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最近のクルマはなぜ「空力」を重視するのか 燃費や航続距離との深い関係性

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最近のクルマはなぜ「空力」を重視するのか 燃費や航続距離との深い関係性

もはやEVには不可欠? 空気抵抗を減らせ

空気抵抗係数わずか0.30(Cd値)という画期的な3代目アウディ100の発売から、もう40年も経つのだろうか。当時は、1970年代の石油危機から脱却して間もない頃の価値観の変化を反映して、大きな話題となった。

【画像】EVのなめらかなボディは空気抵抗を減らすためだった【メルセデス・ベンツやポルシェの最新EVを写真で見る】 全47枚

アウディ100は、当時のライバル車と比べると確かになめらかな見た目をしているが、エキゾチックと言うには程遠い。だからこそ、その革新的な空力性能(エアロダイナミクス)がさらに興味深いものになったのだろう。

時代の流れとともに、空力がいかに重要な意味を持つようになったかは、周知の通りである。空気抵抗はどこまで低減できるのか? クルマの外観にどのような影響を与えるのか? 電動化はどのような影響を与え、将来的にどのようなものになるのか?

自動車の表面を「掴んで」減速させようとする空気抵抗は、速度の2乗で増加するという、恐しく強力なものだ。簡単に言うと、速度が2倍になると、抵抗に打ち勝つために4倍のパワーが必要になるということ。これまでパワーを引き出すために、エンジンの設計にどれだけ工夫を凝らしてきたかを考えると、昨今の空力に対する注目度の高さも納得である。

そして、EV(電気自動車)のパワートレインは内燃機関よりもはるかに効率が高いため、空力性能の影響は、よりいっそう憂慮すべきものとなっている。

ポルシェの空力研究開発マネージャーであるトーマス・ヴィーガンド氏によると、WLTPテストサイクルにおけるEVの損失の30~40%は空気抵抗が占めており、現実世界では50%まで上昇する可能性があるという。これに対し、エンジン車では空気抵抗による損失は全体の10%に過ぎない。

しかし、EVは空力に関してエンジン車より優れている点がいくつかある。1つは、パワーユニットの発熱量が少ないため、冷却用のラジエーターやエンジンルーム内の空気の流れをほとんど必要としないこと。

もう1つは、排気管や駆動系部品が少ないため、下回りをなめらかに仕上げるのが容易であるということ。市販車でもグリルシャッターなどの可動式エアロパーツの採用が少しずつ進み、必要な量の空気だけをブレーキディスクやラジエータへ通すようになりつつある。

ポルシェのタイカンは0.22、メルセデス・ベンツEQSは0.20という空気抵抗を達成しており、メルセデス・ベンツEQXXコンセプトは信じられないほど低い0.17まで引き下げている。

メルセデスの空力エンジニア、ステファン・クレーバー氏によると、EQSでは100km走行あたり15kWhのエネルギー消費に相当するが、EQXXでは10kWhにまで減少するという。ポルシェは、将来的に形状記憶素材を用いることで、自動車が走りながら形状を変化させるようになるのではないかと考えているようだ。

ドイツのシュトゥットガルト大学でも研究が進められており、スピーカーを使ってボディの表面を振動させ、空気の剥離挙動に影響を与え、抵抗を抑える実験が行われている。

航続距離や充電時間などがEV購入時のネックとされている今、少しでもエネルギー効率を高めるために、空力性能はパワートレインと並ぶ重要な開発課題となっているのだ。

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みんなのコメント

22件
  • 0.22という数字は「空気抵抗係数」であって空気抵抗そのものでは無い。空気抵抗とはこの「空気抵抗係数」に「前面投影面積」と「空気の密度」と「走行時の速度」が関わってくる。だからこの係数だけで空気抵抗の大小を評価することはできない。
  • テスラモデル3でもCD値が0.23なのでタイカンやメルセデスのEQSはすごいですね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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