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“ロッキー”の名に期待するものとは? 新型ダイハツ ロッキー試乗記

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“ロッキー”の名に期待するものとは? 新型ダイハツ ロッキー試乗記

街中で使いやすいというのも、クルマの重要な性能だ。欧州では、街乗り用に小さなクルマを所有する富裕層も多い。有名なのは、1960年代のロンドン。ロールス・ロイスやローバーのオーナーが、市街地用にミニ、というケースがあった。いまだったら街乗り用に、2019年11月に販売開始されたダイハツのコンパクトSUV「ロッキー」は、ありかもしれない。

【主要諸元(Premium 4WD)】全長×全幅×全高:3995mm×1695mm×1620mm、ホイールベース:2525mm、車両重量:1040kg、乗車定員:5名、エンジン:996cc直列3気筒DOHCターボ(98ps/6000rpm、140Nm/2400~4000rpm)、トランスミッション:CVT、駆動方式:4WD、タイヤサイズ:195/60R17、価格:242万2200円(OP含まず)。上級グレードのアルミホイールは17インチ。ロッキーは、軽自動車をはじめ小型車づくりのノウハウを数おおく持つダイハツが手がけた全長4m未満のリッターカーだ。なお、ダイハツの親会社であるトヨタからはロッキーのOEMモデル「ライズ」が販売されている。

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短いノーズに高めの全高を組み合わせたプロポーションで、機能主義とエモーショナルな表現がほどよくバランスされている。昨今のランドローバー(ディフェンダーなど)をどこかで思い出させないでもない。上手にまとめられていて、クルマ好きのツボをついたスタイリングである。

走りもよい。駆動方式は、FWD(前輪駆動)と4WDの2種類で、エンジンは996cc直列3気筒ガソリンターボ・エンジンのみ。トランスミッションは無段変速機(CVT)である。

ロッキーのトヨタ版「ライズ」。インテリアデザインはロッキーもライズもおなじ。一部グレードのシート表皮は、レッドバイピング付き(フロントのみ)。下位グレードのアルミホイールは16インチ。想像以上に走りもよい低回転域からトルクをしっかり出せるCVTの特性をフルに活用し、1.0リッター未満のクルマとは思えないほど出足はかなり力強い。しかも加速は息つぎなしに続くから、たいていの道で流れをリードできる。コンパクトサイズと引き換えにパワーをガマンする必要はない。

ロッキーをドライビング・プレジャーのために買うひとがどれほどいるか分からないけれど、サスペンション・システムも、操縦安定性をしっかり確保するよう設定されている。なので、ワインディング・ロードを含めて、さまざまな状況で、おそらく期待以上に楽しめるはずだ。

駆動方式はFWD(前輪駆動)と4WD。搭載するエンジンは996cc直列3気筒DOHCターボ(98ps/6000rpm、140Nm/2400~4000rpm)。トランスミッションは新開発のCVT。DNGA(ダイハツ・ニューグローバルアーキテクチャー)思想に基づき開発された新世代のプラットフォーム(軽自動車の「タント」に次ぐ第2弾)により、シャシーとボディは、剛性を確保しつつ、外からのショックをいなし、すぐれたハンドリングを実現する。

SUVなので、とうぜん、オフロード性能の高さもうたう。ロッキーの4WDシステムは「ダイナミック トルク コントロール4WD」と呼ぶタイプである。前輪のスリップ率や舵角に応じ、電子制御で後輪へトルクを配分する。トヨタのSUV「RAV4」も同様のシステムを搭載する。

悪路走行を意識し、アプローチ・アングル(20°)やデパーチャー・アングル(32°)もそれなりに確保されているが、4WDのよさは、悪路よりもむしろ一般道、あるいはワインディングロードをそれなりのペースで走ったときに感じられた。後輪に駆動力がかかると車体をしっかり押し出してくれ、気持ちのよい加速が味わえたからだ。

WLTCモード燃費は2WDモデルが18.6km/L、4WDモデルが17.4km/L。衝突被害軽減ブレーキなどを含む先進安全装備群「スマートアシスト」は全車標準。ステアリング・ホイールはオーディオ用スウィッチ付き。9インチのディスプレイオーディオは9万9000円のオプション。改善希望箇所もちらほらエクステリアは、いわゆる「カンチレバールーフ」。Aピラーをブラックアウトした手法を採用してボディを長く見せている。Bピラーもブラックだ。目だつのはボディ同色のリアクオーターピラーのみ。この手法によって、キャビンが大きく見える。かといって間のびしていない。

上級グレードのメーターパネルは、7インチのTFT液晶画面を使ったフルデジタルタイプ。フルデジタルのメーターパネルは、表示方法を複数パターンから選べる。フルデジタルのメーターパネルは、表示方法を複数パターンから選べる。エクステリア・デザインを統括したダイハツの青木健児氏は、プレゼンテーションのなかで「強くキャラがたったデザインをユーザーは敬遠しがちなので、シンプルなデザインにするよう心がけました」と、述べた。

ちなみにデザインはダイハツ・オリジナル。従来、トヨタとダイハツの共同開発車の場合、両社デザイン・チームの合議制をとっていたものを、今回は変更。ほぼ100パーセント、ダイハツのデザインチームに任されたという。

フロントマスクは、ただし、トヨタ「RAV4」とのつながりを感じさせる。すこしだけアウディのフロントマスクも連想させるけれど、グリルとヘッドランプのデザイン・バランスがいいし、エアダムが力強さをうまく表現している。

リアシートのバックレストは2段階のリクライニング機構付き。通常時のラゲッジルーム容量は369リッター。ラゲッジルームのフロア下容量は、80リッター。リアシートのバックレストは40:60の分割可倒式。惜しいのはリアビュー。ちょっとゴテゴテしていて、全体のデザインとミスマッチに思う。フロントから側面、そしてリアへと、張りのあるシンプルな面の表現を続けてくれればなぁ、と、思った。

もうひとつ、「改善されるといいなぁ」、と、私が感じたのは、インテリアのクオリティである。ステアリング・ホイールの握りはやたら硬いし、シフトレバーのロック解除ボタン、ウィンドウの開閉スイッチなど、ひんぱんに使う操作系の感触がよくない。たとえばステアリング・ホイールのグリップは、もっと弾性を向上させると、良いはずだ。

最小回転半径はFWDモデルが4.9m、4WDモデルが5.0m。コンパクトカーの市場は伸びなやんでいてもSUVの市場は拡大中という。そこに注目したダイハツが、タントのプラットフォームをもとにしながら、ワンクラスうえのクルマを、しっかり作りあげてしまったことは特筆ものだ。

「良品廉価で、取りまわしがよく、先進技術を盛り込んでいるところに特徴を出した」と、開発者が胸を張る新型ロッキーは、おとながふだん使いして、楽しい思いが出来るクルマになると思う。燃費も良好で、リッターあたり18.6km/L(WLTCモード/前輪駆動モデル)だ。

価格はFWDモデルが170万5000円から、4WDモデルが194万4800円からである。

文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)

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