もくじ
ー 中古のマスタングという冒険
ー マスタング どのモデルがいい?
ー フォード・マスタングの中古車 購入時の注意点
ー 専門家の意見を聞いてみる
ー 知っておくべきこと
ー いくら払うべき?
ー 掘り出し物を発見
TVR新型デビュー記念! 過去の記憶に残るモデルを振り返る(前編)
中古のマスタングという冒険
中古市場では現行マスタングの2.3エコブーストの低走行車両が2万6000ポンド(395万円)、5.0 V8エンジンを積んだGTマニュアル車でも2万9000ポンド(440万円)で購入する事ができ、しかも右ハンドルという特典まで付いてくる。
しかし、この状況が意味するのは先代モデルであれば、さらに魅力的な価格で、驚くほどイジリがいのあるカリスマ的なクルマが購入できるという事実だ。
その価格帯は2万5000ポンド(380万円)をはるかに下回るところから始まっている。例えば2008年式4.0ℓV8エンジンを積んだファストバック・モデルが9000ポンド(137万円)というのはどうだろう?
走行距離は36万kmを越えているが、クラッチとサスペンションアーム、それにブレーキも新品に交換済みだ。なお、この記事はS197(2005年から2014年にかけて生産された第5世代マスタングのコードネームである)を購入する際のバイヤーズガイドとしてお読みいただきたい。
もうひとつ確認すべきは税金関係の支払いがキチンと行われているかだ。先程紹介したクルマは米軍の兵士から購入されたものだが、米軍兵士は任期が終了した際に車両を自国へ持ち帰ることを条件に、輸入関税を支払うことなくクルマの輸入を行い、英国のナンバープレートを付ける事が出来るのだ。
しかし、彼らの中には税金を支払うことなく英国の買い手に割安な価格でクルマを売却するものもいて、こういった場合、いずれは税務当局から税金の支払い督促を受けるハメになる……。
S197は1967年に登場した伝説的な初代マスタングのファストバック・モデルを彷彿とさせる迫力あるデザインをしており、伝統的な三連式のテールライトなど、いくつかの重要なスタイリングのディテールを除けば、4代目たる先代モデルからは大幅な改良が施されていた。
強化された新プラットフォームを採用していたが、英国のクルマ好きたちはよりシャープな運転を行うべくサスペンションをさらに締めあげている。
マスタング どのモデルがいい?
2004年、210ps 4.0ℓV6エンジンと300ps 4.6ℓV8エンジンとの組み合わせでファストバック・モデルが導入され、いずれのエンジンでも5速マニュアルかオートマティックのトランスミッションが選択出来た。コンバーチブル・モデルの導入は翌2005年となる。
2009年には4.6ℓV8エンジンの出力が315psへと高められ、その後2010年には新デザインのマスタング・エンブレムとウインカー、及びLED式テールライトを採用したマイナーチェンジが行われた。
さらに翌年には新世代の6速マニュアルとオートマティック・ギアボックスが導入され、新たな2種類のエンジンと組み合わされることになった。
それまでの4.0ℓV6はより高効率な305ps 3.7ℓV6へと変更され、4.6ℓエンジンの代わりには444psを発するBoss 302のベースとなった412ps「コヨーテ」5.0ℓV8エンジンが導入された。
新たに登場したGT500はスーパーチャージャー付5.4ℓV8エンジンを搭載し、その出力は550psに達している。その後2013年には、排気量はさらに5.8ℓへと拡大、出力は662psとなり(129km/hでのエンジン回転数はなんと1800rpmという低さである)、ベースとなった5.0ℓV8エンジンも出力が420psへと高められている。これらのモデルにはHID式ヘッドライトが採用された。
モデルや年式にかかわらず、S197を購入する際には全ての灯火類が機能していることを確認する必要がある。これら灯火類はコンピュータで制御されており、英国で小ロットの輸入車等に課されるIVA(Individual Vehicle Approval)テストで大変な目に会う危険性がある。
いまや第6世代の現行S550マスタングよりも高価な車両も出始めたS197に何を期待するか確認しておくことも重要だ。そのことを頭に入れたうえで、9000ポンド(137万円)から購入する事が出来るこの稀代の1台を楽しんで欲しい。
フォード・マスタングの中古車 購入時の注意点
エンジン
オイルは100%化学合成の5W30がベストマッチであり、交換は16,100km毎を推奨。初期のV8モデルではプラグが2つのパーツから構成されており、冷間時に折れるケースがあることに注意が必要だ。折れたプラグを引き抜くための特殊工具まである。
