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【試乗】プジョーSUV 2008は舞うように軽やかに操る歓びを全身で味わえる新感覚クロスオーバー

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【試乗】プジョーSUV 2008は舞うように軽やかに操る歓びを全身で味わえる新感覚クロスオーバー

第一印象から強烈なインパクトを感じさせるプジョーの新型「SUV 2008」。しかし卓越した個性は、そのルックスやインターフェイスだけではなかった。プジョー ブランドが長年育んできた「醍醐味」が、しっかりそこに息づいているのだ。(Motor Magazine 2020年12月号より)

FFのみの設定ながら高い悪路走破性を実現
プジョーにとって、本格的にSUV濃度が高いモデルの先駆けとなったのが、初代2008だった。デビューしたのは、2013年のこと。いわゆる「4桁車名」がついたラインナップとしては、最後発だった。

●【くるま問答】ガソリンの給油口、はて? 右か左か、車内からでも一発で見分ける方法教えます(2020.01.21)

登場当初から2008は、レールを巧みにデザイン化した2段ルーフや、前後のスキッドプレートなどにより、SUV的な雰囲気をスタイリッシュに打ち出していた。また、16年に行われた大規模なマイナーチェンジでは、直立した大型グリルやボディを一周する黒のクラディングパネルなど、現在のプジョーSUVに共通するデザイン要素を取り入れている。

さらに機能面ではスノー(雪)/マッド(泥)/サンド(砂地)など路面に応じてプリセットされたトラクションコントロールのモード切り替えが可能な「グリップコントロール」を採用。実際にオフロードコースで試したが、マッドモードでは滑っている側もある程度空転させ泥を飛ばしつつ、グリップしている側には適度なスリップを許すほど十分なトルクを振り分けることで、想像以上の走破性を実現していた。

セグメントならではの車重の軽さもあって、FFながらオフロードもかなり本格的に行けてしまうのは魅力のひとつと言える。そのプジョーSUV 2008が、7年ぶりのフルモデルチェンジを受けて、この9月から日本上陸を開始している。

新型は電動化を考慮して新開発されたCMP(コモン モジュラー プラットフォーム)の採用に伴って、ピュアEVのSUV e-2008をあわせてラインナップすることでも話題だが、こちらの国内デリバリーはもう少し先になりそう。そこで今回は、ひと足先に上陸した1.2L直列3気筒ピュアテックガソリンターボを搭載したGTラインを試した。装備が充実しており唯一、アドバンスドグリップコントロールも備えている。

そんな新型SUV 2008GTラインとの初対面の印象は、「すごく弾けたスタイルになったな」だった。彫りの深い水平基調のボンネット先端に大型グリルを垂直に置くという、プジョーSUVデザインの基本を守りつつ、側面のガラスエリア後端を大胆に蹴り上げてヒドゥン化したピラーへと繋げている。面積が大きくなったボディ側面の前後には大胆な三角形の切り返しを入れ、ハイライトと影が複雑に交錯する躍動感の強いプロフィールを作り出した。

個性派が多いコンパクトSUVの中でも、サイドパネルのデザイン的アレンジでこれだけ遊んだ例はあまり見たことがない。だから新型SUV 2008は見ているだけで楽しいのである。

牙を思わせるセイバーのアレンジが刺激的
そしてもちろん、近年のプジョーが好んで使うデザイン要素もふんだんに盛り込まれている。508から採用が始まった、下方向に牙のように伸びるデイタイムランニングライトの処理は、新型SUV 2008ではさらに存在感を強めている。

前後のコンビネーションランプに彫り込まれたライオンの爪痕を連想させる3筋のランニングライトも、躍動感を盛り上げる重要なポイント。なおヘッドライトのそれはフルLEDを採用するGTラインのみで、アリュールは別のデザインとなる。

プジョーのSUVデザインが進化していることを実感させる部分も多い。グリルはフレームレスとなりさらに大型化。前後の下面はスキッドプレート風ではなく、スポイラー形状に変化している。

ボディサイズは全長4305×全幅1770×全高1550mmでホイールベースは2610mm。先代に対し全長が+145mm、全幅が+30mm、ホイールベースで+70mm拡大されている。一方で全高は低くなりほとんどの立体駐車場に入れられる。

