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豪州王者SVGわずかに及ばず。最終周の大逆転劇でクリス・ブッシャーが勝利/NASCAR第28戦

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豪州王者SVGわずかに及ばず。最終周の大逆転劇でクリス・ブッシャーが勝利/NASCAR第28戦

 難攻不落の“ザ・グレン”こと、ワトキンスグレンでプレーオフ第2戦を迎えた2024年のNASCARカップシリーズ第28戦『Go Bowling at The Glen(ゴーボウリング・アット・ザ・グレン)』では、チャンピオンシップを争う16名のドライバーにとって悲喜交々のドラマチックなレースとなり、トップ10にランクインしたのはチェイス・ブリスコ(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)とオースティン・シンドリック(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)の2台のみというチャレンジ満載の展開に。

 来季よりフル参戦を表明している南半球NZ出身の“SVG”ことシェーン-ヴァン・ギズバーゲン(トラックハウス・レーシングチーム/シボレー・カマロ)を、最終オーバータイムの接戦で追い抜いた“非”プレーオフドライバーのクリス・ブッシャー(RFKレーシング/フォード・マスタング)が、自身キャリア初のロードコース勝利を飾っている。

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 レギュラーシーズン王者のタイラー・レディック(23XIレーシング/トヨタ・カムリXSE)がフリープラクティス(FP)最速を記録して幕を開けた週末。まず注目を集めたのは同チームが用意したゲストカーに搭乗し、2014年以来のカップ復帰を果たすファン・パブロ・モントーヤ(23XIレーシング/トヨタ・カムリXSE)の存在だった。

「(フルタイムで)ドライブしていたときは何も節制していなかった。今はジムに通っている(笑)」と、まずはジョークを飛ばしたコロンビア出身48歳のモントーヤ。

「今週、何が起こるか自分でもまったく分からない。かなりいい走りができると思うが、今のところ言えるのはそれくらいだ」と、今季は小林可夢偉がサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)でシートに座った50号車を引き継ぐモントーヤだが、2014年当時とは競技規則やスタイル、そして何より車両規則が大幅に進化し、より攻撃的で容赦のないタイプのレース展開が予想される。

「とても難しいだろうね。事前に(ヴァージニアで)クルマをドライブし、午前中に40周ほど走って快適になり、シートやすべてが機能していることは確認した。マシンの感触はかなり良かった。実際、前のマシンよりも運転しやすいと感じたよ」と、現行Next-Gen規定のカムリXSEを評したモントーヤ。

 プレーオフの行方を含めすべての注目が集まった予選では、最後尾こそ免れプレーオフ権利者ハリソン・バートン(ウッドブラザーズ・レーシング/フォード・マスタング)に次ぐ34番手を記録したモントーヤだが、決勝のフィールドをリードするのは、同じく16名グループ以外の最上位ドライバーであるロス・チャスティン(トラックハウス・レーシングチーム/シボレー・カマロ)となり、自身カップ2回目のポールウイナーを射止めた。

■グレン5連勝のヘンドリック艦隊に再三のアクシデント
 迎えた決勝はオープニングから16名のプレーオフドライバーに試練を課す展開となり、スタート時点でポイントランキングで首位に立っていた王者ライアン・ブレイニー(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)は、名物“Bus Stop(バスストップ)”のシケインで、同じくプレーオフ登録のデニー・ハムリン(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)や、その僚友クリストファー・ベル(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)、ブラッド・ケセロウスキー(RFKレーシング/フォード・マスタング)らを含む6台のマルチタングルに巻き込まれ、早くも1周目にレースから脱落。

 ここでカイル・ブッシュ(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)とともにダメージを負ったハムリンも、ふたたびレース中盤にはケセロウスキーとカイル・ラーソン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)の“3ワイド”のリスタートを強いられ、名物“Esses(エッセ)”で充分なスペースが得られず再度のダメージを喫してしまう。

 そのステージ1を制覇したのはフロントロウ2番手発進を決めていたマーティン・トゥルーエクスJr.(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)だったが、そこへ僚友ダニエル・スアレス(トラックハウス・レーシングチーム/シボレー・カマロ)を起因としたアンダーイエローの状況ながら、ステージ2をワン・ツーで制覇したポールシッターのチャスティンとSVGのトラックハウス艦隊が立ちはだかる構図となる。

