シトロエンのコンパクトSUV「C3 AIRCROSS SUV」がマイナーチェンジを受けた。進化したフランス車は見ても、乗っても、そして座っても個性的だった!
個性たっぷり
シトロエンC3 AIRCROSS SUVが新世代フェイスをまとって登場した。国内に導入されたモデルとしては、2021年1月に発売が開始された「C3」に次ぐ、“新しい顔”の採用である。2022年1月に発売された「C4シリーズ」は新顔第3弾だ。
いずれの顔も、2016年のパリモーターショーで発表されたコンセプトカー、「CXPERIENCE(Cエクスペリエンス)」に起源を持つ。シトロエンのブランドロゴであるダブルシェブロンを中心に左右に伸びた2本のラインがXを横倒しにしたグラフィックを描き、両端でランプユニットとつながっている。なかなか個性的な表情だ。
C3 AIRCROSS SUVはその車名が示すとおり、C3のSUV版だ。ベース車とのキャラクターの違いは顔づくりにもあらわれている。新世代フェイスを採用するのは両者に共通しているが、C3が長楕円のベゼル(内側にフォグランプを収める)をアクセントに用いているのに対し、C3 AIRCROSS SUVは幾何学的な開口部とグリルパターンを採用している。C3が「柔」なら、C3 AIRCROSS SUVは「剛」のイメージだ。
といって、とっつきにくい印象を受けないのは、デザイン力というものだろう。筆者にはずんぐりむっくりした体型と相まって“ブサカワ”に感じられた。まるで、フレンチブルドッグを見るような感覚だ。この、とっても個性的で、人目を引き、誰にでも噛みつきそうに見えてどこかほんわかとした雰囲気を漂わせているところが、C3 AIRCROSS SUVの魅力であり、同クラスの競合に対する強みだろう。
摩訶不思議なアドバンストコンフォートシート
インテリアも個性的だ。合理性を重んじるフランス生まれの乗用車らしく、実用車然とした雰囲気を残しながら、「洒落ているなぁ」と、感嘆せずにはいられないワザが散見される。
シートは座面の先端とシートバックの上端に杢グレー(霜降りグレー)のファブリックが張り込んである。同じ素材をインストルメントパネルの上部にあしらっているところが感嘆ポイントだ。“粋”な計らいである。
シートバックと座面に施した幾何学パターンもおしゃれだ。シートはC3と同様に、「アドバンストコンフォートシート」を採用する。特徴は“厚み”だ。シート生地裏のフォームは従来2mmだったが、アドバンストコンフォートシートは15mmもある。
おかげで、腰を下ろしたときの“あたり”が独特だ。フォームが厚いと聴くと、身を任せたら起き上がるのに苦労するフカフカのソファのような感触を想像するかもしれないが、そうではない。
芯はしっかりしており、“あたり”だけが柔らかい。タイヤやサスペンションと連動したクルマ全体の動きとシートの感触が調和し、このクルマでしか味わえない独特の乗り心地を実現している。この味わい深い乗り心地も、C3 AIRCROSS SUVの魅力だ。
全長は4160mmしかない。トヨタ「ヤリス・クロス」の全長が4180mmで、全幅や全高も含めてほぼオーバーラップする。つまり、多分にコンパクトなSUVということになる。身長184cmの筆者が運転姿勢をとった状態で後席に移動しても、膝まわりにはゆとりがある。ただ、頭上は厳しい。試乗車のSHINEパッケージは電動メッシュサンシェード付きのパノラミックサンルーフを標準で装備するが、この装備のためにルーフが厚く、ヘッドスペースを犠牲にしている。大開口がもたらす開放感は得がたい魅力があるが、高身長(高座高)の乗員を後席に乗せる機会が多い場合は、実車で確認しておいたほうが無難だろう。
後席は6対4の分割になっており(左側が6)、左右独立してシートスライドできるのが便利だ。リアにはセンターアームレストもついているし、窓にはロールアップのサンシェードが付いている。
ラゲッジスペースの容量も十分で、大型のスーツケースを無造作に放り込めそうな容量が確保されている。人や物を運ぶツールとしての能力に不足はない。
郷愁すら覚える
エンジンはガソリンの1.2リッター直列3気筒ターボを搭載する。最高出力は130ps、最大トルクは230Nmだ。これに、6速ATを組み合わせる。電動パーキングブレーキは装備しておらず、サイドブレーキがシフトレバーの後方に配置されている。いってみれば、古典的なレイアウトだ。
走りも古典的であり、ある意味衝撃的ですらある。国産メーカーではこの状態で量産化に向けたゴーサインを出さないのでは? と、思うくらい、振動が大胆に伝わってくる。おそらく3気筒エンジン特有の、トルク変動に起因する振動だろう。エンジン回転計の針が1600rpm近辺を指すあたりの振動が激しく、バイブしているスマホを握っているときのような、威勢のいい振動がステアリングホイールから伝わってくる。
「じゃあ、あなたはそれで、C3 AIRCROSS SUVのことが嫌いになりまして?」と。問われると、「はい」とは即答できない。
動力性能に不足はないし、運転が楽しいか楽しくないかと問われれば、こっちは「楽しい」と、即答できる。
要するに、見た目とおなじで“不細工だけどカワイイ”のである。どこかひとつ、バランスを崩すようなところがあったほうが、愛敬があっていい。エンジンの振動もその類。
クルマって昔はこうだったよねと、郷愁すら覚えるC3 AIRCROSS SUVの個性だ。
文・世良耕太 写真・小塚大樹
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