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「S」には以前の残り香 ロータスの電動サルーン! 新型エメヤへ試乗 総合力はタイカン以上?

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「S」には以前の残り香 ロータスの電動サルーン! 新型エメヤへ試乗 総合力はタイカン以上?

急転換を遂げたロータス 車重2.5tのサルーン

ロータスほど、急転換を遂げた自動車メーカーは珍しい。車重1138kgの、エキシージ 390スポーツ・ファイナルエディションへ試乗したのは、3年ほど前だった。つい最近のことのように覚えている。

【画像】ブランド新生の第2弾! ロータス・エメヤ 競合クラスの電動サルーンと写真で比較 全134枚

中国資本を得た新生ロータスは、大きな電動SUV、エレトレで幕開けを迎えた。その次に投入されたのが、四輪駆動で車重2.5tに迫る、ハイテクで高級なサルーン、エメヤだ。

英国価格は、ざっくり9万ポンド(約1818万円)から。スリークなシルエットを持つ、グランドツアラーといっていい。既に中国では2024年初頭に発売されていたが、遂に欧州のディーラーにも並ぶことになった。

主なライバルは、ポルシェ・タイカンやメルセデス・ベンツEQEなど。ロータスは2028年に年間15万台を提供するという目標を掲げており、計画される幅広いラインナップを構成する重要な1台になる。

経営の苦しかったポルシェをSUVのカイエンが救い、ボクスターが誕生した。エレトレとエメヤの販売が、電動2シーターへ生まれ変わる次期エリーゼを導くことになる。

われわれの記憶にあるロータスのイメージに、エメヤのフォルムは合致しにくいとしても、デザインはグレートブリテン島中部のコヴェントリーで進められた。南東部のへセルにあるロータスの拠点は、車両特性のディレクションを担った。

シャシーの動的な開発は、ドイツ・フランクフルトの技術者が担当。生産は中国中部、武漢の工場で行われる。

Rなら0-100km/h加速2.8秒 航続は最長609km

ドライバーズカーを深く理解するテストドライバー、ギャバン・カーショウ氏は、定期的にニュルブルクリンク・サーキットで仕上がりを確かめてきた。乗り心地や操縦性を最終的に監修したのは、その彼だ。

英国で販売されるのは、ベースグレードとS、Rを名乗る3種類のエメヤ。0-100km/h加速をフェラーリ296 GTBへ並ぶ2.8秒でこなす、最高出力918psのRが、最大の注目株だろう。英国価格は、13万7000ポンド(約2767万円)になる。

しかし、売れ筋になるであろうSも611psで遅くない。0-100km/h加速は4.2秒で、160-240km/hの中間加速は、V8エンジンを積んだアウディRS6 アバント級に鋭い。

ロータスによれば、駆動用バッテリーの充電量が100%から10%までの間で、最高速度を維持してエメヤは走り続けられるとか。一般的に、現在のバッテリーEVは全開走行を15分程度しか続けられない。これが、ジーリー・ホールディングスの技術力を物語る。

駆動用バッテリーの容量は、グロス値で102kWh。航続距離は、ベースグレードとSで609km、Rでは434kmがうたわれる。急速充電能力は、300kW以上とかなり速い。

プラットフォームは、エレトレと同じEPA。冷却系統の配置の違いで、フロアの厚みは20mm抑えられたという。

ホイールベースはエレトレより60mm長く、リアシート側の空間は驚くほど広大。もっともボディも大きく、全長は5139mm、全幅が2005mm、全高は1464mmある。バッテリーEVではないが、ポルシェ・パナメーラがサイズとしては近い。

驚くほど上質なインテリア 着座位置は高め

インテリアは、基本的にエレトレと同じ。新時代のロータスとして、驚くほど上質に設えられている。ダッシュボードは造形的に豊かで、テキスタイルとレザーのコーディネートは興味深い。最近の例では珍しく、本物のアルカンターラも用いられている。

