TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの3期生である後藤正太郎と松下拓未が、10月5日(土)に開催されたフィンランドラリー選手権第7戦『ラリー・キテー』に参戦。松下/ペッカ・ケランダー組がSM3クラス6位で完走を果たした一方、後藤/ユッシ・リンドベリ組はリタイアという結果に終わっている。
ラリー・キテーは、フィンランド東部に位置するキテーを拠点に、土曜日の一日で10本ものSSを走行するグラベル(未舗装路)ラリーだ。今回、後藤と松下は彼らのキャリアにおいて、もっとも高速なラリーに挑戦することとなった。
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WRC世界ラリー選手権の一戦、ラリー・フィンランドの舞台であるユバスキュラの道によく似た、高速で流れるステージには多くのジャンプや起伏があり、高速コーナーをスムーズに切り替えることでペースを最大化することが求められた。
松下/ケランダー組は最初のステージでテクニカルトラブルが発生したことにより、上位でラリーを終えるチャンスを早々に失うこととなった。しかし松下はロードセクションでマシンを修復し、その修復によって発生したタイムコントロールへの遅延のためペナルティは負ったものの、ラリーを継続することに成功する。
トラブル解消後の松下は素晴らしいペースで走行し、全10ステージのうち2番手タイムを2度、3番手タイムを2度記録するなど、終始フィンランドの優れた若手ドライバーたちに並ぶペースを維持して完走を果たした。
一方の後藤/リンドベリ組は、SS1のある高速コーナーで小さなミスを犯しスピンを喫した。今回のラリー・キテーが3期生の両名にとって今シーズン最後の競技となっていたが、残念ながら後藤はここでリタイアとなってしまった。
「松下のパフォーマンスは素晴らしく、今シーズンのベストだったと思う」と語るのは、育成プログラムのチーフインストラクターを務めるミッコ・ヒルボネン。
「最初のステージでテクニカルトラブルが発生してしまったことは不運だが、その後の復活は非常に印象的で、安定したスピードで今年の成長を示していた。とく高速でテクニカルな路面が多かったなかで、同クラスのフィンランドのトップドライバーたちと非常に近いタイムを出したのは素晴らしかった」
「一方、後藤は彼のスピードを示す機会がなかったが、アクシデントは若いドライバーにとって学びの一部だと考えている。両選手を通じ、リタイアとなるアクシデントが今回だけで済んだのは、彼らがいかに素晴らしいシーズンを送ってきたかを物語っている」
「シーズンを通じて彼らの進歩は明らかで、ミスもほとんどなかった。今年のはじめ、ペースノートを使った運転の経験がゼロで、まったく新しい環境に直面していたことを考えると、2024年に彼らが達成したことに非常に感心するよ」
前述のとおり後藤と松下にとって、競技としては今回のラリーが今シーズン最後のイベントとなった。両選手はチャレンジプログラムの2期生、小暮ひかると山本雄紀とともにWRC第12戦『セントラル・ヨーロピアン・ラリー』でレッキに参加するほか、WRC第13戦『ラリージャパン』でもレッキを実施しトレーニングを継続する。ラリージャパンでは、小暮と山本はトヨタGRヤリス・ラリー2で競技へ参戦する予定だ。
■「挑戦できたのはポジティブ」「大きな成長を実感」/ドライバーコメント
●後藤正太郎(ルノー・クリオ・ラリー4/リタイア)
「最初のステージでリタイアとなり、経験を積む機会を失ったことが残念です。時速150kmくらいで走っていたある左コーナーで対応ができませんでした。今回のような高速ラリーでは積極的に攻めないとすぐに大差をつけられるリスクがあるので、ある程度覚悟が必要だとは思っていました」
「シーズン初めは、限界を探れるほどプッシュできていないと感じていたので、今回それに挑戦できたのはポジティブな面と言えます。リタイアは今年初めてで、このようなミスもドライバーとしての成長の過程として必要なことだと思います」
「自分自身のラリーキャリア初年度、たくさんのことを学ばせていただきました。とくに予想以上に良いペースで走ることができたラハティでのラリーが印象的で、自分のペースノートに従って運転する自信がつき、自分が進んでいる方向に対して良い感覚を得ることができました」
●松下拓未(ルノー・クリオ・ラリー4/SM3クラス6位)
「これまでのキャリアで最高のラリーでした。運転しているとき非常にフィーリングが良く、今回の大きな進歩は自分が作ったペースノートの質で、リズムを保つのにとても役立ちました。ペッカとともに作ったノートを信頼できたことによって、これまでより路面のイメージが正確にできるようになり、思い切って攻めることができました」
「大きな成長を実感できる素晴らしいシーズンでした。最初のポフヤンマーでのラリーではコーナーを切り抜けてゴールにたどり着くことだけに集中していましたが、今はどうやったらペースを最大限にできるかを考える余裕があります」
「プログラムの最初、フィンランドのトップドライバーたちと競えるようになると信じていましたが、シーズン終わりには、実際に彼らのペースに追いつくことができました」
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