レースで培ったターボ技術サーキットは走る実験室だ
12月2日、静岡県の富士スピードウェイで開催された「ニスモフェスティバル2018」には、新旧さまざまなレーシングカーが展示されていた。そのなかにフランスで行われるル・マン24時間耐久レースに参戦したR33型スカイラインGT-Rをベースにした『NISMO GT-R LM』など、注目の耐久レース用マシンをピックアップ。
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日産がル・マン24時間レースに初めて参戦したのは1986年。R85VとR86VというグループCカーカテゴリーのマシンだった。結果はR85Vが総合16位で完走。R85Vはリタイアとなった。R85Vのドライバーは長谷見昌弘/和田孝夫/Jウィーバー。1990年まで日産は、毎年ル・マンに挑戦し続けていたが、結果を出せず1991年は撤退を決定して参加を取りやめていた。
NISMO GT-R LM
そして5年の沈黙を破って1995年再びル・マンにNISMO(ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル)チームとして参戦したが『NISMO GT-R LM』だ。GT1クラスの規定から、市販車が1台制作されたのが特徴。そのフォルムからわかるようにBCNR33型スカイラインGT-Rをベースにしたマシンだ。もちろんエンジンは、2.6L直6のRB26DETT型。写真のマシンは、2015年に日産再生クラブによってレストアされた個体。
NISSAN R390GT1
日産は、1995~1996年のル・マンをNISMO GT-R LMで戦ったが、市販車ベースのマシンで参戦を続けても結果は残せないと判断。そして1997年に投入されたのが『NISSAN R390GT1』だ。この年から再び日産ワークスで参戦している。『R390』とは、1960年代の名マシン「R380シリーズ」にちなんで与えられたネーミング。650馬力以上の3.5リットルV8DOHC ツインターボエンジンを搭載した。1997年参戦の3台のうち、星野一義/E・コマス/ 影山正彦組の23号車が総合12位・クラス5位を果たす。
1998年も引き続き、日産は『R391GT1』でル・マン24時間レースに参戦。32号車(星野/鈴木・亜/影山組)は総合3位、30号車5位、31号車6位、33号車が10位と、全車が10位以内で完走する結果を残す。このマシンが、3位入賞車(#32)仕様だ。
NISSAN R91CP
日産は、ル・マン24時間耐久レース以外の国際耐久レースにも参戦している。1983年から日産はグループCカテゴリーに参戦していたが、当初のマシンは英国のマーチ社やローラ社といった外国製のシャシーに日産のエンジンを搭載していた。そのマシンでWEC(世界耐久選手権)や国内の耐久レースにも参戦していたのだ。しかし、R90型からは約70%のパーツがNISMO製となり、『NISSAN R91CP』では新設計のカーボンモノコックを採用した。写真は、1992年のデイトナ24時間レースで長谷見昌弘/星野一義/鈴木利男組が日本人・日本車として初の総合優勝を飾ったマシンだ。エンジンは3.5リットルV8DOHCツインターボ(VRH35Z型)で、最高出力は実に800馬力を発揮した。
NISSAN NP35
日産が1980年代から90年代前半にかけて参戦したスポーツプロトタイプカー(グループCカー)によるレースは、ターボ関連技術や燃費向上技術などの幅広い分野で、多くの経験とノウハウの習得にも成功した。まさに、レースは走る実験室なのである。1993年シーズンからグループC車両規定が自然吸気3.5リットルエンジンへ変更されると、日産は最高出力630馬力以上を発生する3.5リットルV12DOHCのVRT35型エンジンを搭載した『ニッサンNP35』を新開発。ところが、Cカーによる世界選手権レース(SWC)は1992年限りで打ち切られることになり、『NP35』の実戦投入は、1992年の国内レース1戦のみだった(総合10位、Cクラス4位入賞)。ニスモフェスティバルのデモランでは、甲高いV12サウンドを奏でていた。
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