2024年1月29日、豊田自動織機は昨年からの(産業用エンジンの)認証不正問題における調査委員会からの報告書を受け取ったと発表。内容を見ると、なんとトヨタ自動車から開発を受託していた自動車用ディーゼルエンジンの認証試験でも不正があったとのこと。不正はエンジン3機種、グローバル10車種(国内6車種)に及んでおり、豊田自動織機とトヨタ自動車は、当該エンジンおよび当該車両(ハイエース、ハイラックス、ランクル300など)の出荷(生産)を即日停止した。日野自動車、ダイハツ工業と、トヨタグループで続く認証不正発覚。いったいトヨタグループで何が起こっているのか。共通する背景や問題の「根」があるのか。なぜ「源流」の豊田自動織機でこんな不正が……。以下、考察します。
文/国沢光宏、写真/トヨタ、ベストカー編集部
日野、ダイハツに続き「源流」豊田自動織機まで…トヨタのディーゼル車10車種出荷停止でいったい何が起こったか??
■原因は「トヨタからの」プレッシャー…?
ダイハツ工業と日野自動車は、生い立ちを含め、もともとトヨタ自動車と縁もゆかりもない企業だった。極端に言えば名刺交換から始まった提携である。一方、豊田章男会長のひいおじいさんである豊田佐吉氏が1926年に創業した豊田自動織機はトヨタ自動車からすれば親の会社だったりする。トヨタ自動車は豊田自動織機から生まれたワケです。今でもファンドを除けばトヨタ自動車の最大株主だ。
トヨタ自動車が発行している株の7.3%を所有している。トヨタ自動車からの株主配当だけで年間500億円以上入ってきます。
その他、トヨタの関連企業の株も所有しているため、財政事情は問題なし。稼ぐことが重要な使命になっているダイハツや日野と少しばかり状況が違う。しかも豊田佐吉氏の自動機織機(糸から布を織る機械)は、不良品を出さないことで高い評価を得た。
こういうバックボーンを知っていると、豊田自動織機の不正問題を受けた記者会見で、歴史を知らないメディアから「トヨタ自動車からのプレッシャーは無かったのか?」という質問に接すると、複雑な思いである。
豊田自動織機の認証不正発覚により、トヨタのディーゼル車も出荷停止に。トヨタ佐藤恒治社長は即日(1月29日)、記者の取材を受け、まずはユーザーに向けて深く謝罪し、経営陣に責任がある、と表明した
いや、豊田自動織機に限らず、ダイハツと日野の不正問題の時も、必ず新聞など大手メディアから「過剰なプレッシャーを掛けたのではないか?」という質問が出ます。
おそらく大手メディアの記者さん達は、編集長や先輩からプレッシャーを掛けられないで仕事しているんだろう。だからこそ大手新聞の売れ行きは急減している? はたまた、どんなスポーツだって勝とうとすれば、ぬるま湯につかって暮らしている人からすれば、プレッシャーだらけ。ましてや自動車産業は世界のトップと戦わなくちゃならない。頑張らなくちゃ勝てないです。
■不正はいろんな意味で「なに考えてるの?」という内容
今回公表された不正の内容を見ると、もう情けないとしか言えない。
前述のとおり、企業としての体力は万全だ。人を増やそうとすれば容易だし、開発にお金を掛けることだってできる。なのに、やらなかった。なぜか? フォークリフトに代表される産業用エンジンを、端的に言えば「なめていた」んだと思う。台数も少ないし、適当にやっておけばいいと考えていたワケです。
実際、豊田自動織機の主力商品であるフォークリフトは電動化が進んでおり、直近で見ると80%近くを占めている。主力市場で見かける豊田自動織機のフォークリフト、電動しかないとさえ思えるほど。そんなこんなで排気ガスのクリーン化には手間と技術を必要とするディーゼルに対する情熱を失っていたということだろう。逆に考えれば今回の不正を受け、エンジンを全廃してもいいほど。
トヨタは2015年頃からディーゼルエンジンの開発を豊田自動織機に受託。「ディーゼル開発に関してトヨタの中に知見がなかったこと(≒チェックが甘かったこと)」も原因のひとつに挙げられた
カーボンニュートラル達成のため、いずれにしろエンジンは消えていく。今回の不正で豊田自動織機の株価は大幅に落ち込んだものの、前述のとおり今やエンジンは主要製品じゃなくなった。その上で「働くクルマ」をなめていたとなれば、手抜きさもありなんと思う。これは絶対許されることではない。世界を目指すプレーヤーが不正をすれば、その時点で戦う資格を失うと考えます。
今回発覚した自動車用エンジンの不正も、いろんな意味で「なに考えているの?」という内容。トヨタ自動車が認証のために行う排気ガス試験や性能試験でのスペックはなんら問題ないという。具体的に言えば、100馬力出す時の燃費や排気ガスのクリーン度などはクリアできているようだ。カタログ表記が「最高出力177馬力」となっているエンジンであれば、177馬力出る。だったらそのままでいい。
なのに、エンジンを買ってくれるトヨタ自動車に提出するデータを飾るため、ロムチューンなどしていたという。具体的にはトルク特性を変えたり、アクセル開度に対するピックアップを変えたりしていたということらしい。「ウチもいいエンジンを作りますよ」というアピールなんだろう。だったら市販車もそうすればいいと思う。このあたり、もう少し詳しく取材してみたい。
今後どうなるか? 現在、トヨタ車に搭載されているディーゼルエンジンはすべて豊田自動織機で作られている。2024年1月29日の午後からランクル300やハイラックス、ハイエースは出荷停止になった。さらには間もなく登場するランクル250への影響もあるだろう。ただ認証取り消しということにはならないかと。再発防止策を打ち出し、深く反省することで、遠からず生産も再開になると予想しておく。
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みんなのコメント
会社が白を黒と言っても「はい」としか返事をしない社員ばかりの会社は、会社が絶対的に正しい判断をして導いているときは才能を発揮できるが、そうではない時は、負のスパイラルで落ちてゆく。
所詮TOYOTAも不正を平気で起こす、同じ穴の中のムジナでしかない。