電装類
IVAテスト用に下手にブレーキ・ランプやリア・ウインカーを改造した場合、電気的な問題を引き起こす可能性がある。クルーズ・コントロールが正常に作動するか確認が必要。素人作業によりクルーズ・コントロールに必要なブレーキ・ライトの配線まで切ってしまっている場合あり。LED式のブレーキ・ランプが通常の電球に変更されていないかも要確認。
ボディ
ボンネット・エッジ部内側の錆発生につき要確認。2層構造の間に錆が発生する場合がある。ドアのシールが劣化している場合、助手席フットウェルから電気基盤にまで水分が達して基盤をショートさせる可能性あり。グリルとラジエータの間にあるプラスチック製スペーサーと金属製ブラケットの状態をチェックすることで事故の有無が確認出来る。ドアを開けた時に窓が自動で若干下がるかも確認が必要。
トランスミッション
リア・アクスルのピニオン・シールからのオイル漏れは要確認。シール自体は5ポンド(7万円)で購入できるが、交換作業は1日がかりとなる。マニュアル車の場合、冷間時2速でのギア鳴りに注意が必要。
サスペンションとブレーキ
ノーマルのブレーキは高温になると効きが悪くなるため、Stop Tech製などのアフターマーケット品のディスクとブレーキへの交換がおすすめ。エンジン・タイプにかかわらず、リアのロア・サスペンションアームとブッシュには同じグレードが使用されており、より高性能なBMR製サスペンション・パーツに交換すべき。スプリングとダンパーも同様だ。
インテリア
内装はプラスチックを多用しているが取付けはしっかりしている。
専門家の意見を聞いてみる
マイク・レーシー
MODURSTANG
「1982年、19歳の時に両親と一緒にアメリカへ引っ越したんだけど、その時マスタングと恋に落ちたんだ。何年かして英国に戻ったあと、マスタングの修理とチューニングを専門にしたショップを始めたんだ」
「S197は歴代マスタングの中でも素晴らしいモデルだよ。隅々までイジることも出来るし、アフターマーケット製のパーツを使えばさらに高いレベルに持っていくことも可能なんだ。ほかのマスタングと同様、価値も安定しているしね。ミント・コンディションの2006年式4.6ℓV8モデルでも2万6000ポンド(395万円)も出せば購入する事が出来るけど、ちょっと高価すぎるかな」
「現行S550の初期モデルと同じくらいの値段だなんてS197は高くなり過ぎだよね。あと1万ポンド(152万円)も出せば低走行でオプションが全部付いた2016年式5.0ℓV8のGTモデルが買えるんだから」
知っておくべきこと
車歴4年以上の場合、税金支払い履歴が確認出来るC386関税申告書コピーを確認した方が良い。安い車両の場合、後で税金(10%)とVAT(20%)の支払いが必要になる場合がある。米軍関係者所有だった車両は特にリスクあり。
いくら払うべき?
1万4995ポンド(7.5万~15万円)以下
年式、仕様、状態は様々だが、ほとんどがマニュアル・ギアボックスで安いものは9000ポンドから。320,000km以上走った初期の4.0ℓV6モデルなど。走行距離362,100kmの2008年式4.0ℓV6モデルが見つかった。
1万5000ポンド~1万9995ポンド(15万~30万円)
2007年から2014年式でエンジンは3.7ℓV6、4.6ℓV8及び5.0ℓV8のクーペとコンバーチブル・ボディが選べ、走行距離は56,000km~113,000km程度。2010年式5.0ℓV8エンジンを積むGTモデルで走行距離56,000kmの車両が19995ポンドで見つかった。
2万ポンド~2万4995ポンド(30万円~万円)
低走行の4.6ℓモデルや平均的な走行距離の最終5.0ℓV8モデルが購入可能。但し、現行2.3ℓエコブースト・モデルが26000ポンドから視野に入る。
掘り出し物を発見
フォード・マスタング4.6ℓV8 GTファストバック オートマティック 登録2007年 走行8万8500km 価格1万5995ポンド(243万円)
全ての輸入手続き完了済みとしてこのクルマのスペシャリストによって最近輸入された車両。プレミアム・パック(オン/オフ可能なトラクション・コントロールとレザー内装)に加え、全ての整備履歴付きで、錆の発生無しを確認済み。GTクラシック・エプロン、グリルとルーバーを含んだLoads of Shelbyキット付き。
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