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【大矢アキオの イタリアでcosì così でいこう!】石膏パンダから懐かしのコンセプトまでーーイタルデザインの非公開ミュージアムに潜入【動画あり】

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【大矢アキオの イタリアでcosì così でいこう!】石膏パンダから懐かしのコンセプトまでーーイタルデザインの非公開ミュージアムに潜入【動画あり】

展示台数が減った理由とは?

数々の量産車の自動車デザインを手がけてきた「イタルデザイン」。
1968年にジョルジェット・ジウジアーロ氏とアルド・マントヴァーニ氏によって設立された同社は2010年にフォルクスワーゲン(VW)グループの傘下となり、さらに2015年にはジウジアーロ氏が全株を譲渡して今日に至っている。VWグループ内ではアウディ、ランボルギーニおよびドゥカティと同じユニットに属する。

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https://youtu.be/WItCo7Xpwq8

同社は、イタリア北部トリノ南郊の町モンカリエーリに本社をもつ。日本で長年知られている自動車デザイン&エンジニアリングのほか、量産試作、試験、自動車以外のプロダクトデザインなど、大別して17の業務を手掛けている。従業員は912名(2020年12月末現在)。自動車に関していえば、これまでに関与した量産車は300台以上、コンセプトカーは100台以上にのぼる。

その本社の一角に、彼らが「ムゼオ(ミュージアム)」と称する展示ホールがある。ジウジアーロ氏時代から設けられていたものだ。

世界のVWグループ製品はもちろん、他社製品も並行して開発している同社である。ゆえに、機密保持の観点から残念ながら一般公開されていない。たびたび訪れる筆者でさえ、毎回厳しい入館チェックのあと、初めてアクセスが許される。だが一旦入れば、広い面積のガラスを通じて陽光がふんだんに差し込む中、彼らが手掛けた歴代車両を鑑賞することができる。

今回案内してくれたのは、イタルデザイン広報部のウンベルト・ジョリオ氏。大学生時代はラリーを嗜んでいたという、公私ともにカーガイである。たびたびオフィシャルビデオの走行シーンにおけるドライバー役も買って出ている。

筆者が最初にこのムゼオを訪れたのは、2004年のことである。当時は20台以上が狭い間隔で収蔵されていて、どこかガレージ感が漂っていた。対して近年は展示台数を限定し、ゆとりをもって並べられている。
かつてディスプレイされていた1980年代のコンセプトカーの多くは、どこに行ってしまったのか?
それらは別の社屋にある巨大倉庫に、カバーをかけて大切に保管されており、筆者もそれを確認した。同時にジョリオ氏は「VWグループとなってから、各国や地域のショーやイベントに貸し出す機会が増えました」と解説する。VW入りしてから展示物は、より積極的に活用され始めたのだ。

あのフェラーリの部品はフィアットと同じ?

それでも室内には、興味深い車両が数々発見できる。
その代表は、初代フィアット・パンダだ。実は開発段階で製作された石膏製の原寸大モックアップである。自動車史の一例としてだけでなく秀逸なインダストリアル・デザインの証人として、美術館も含む各国の企画展に貸し出されてきた。そのため「世界中を最も移動したパンダといえます」とジョリオ氏は語る。一部に小さなヒビがみられるのも石膏である証拠だ。

動画でご覧いただけるランボルギーニV10 550HPエンジンを搭載した「パルクール」は、2013年ジュネーヴのコンセプトカーである。スポーツカー/オフロードカー双方の特性を併せもつ新カテゴリーの提案だった。
展示車の運転席側フロアやタイヤに土埃や泥が残っているのを見て笑うのは早計だ。「カー&ドライバー」誌に代表される自動車メディアによって、容赦ないロードテストに供された跡である。イタルデザインは、たびたびコンセプトカーに、高い実走能力とそれに耐える高度なボディ剛性を与えてきた。

2006年「マスタング・バイ・ジウジアーロ」は、1964年に誕生したフォード・マスタングのエレメントを今日風に解釈しながらも、当時はまだホモロゲーションを通過できなかったデジタルアウターミラー(電子式ドアミラー)を装備していた。

デザインだけでなく「常に未来を見据えた装置の提案をすることも、私たちの重要な任務なのです」とジョリオ氏は強調する。

ドアミラーといえば、ジョリオ氏がちょっとしたトリビアを披露してくれた。
ジウジアーロ氏のデザイナー生活50年を記念した2005年のコンセプトカー「フェラーリGG50」である。

そのドアミラーは「フィアット・グランデプント」用そのままだという。往年のフェラーリはフィアット大衆車のパーツを巧みに用いることで、そのぶんモトーレ(エンジン)にコストをかけてきたことを思い出した。それ以上に、よく考えればグランデプントもイタルデザインの仕事であった。ゆえに、フェラーリに転用しても何ら問題はなかろう。というよりも、ドアミラーひとつとってもベストを尽くした末のフォルムである証だ。

かくも、知れば知るほどデザインを観察する目が養われそうなコレクションである。

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