例に漏れず、ダッシュボード中央には大きなタッチモニター。反応は良好で、表示は鮮明。グランドツアラーの従来的なロマンスを、引き立てるわけではないが。

センターコンソールとウインドウラインの位置は高く、車内に深く身を収めたような感覚がある。それでも、着座位置は路面から明確に高くクロスオーバー・ライク。タイカンとは明らかに異なる。

リアハッチでアクセスする荷室は床面の位置が高く、容量は509L前後とのこと。Rのリアには、ジーリー・ホールディングス製の駆動用モーターと、2速オートマティックを実装することが影響しているようだ。

ベースグレードとSのリアには、すべてのエメヤのフロント側にも積まれる、ZF社製の306psユニットが組まれる。トランスミッションも、1速リダクションになる。

さて、ブレーキペダルを踏み、シフトレバーをDに倒し発進。車内が静かで、長距離走行が得意という点では共通するが、明らかにエメヤ RよりSの方が好印象といえそうだ。

かつてのロータスの残り香があるS

Rには、アクティブ・アンチロールバーと後輪操舵システム、カーボンセラミック・ブレーキが載り、ツインチャンバーのエアサスペンションも専用設定になる。2590kgのボディをタイトに引き受けるが、走りは驚くほど異なる。

ステアリングホイールで感じる荷重、ボディロールの生成、ブレーキの直感性など、同じモデルでこれほど印象が違う例は珍しい。確かに、スーパーEVという尺度ではRが一枚うわて。しかし、Sにはかつてのロータスの残り香がある。

今回の試乗はドイツの滑らかな公道だったが、もちろん、エヴォーラのようにカーブを旋回することはない。とはいえ、操縦性ではSが強く輝く。優れた特性を理解する人によって開発されたことが、実際の動きから伝わってくる。

大型・高級の電動サルーンは、パワーと価格、技術を天秤にかけて選ばれる類のモデル。ステアリングの反応が、購入時の大きな動機になることはないとしても。

筆者の印象では、Rはやや作り込みすぎ。Sの方がトルク配分が自然で、優れたバランスを感じ取れ、コーナリングは一層滑らか。旋回中でも、落ち着いたままライン調整していける。

敏捷性ではタイカンが勝るとはいえ、スポーツカーのような軽快感すら漂う。ステアリングレシオも丁度良く、ボディロールと調和している。Sなら、思い切りアクセルペダルも倒せる。

回生ブレーキの強さは4段階。1番弱くすれば、惰性走行もできる。

総合力はタイカン以上 後輪駆動の登場へ期待

ロータスは、ベンチマークの1つとしたタイカンのように、後輪駆動版を追加するかもしれない。これにカーボンセラミック・ブレーキを組めば、一層流暢なグランドツアラーに仕上がりそうだ。

電動パワートレインで走る、車重2490kgのサルーンをロータスだと受け入れるには、相応の時間が必要そうだ。パラダイムシフト級の、意識の転換が必要かもしれない。

それでも、このクラスのバッテリーEVとして、総合力ではタイカン以上だろう。エメヤに、特有の魅力が宿っていることは明らかだ。

◯:ステアリングと姿勢制御へ気が配られた操縦性 タイカンより広く贅沢なインテリア 長距離移動を支える高速な充電能力 知的なカーナビ
△:高めの着座位置でタイカンほど運転体験の魅力はない サイズを考えると狭めの荷室 ロータスとして車重を削る方法を発見して欲しかった

ロータス・エメヤ S(欧州仕様)のスペック

英国価格:10万1950ポンド(約2059万円)
全長:5139mm
全幅:2005mm
全高:1464mm
最高速度:251km/h
0-100km/h加速:4.2秒
航続距離:498-609km
電費:4.6-5.6km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2490kg
パワートレイン:ツイン永久磁石同期モーター
駆動用バッテリーバッテリー:102kWh(グロス)
急速充電能力:300kW以上
最高出力:611ps
最大トルク:72.3kg-m
ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)

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みんなのコメント

3件
  • ******
    こんなクルマ作るなら
    ケーターハムに身売りしたら?
  • fdi********
    「経営の苦しかったポルシェをSUVのカイエンが救い、ボクスターが誕生した。」

    順番逆だよね?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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