全長方向と幅を拡大したことで居住性も向上。リアシートはショルダーラインを蹴り上げた関係でやや包まれ感が強くなっているが、足元空間/座面サイズともゆったりしており狭苦しさとは無縁だ。ラゲッジスペースは、5人乗車で後席シートバック高までの容量が434L。これは先代比+74L。シートバックを倒した時の最大モードは1467Lで、実に295Lもの拡大となっている。

センターコンソール中央にトグルスイッチを並べ、その上に7インチタッチスクリーン式のインフォテインメントを配置。小径/非円形のステアリングリム上部外側にメーターを置くi-コックピットは今やすっかりプジョーの定番。

新型SUV 2008では新世代の3D i-コックピットとなった。メーターパネルは手前を半透明にして2層で情報を表示する3式を208に続き採用。電動パーキングブレーキも搭載するなど細部で進化している。なお、GTラインは彫りが深くサポート性の良い「ダイナミック」タイプのシートを採用。表皮材はダークグレーのアルカンタラとテップレザーでまとめられており、質感もなかなか高かった。

もうひとつ、ADASの充実ぶりも新型2008の大きな特徴だ。二輪車や歩行者の夜間検知も可能なアクティブセーフティブレーキ、3秒以内なら停車、再発進時も前車を自動追従するアクティブクルーズコントロールや、車線内で右寄り/左寄りの微調整まで可能なレーンポジショニングアシストなど、今時の安全運転支援機構をほとんど網羅している。

粘り腰でコーナーをクリア。ワインディンが楽しい
ドライブフィールについては、きめ細かく改良が重ねられた、1.2Lピュアテックガソリンターボが好印象だった。出力は、130ps/230Nmまで高められている。さらにガソリン微粒子フィルターの採用により、排ガスのクリーン化と燃費性能を向上させている。WLTCモードで17.1km/LはSUVとしては立派な数値。これはCMPの軽さと優秀な8速ATの恩恵が大きいはずだ。

実際に走らせても1気筒あたりのボリュームが大きく、低速域からトルクの蹴り出しに余裕があるため、初期加速の立ち上がりがシャープで頼もしい。フィール面も3気筒特有の「ボロロ」といった排気音はほぼ感じない。振動も少なく、滑らか、と表現していい。

4000rpmから上の回転領域では伸び感が薄くなる傾向はあるものの、そこまで引っ張らなくても8速ATとのスムーズな連携で車速はスルスルと伸びていく。また80km/h前後の高速巡航では、ATが5速から上を極めて繊細に使いわけてくれるので速度調節が容易なことも印象的だった。

やや大きめのステップ段差からも類推できるように、CMPは剛性をかなり高めているようだ。そのフットワークは、フロアやホイールに入って来る微振動を巧みに抑え込んだ、滑らかでスッキリとした乗り心地に好感が持てた。非常に、こなれて来た感じがある。

そこに良く動いて姿勢をフラットに保つ、接地性の高いサスペンションが組み合わされるため、コーナーではターンインから軽快でキビキビと向きが変わるし、立ち上がりでの粘り腰にも大いなる安心感を実感できた。

SUVとしては比較的重心が低いパッケージングのおかげもあって、新型SUV 2008はワインディングが非常に楽しいクルマに仕上がっている。最新ハッチバックの208と比べても、遜色ないレベルにあるほどだ。

全方位で高い実力を見せるSUV 2008。大いなる躍進ぶりを見せるグループPSAの勢いを、象徴する一台と言えそうだ。(文:石川芳雄)

■プジョーSUV 2008GTライン 主要諸元
●全長×全幅×全高=4305×1770×1550mm
●ホイールベース=2610mm
●車両重量=1270kg
●エンジン= 直3DOHCターボ
●総排気量=1199cc
●最高出力=130ps/5500rpm
●最大トルク=230Nm/1750rpm
●駆動方式=FF
●トランスミッション=8速AT
●車両価格(税込)=338万円

[ アルバム : プジョーSUV 2008 はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

2件
  • > 牙を思わせるセイバーのアレンジが刺激的

    > 舞うように軽やかに操る歓びを全身で味わえる


    外車ブランドとなると、途端に浮世離れした、妄想世界かクスリでもやってるんじゃないかというような、褒め称えレビューになるの、これ何かのビョーキなのか??

       
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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