元ハースF1代表シュタイナーの新作『Unfiltered』が近日発売に。物議を醸した2021年アブダビGPにも言及

　元ハースF1チーム代表のギュンター・シュタイナーは、故チャーリー・ホワイティングが現在もF1レースディレクターを務めていたら、ルイス・ハミルトン（メルセデス）は今頃8度のF1世界チャンピオンになっていただろうと確信している。

　シュタイナーは、近日出版予定の著書『Unfiltered』のなかでハースでの10年間を詳しく語り、物議を醸した2021年のシーズン最終戦アブダビGPを含むスポーツの重要な瞬間を振り返っている。

　シュタイナーの初めての著書『Surviving to Drive』は、彼がNetflixのF1ドキュメンタリーシリーズ『Drive to Survive』で輝かしい存在感を放って驚異的な人気を得たことからタイトルがつけられたが、同書ではチャンピオンシップ制覇を果たしたレッドブルF1チームの前身ジャガーで始まったF1キャリアを含め、モータースポーツにおける彼の人生と時代を振り返っている。

『Unfiltered』でシュタイナーは、FIAレースディレクターのチャーリー・ホワイティングが、2019年オーストラリアGPの直前に急死した悲劇について振り返っている。ホワイティングはF1における重要人物であり、安全性に関する主要な進歩を監督し、レースレギュレーションの公正な適用を確立したことで知られている。

　ホワイティングの早すぎる死の後、マイケル・マシがレースディレクターを引き継いだ。2021年のシーズン最終戦アブダビGPにおけるマシの記憶に残る対応は、広く精査されてきた。マシは、ハミルトンに不利益を及ぼしマックス・フェルスタッペン（レッドブル）にタイトルをもたらすことになった、物議を醸したセーフティカーピリオドを宣言したのだ。

　シュタイナーは、そのレースの余波を「ひどいショー」と表現し、ホワイティングのリーダーシップの下では状況は違った展開になっていただろうと主張した。

「そのレースにどんな忠誠心を持っていようとも（そしてもちろん、素晴らしいエンターテインメントだったことには同意する）、レギュレーションの観点から言えば、それは途方もない規模のひどいショーだった」とシュタイナーは書いた。

「チャーリー・ホワイティングがマイケル・マシの立場でどのような決断をしたとしても、論争や困惑ははるかに少なかっただろう」

　シュタイナーは、もしホワイティングが指揮を執っていたら、ハミルトンがチャンピオンに輝いていただろうと断言している。

「チャーリーだったら何をしたかということは、みんなわかっている。彼が指揮を執っていたら、ルイスは今頃8度の世界チャンピオンになっていただろう」

　アブダビでのレースに関するFIAの調査により、マシがレギュレーションを誤って適用していたことが判明し、その誤りは“人為的ミス”によるものとされた。論争の後、マシは職を解かれ、オーストラリアに帰国した。3年が経った今、シュタイナーは「FIAが自分たちの過ちに対して罪悪感を抱くことをやめ、謙虚さを失っており、これはよい状況ではない」と述べている。