 ここへ残り20周を切ってブッシャーのマスタング“ダークホース”も加わると、左リヤをバーストさせたバートンのデブリでコーションが発動。勝負は残り7周で仕切り直しのリスタートを迎える。

 隊列を率いたブッシャーにSVGが3番手で追い縋るなか、後方ではRFKのケセロウスキーがウイリアム・バイロン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)と絡んで両者マシンが大破。この日、再三のアクシデントに遭遇したヘンドリック艦隊は、歴史あるグレンで続けてきた5連勝の記録に終止符を打つこととなる。

 残り3周。このリスタートではレディックの23号車カムリXSEと8号車カマロZL1のブッシュが絡んでふたたびイエロー。さらに背後ではラーソンを起因として3台が絡んだアクシデントの余波で、2017年王者トゥルーエクスJr.もダメージを負い、ハンドリングが大きく狂うこととなる。

「カムリは安定していたと思う。ロングランではもっと良くなる必要があったが、懸命に努力して粘り強く走り、まずまずの一日だった。でもいつものように最後にコーションが出て、他のドライバーに追い抜かれてしまった」と、引退の期限が刻々と迫るトゥルーエクスJr.

「レースがいつもこうなるなんておかしい。最後にリスタートで他のドライバーのすべてを破壊してしまう者たちが、どうして自分たちを『世界一』だと言えるのか、私には理解できない」とフラストレーションを隠さない。「とてもイライラしている。今はそれが現実だ」

■ブッシャーが大逆転トップチェッカー。SVGはミスを自戒
 これで決着は2周のオーバータイムに持ち込まれると、ターン1で大胆な3ワイドの動きを見せ2列目からトップを奪ったSVGだったが、背後のブッシャーがテール・トゥ・ノーズで追走。ホワイトフラッグで一騎打ちの“デュエル”に持ち込んで行く。

 ここで首位を行くSVGがバスストップのふたつめでわずかに姿勢を乱すと、これを見逃さなかったブッシャーはインサイドにカマロを捩じ込み、続く高速右のターン5でボディを擦り付けながら前へ出ることに成功する。

 追い縋ったSVGも最終セクター切り返しでフルカウンター状態にまでスロットルを開けて執念を見せたものの、ここで万事休す。3週間前にダーリントンで争われたレギュラーシーズン最終戦で、プレーオフ出場資格をわずかに逃した31歳が大逆転でのトップチェッカーを受けた。

「ああ、フォード・マスタングは本当に素晴らしかった。スピードは最高で、ロングランの速さは驚異的だったよ!」とNZ出身のスーパースターを0.979秒差で打ち負かしたブッシャー。

「最後のリスタートでは負けたと思ったが、そこから彼(SVG)と並んで走れたのはスゴいこと……彼の方が僕らよりいい位置だったけど、惜しくも最後はロスを喫したようだから、僕はクロスオーバーを仕掛けてハードなレースをした。なんて素晴らしいフィニッシュ! 最後にこれだけいい成績を残し、全体を通して勝利を収められたのは素晴らしいことだ。僕らは(プレーオフを)“撹乱”するためにここにいるし、今後もそうするつもりだよ!」

 一方、豪州RSCの“3冠”王者として、決勝を通じて競争力とそのドライビングの腕を示し続けたSVGは「ドライバーのミスだ」と、シケインでのスライドに関して自戒の念を込めて振り返った。

「クリス(・ブッシャー)が背後に来たし、本気でプッシュしてくると思っていたのに、切り返すときに少しルーズになってしまい、イン側の縁石に引っ掛けてしまった。ドライバーのミスで、ガッカリだ」と続けたSVG。

「ロス(・チャスティン)やクリス、そして最後に他の選手たちと争えたレースは本当に素晴らしかったが、勝てなかったのは残念だ。とても楽しかったけど、自分自身にかなり腹が立っている」

 これで次なるステージ“Round of 12”に向け残りは1戦。次週ブリストルを前にハムリンはカットラインより6ポイント後方へ下がり、同ケセロウスキーは12ポイント差、トゥルーエクスは14ポイント差と、実力者たちが厳しい状況へ追い込まれている。

 一方、併催されたNASCARエクスフィニティ・シリーズ第25戦『Mission 200(ミッション200)』は、ノースカロライナ州出身の18歳コナー・ジリッシュ(JRモータースポーツ/シボレー・カマロ)が、スリリングなオーバータイム・リスタートで他を寄せ付けず、予選ポール獲得から鮮烈なデビューウインを達成している。

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