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開発時間の短さが奏功! 新しくもない「ルーミー」がいま実質販売1位に君臨する理由とは

掲載 更新 22
開発時間の短さが奏功! 新しくもない「ルーミー」がいま実質販売1位に君臨する理由とは

 姉妹車を廃止し一本化したことで販売台数が大きく伸びた

 最近のクルマの売れ行きで、とくに注目されるのがトヨタ・ルーミーだ。2021年1月から5月の小型/普通車新車登録台数を見ると、毎月一貫して1位がトヨタ・ヤリス、2位はルーミーになる。

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 しかも日本自動車販売協会連合会が公表するヤリスの登録台数には、コンパクトカーのヤリスに加えて、SUVのヤリスクロス、スポーツモデルのGRヤリスまですべてが含まれる。

 そこでヤリスシリーズをボディタイプ別に集計すると、2021年1~5月の1か月平均新車登録台数は、小型/普通車の1位がルーミー/1万2631台、2位はヤリスクロス/9710台、3位はヤリス/9646台になる。小型/普通車の新車登録台数では、ルーミーが圧倒的に多い。

 そして2021年5月のルーミーの登録台数は、前年に比べて3倍以上になる。昨年がコロナ禍で伸び悩んだことを差し引いても、大幅に増えている。

 ルーミーの登録台数が急増した一番の理由は、2020年9月のマイナーチェンジで、姉妹車のタンクを廃止したことだ。2020年5月から、トヨタは全店で全車を販売する体制に移行したから、もはやルーミー&タンクのような姉妹車は必要ない。そこで登録台数の多かったルーミーを残してタンクは廃止した。その結果、需要がルーミーに集中して登録台数を伸ばした。

 ちなみに2019年の1~5月には、ルーミーが1か月平均で7441台、タンクは6051台を登録していた。ルーミー+タンクで合計すれば1万3492台だ。2020年1~5月のルーミーは、前述の1万2631台だから、今の売れ行きは少し下がっている。

 それでもルーミーの発売は2016年だ。今年で5年を経過することも考えれば、販売は絶好調といえるだろう。

 ルーミーが長く高人気を保つ2つ目の理由は、ユーザーニーズに応えた商品であるからだ。標準ボディの全長は3700mm、全幅は1670mmと小さいから、狭い場所でも運転しやすい。その一方で全高は1700mmを超えるから車内は広い。4名で乗車しても余裕があり、後席を畳めば広い荷室になって自転車なども積みやすい。

 運転がしやすく、高機能で、価格は割安だ。ルーミーXは155万6500円で、装備の充実するGでも174万3500円に収まる。この買い得感が、ユーザーの購買意欲を刺激した。

 勢いに乗る軽自動車に対抗するために開発された

 ルーミーを商品化した裏話をすれば、軽自動車の好調な売れ行きもあった。2014年にはスズキの先代(初代)ハスラーが好調に売れて、スズキとダイハツの販売合戦が激化している。販売会社が在庫車を届け出して中古車市場に卸す販売台数の粉飾も活発に行われ、同年12月の軽自動車届け出台数は、スズキが前年の1.5倍、ダイハツも1.4倍に達した。2014年の新車販売台数に占める軽自動車の比率は、40%を超えている(2020年は37%)。

 このときに慌てたのが、少数のOEM車を除くと軽自動車を売らないトヨタだ。自社の小型/普通車から、他社の軽自動車に乗り替える顧客増加に危機感を抱き、ダイハツに軽自動車に対抗し得る小型車の開発を命じた。

 問題は時間で、軽自動車市場への顧客流出を止めるには、大急ぎで開発する必要がある。現行タントから採用を開始した新しいDNGAプラットフォームを待つ余裕はない。直列3気筒1リッターエンジン、プラットフォームなどは、ダイハツ・ブーン&トヨタ・パッソから流用して約2年間でつくり上げた。

 非常に辛い開発で、ルーミーは動力性能、走行安定性、乗り心地、ノイズ、後席の座り心地などに今でも改善の余地を残すが、売れ行きは前述の通り絶好調だ。

 成功の理由は、時間がないこともあり、ダイハツ・タントやホンダN-BOXなど売れ筋になる軽自動車のスーパーハイトワゴンをソックリ踏襲するクルマづくりを行ったことだ。時間があると「小型車だから、もう少しリヤゲートを傾斜させて質感を高めよう」とか、いろいろ考えたかもしれない。それをやるとユーザーニーズからはずれる。

 つまりすでに成功して実績のある軽自動車のスーパーハイトワゴンを、小型車サイズで忠実に再現したから成功に結び付いた。「良い意味で真似をするときは、余計なことを考えてはいけない」。これは商品開発を踏みはずさない鉄則だ。

 スズキは既にルーミーと同じことをソリオで実践しており、開発実績も長い。商品力を単純に比べれば、短期間で開発されたルーミーは、2016年の発売時点で当時のソリオに負けていた。

 ただしスズキは軽自動車が中心のメーカーで、小型車の販売力はトヨタが圧倒的に強い。ソリオ以外にライバル車は存在せず、トヨタにはヴォクシー&ノアのようなルーミーにダウンサイジングする母体も豊富だ。そこで大ヒットした。

 ルーミーには以上のような経緯があるので、購入するときはソリオも必ず試したい。そのうえで購入の判断をされるのが賢明だと思う。

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みんなのコメント

22件
  • 結局、トヨタの販売力の賜物、ってことじゃねぇか。
  • 車は何でもいい人か、軽自動車は嫌だと言う人、子育て世代が選ぶイメージ。
    中身はダイハツだけど知らずに買う人も多いでしょう。
    こだわり無ければ充分な車。
    シートアレンジなど使い勝手は現状ソリオの方が上ですが、トヨタのエンブレムが付いてるし『安心、安心』って感じでしょうか。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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