなクルマ好きオトーサンはもちろんだが、平日に近所を回る奥様にとってもメリットがあるに違いない。

鼻先の軽さを活かして気持ちよくコーナーを抜けた後、ドカンと加速したいような時、30tはこれまでの20dや25tになかった胸のすくようなパンチを繰りだせるのである。

300ps版のスペシャルな内容

300ps版のインジニウムは、4気筒最強を謳う資格のあるエンジンだった。2ℓ 4気筒で300psといえば、20世紀であれば“狂ったような”と形容されてもおかしくないほどのアウトプットだが、現代は車重も増加しているので、Fペース30tの走りはクレイジーではなく理性的なものに留まっている。

それにしても25tからのアップレートが数値以上に感じられたので色々と調べてみると、同じインジニウム4気筒でも2016年デビューのガソリン200ps版、250ps版と、今回の300ps版(エンジンのデビューは2017年)はシリンダーヘッドとターボが別物であることがわかった。

電子制御油圧のハイドローリックバルブトレインとセラミックボールベアリングを使用したツインスクロールターボチャージャーを組み合わせた結果、全域で分厚いアウトプットを獲得しているのである。

ちなみにFペースRスポーツの25tと30tの価格には63万円の開きがあるが、手の込んだエンジンのスペックと、ドライブフィールの違いを理解できれば高いとは言えないだろう。

30tならライバルと戦える

以前、3ℓ V6、380ps版のFペースSと4気筒の25tを比べた時には、V6圧勝という印象を強く持った。プレミアムブランドならではの艶っぽさがドライブフィールに満ち溢れていたというのがその理由なのだが、今回の30tにも同じような印象を持った。

用途だけを考えてクルマ選びをするならばいくらでも選択肢のある我が国で、わざわざ輸入車に乗る理由は国産車にない物を求めるからに他ならない。だとするならば、ずらりとグレードが揃うFペースだが、20dや25tのパワーユニットと「ピュア」のようなベーシックグレードはちょっと弱いと言わざるを得ない。

なにしろ昨今は艶っぽさでジャガーに対抗するマセラティ・レヴァンテや、分厚いドライブフィールで勝負するポルシェ・カイエンやメルセデスGLCのようなライバルが群れている。

Fペース指名買いなら問題なく全てのグレードが選択肢となるが、ライバルと比較しても勝ち抜くことが出来るのは30tのポートフォリオやRスポーツ、V6搭載のFペースS、そしてフラッグシップのSVRに限られるだろう。つまり今回の30t Rスポーツは最もリーズナブルで、充分な実力を持ったFペースということになるのだ。

「買い」か?

ベストバイのFペースは?

ジャガーのドライバビリティは依然としてドイツやイタリアのライバルよりもしなやかかつスポーツティで滋味深いものなので、ドライビングを愛しスタイリングが気に入ればFペースはお薦めの1台といえる。

最も優秀なバランスを持ったFペースは個人的にはV6スーパーチャージド搭載のSだと思うが、しかし価格的な部分まで考慮に入れれば1000万円越えのSはベストバイとは言えない。しかもFペースはACC(アダプティブクルーズコントロール)をはじめとする“必需品”がオプション扱いになっているので、装備的な面でライバルと肩を並べるには30万円強のドライバーアシストパックを追加しないわけにはいかない。だから30t Rスポーツにいくつかオプションを追加して800万円台というのが、プレミアムなFペースを満喫するための、最も賢い方法ではないかと思う。

ジャガー Fペースのスペック

ジャガー Fペース 30d R-Sport AWD

■価格 819万円
■全長×全幅×全高 4740×1935×1665mm
■最高速度 233km/h
■0-100km/h加速 6.1秒
■燃費(JC08モード) 11.2km/ℓ
■CO2排出量 –
■車両重量 1920kg
■エンジン 直列4気筒1995ccターボ
■最高出力 300ps/5500rpm
■最大トルク 40.8kg-m/1500-2000rpm
■ギアボックス 8速オートマティック

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