積算2万932km 3.0L直列6気筒エンジンは好燃費
正直なところ、プラグイン・ハイブリッドのメルセデス・ベンツS 580eへ、当初は懐疑的だった。自身のクルマとして乗るなら、ディーゼルターボを積んだS 350dを選んだだろう。ゼロ・エミッション・ゾーンが増え、軽油価格が高騰する2023年でも。
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しかし、今回の長期テストの目的は、プラグイン・ハイブリッドがディーゼルターボを置き換えるSクラスのパワートレインになるのか確かめること。そのため、S 580eがやってきた。ロングボディで。
これまでの半年間、日常的に運転し走行距離は2万kmを超えた。グレートブリテン島を走り回り、欧州大陸に広がる高速道路網も意欲的に巡った。多くのSクラスと同様に。
初めて対面した時、世界最高峰の高級車だと理解はしていても、飛び跳ねるほど喜んだわけではない。筆者が1980年代にこの仕事を始める以前から、Sクラスは高級車としての地位を築いていた。既に試乗レポートで、新しいW223型の実力は示されていた。
今の筆者はフリーランスの寄稿者として働いており、長期テストのガソリン代は自分で支払うことになる。ランニングコストが大きな心配だった。
ところが、S 580eの3つのポイントを理解していなかった。まず、3.0L直列6気筒ガソリンターボ・エンジンは、かなり好燃費だという事実。駆動用バッテリーの残量が空になっても、快適さを保ったまま14.2km/Lほどで走ることが可能だった。
現実的に110km走れる駆動用バッテリー
2つ目は、移動中に想像以上の電気エネルギーを蓄えられること。かなり緩やかな下り坂でもエンジンは自動的に停止し、位置エネルギーを利用して発電が始まる。従来のクルマなら、エンジンブレーキで失われていただろう。
そして3つ目が、28.6kWhの駆動用バッテリーだけでの走行可能距離。メルセデス・ベンツの主張では最長約100kmなのだが、現実的には110kmは走れていた。メーカーが過小評価した数字をカタログに載せるとは。
つまり、充電されている限り、短距離ならガソリン代は発生しない。これまでフォルクスワーゲン・ゴルフを使っていた移動にも、S 580eは活躍してくれた。駅までの娘の送迎やスーパーへの買物、友人宅への訪問も、ガソリンを燃やすことなくこなせた。
往復で400kmもあるヒースロー空港へも、3分の1は電気エネルギーだけで走れた。結果として、車重2.3tもある500馬力超えのリムジンは、最も倹約に移動できる手元のクルマになった。
反面、大きな駆動用バッテリーが荷室を侵食し、実用性は限定的。大学生の娘の荷物を長期休みで持ち帰る場面では、ゴルフを利用することになった。まったく同じ条件ではないが、BMW 7シリーズなら問題なく積めたと記憶している。
ディーゼルを置き換える以上の完成度
気になる部分もゼロではない。ステアリングホイールに並ぶタッチセンサーへは、最後まで慣れなかった。メルセデス・ベンツの担当者などから、使っていれば慣れると諭されてきたが。
そもそも、意図した通りに機能しない。なぜ、実際に押せるハードボタンを排除するのだろう。ほかにも、補機用の12Vバッテリーにエラーが出たこともあった。大きなボディと質量により、前世代のSクラスが誇った安定した操縦性までは得てもいない。
それでも、間違いなくS 580eは優れている。高速道路で速く快適なことは、このカテゴリーでは当然ながら、すべての移動時間を満たす能力を備えていた。
フランス・ル・マンへの約1600kmの往復など、遠征でその能力は発揮された。先日レポートした、ベルギー・スパ・フランコルシャンへの旅も素晴らしい思い出だ。
6時間耐久レースをリタイアした翌日、午前4時に筆者は自宅へ帰ることにした。準備に4日間を費やし、疲労が溜まっていた。長距離で天気も良くなかったが、苦労を感じず到着できたことが、S 580eの実力を物語っている。
不思議と眠気は感じず、ドーバー海峡を渡るユーロトンネルまでの約400kmを一気に走破。グレートブリテン島に上陸してからの約320kmも同様だった。昨日までの疲れは車内で癒やされ、家族で昼食を取る時間へ間に合った。
メルセデス・ベンツSクラスは、以前から世界最高峰の高級車だ。最新のW223型でも変わらない。だがプラグイン・ハイブリッドによって、従来以上の水準へ到達している。ディーゼルターボを置き換える以上の完成度だとまとめたい。
セカンドオピニオン
昨年にS 400d 4マティックを試乗した時は、余り良い印象は抱かなかった。デジタル技術が過多で、21インチという巨大なアルミホイールは乗り心地にメリットを与えていなかった。
だが、長期テストのS 580eは高級サルーンとして高い実力を備えていることを証明した。うれしい結果だ。 Matt Saunders(マット・ソーンダース)
テストデータ
気に入っているトコロ
ハイブリッド・システム:自宅での充電で約110kmも走れてしまう能力は、ゲームチェンジャーといっていい。
抜群の乗り心地:メルセデス・ベンツのSクラスがこの能力で劣っていたら番狂わせ。期待通りだった。
メルセデス・ミー:最初はお飾りのアプリ程度にしか考えていなかった。だが、停めていた駐車場でぶつけられた時は特に、便利だと実感した。
気に入らないトコロ
荷室容量:プラグイン・ハイブリッド版で1番の弱点。通常のSクラスより3割ほど小さい。
タッチセンサー:約2万kmも一緒に過ごしたが、ステアリングホイールのタッチセンサーには最後まで慣れなかった。昔ながらのボタンがいい。
走行距離
テスト開始時積算距離:2146km
テスト終了時積算距離:2万932km
価格
モデル名:メルセデス・ベンツSクラス S 580e L AMGライン・プレミアム・プラス・エグゼクティブ(英国仕様)
開始時の価格:11万3880ポンド(約1833万円)
現行の価格:12万1295ポンド(約1952万円)
テスト車の価格:11万3880ポンド(約1833万円)
オプション装備
なし
燃費&航続距離
公称燃費:142.9km/L
タンク容量:67L
平均燃費:17.2km/L
最高燃費:19.2km/L
最低燃費:11.7km/L
航続可能距離:1155km
長期テスト車のスペック
全長:5179mm
全幅:1921mm
全高:1503mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:6.5秒
車両重量:2385kg
パワートレイン:直列6気筒2999ccターボチャージャー+AC同期モーター
使用燃料:ガソリン
バッテリー:28.6kWhリチウムイオン
最高出力:510ps(システム総合)
最大トルク:76.3kg-m(システム総合)
ギアボックス:9速オートマティック
荷室容量:350L
ホイール:20インチ10.5J
タイヤ:255/40 ZR20
メンテナンス&ランニングコスト
リース価格:1684ポンド/月(約27万1000円/月)
CO2 排出量:16g/km
メンテナンスコスト:なし
その他コスト:なし
燃料コスト:1849ポンド(約29万7000円/ガソリン)+600ポンド(約9万7000円/電気)
燃料含めたランニングコスト:2449ポンド(約39万5000円)
1マイル当りコスト:0.21ポンド(約34円)
不具合:警告メッセージの誤表示
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みんなのコメント
しかも走りも楽しめると言う所がドイツ車らしい
レクサスは届かないだろうね