「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、ボルボ V70だ。
ボルボ V70(2011年:一部変更)
ボルボの定番ワゴンであるV70が、2012年モデルとして一部改良が施された。安全装備やインターフェースを充実させ、ダウンサイジング エンジンの採用などでお買い得感は高まった。スタイリッシュなV60も悪くないが、本格的なワゴンなら、やはりV70だ。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
さて、2011年もボルボの好調さが続いている。9月までで2010年の年間販売台数を超え、対前年比でも約44%増だという。好調の原因は、なんといってもスタイリッシュなセダンであるS60と、そのワゴン版であるV60の高人気によるものだ。とくに、V60は実用性よりスタイルを重視した「スポーツワゴン」として人気を呼んでいるようだ。
とはいえ、ボルボのワゴンといえば、やはり使い勝手の高さがいちばんのセールスポイントだ。そこで、ボルボの主流モデルであるV70が仕様変更された。主な変更点は、インテリアデザイン、自動ブレーキシステム「シティセーフティ」とステアリングのコントローラーでカーナビやオーディオなどを操作できる「ボルボ センサス」の標準装備化などが挙げられる。
今回の試乗車は、1.6L 直噴ターボエンジンを搭載した「DRIVe(ドライブイーと読む)」と2L 直噴ターボを搭載した「T5」。まずはDRIVeから乗ってみる。現行型のV70は、デビュー当初の日本仕様はベーシックモデルでも2.5Lの直5エンジンを搭載していたら、V60より100kgも重いV70では、まさに「荷が重い」のではないだろうか・・・と思ったが、その予想は見事に外れた。軽快な動きを見せてくれて、これはうれしい誤算だった。発進は重さを感じさせずにスッと出て、気がつけば市街地走行レベルではまわりをリードしている。
DRIVeかT5かは、けっこう悩ましい選択だ
最近(編集部註:2011年当時)のダウンサイジングターボエンジンらしく、加速時にターボラグなどは感じさせない。低速域から5500rpmくらいまで十分にパワフルだ。組み合わされる6速DCT(デュアルクラッチ トランスミッション)のギアトロニックとも相性がいい。マニュアルモードもあるが、このクルマの性格を考えればDレンジに入れっぱなしでも不満はないだろう。
続いてT5に乗り換える。正直に言ってしまえば、市街地走行レベルでは60psと80Nmのパワー差は感じられない。それほどDRIVeの出来が良いということだろうか。それでも、追い越し加速などで高回転域を多めに使うハイウエイ走行のような状況では、その差が感じられそうだったが。
装備変更点に話を戻すと、デザインが一新されたセンタースタックやダッシュは、視線移動が少なくモニターも見やすい。また、「ボルボ センサス」は他の輸入車の同じようなシステムより操作が簡単で、ステアリングホイールから手を離さずに済むのがいい。自動ブレーキシステムの「シティセーフティ」も有効で、オプションで対人用のヒューマンセーフティや全車速追従式クルーズコントロールも選べる。
さて、DRIVeとT5の価格差は50万円。装備の差をオプションで補うと、さらに価格差は少なくなる。でもDRIVeはエコカー減税対象車だし・・・と、この2台のV70でどちらを選ぶかは、けっこう難しい選択かもしれない。
■ボルボ V70 DRIVe 主要諸元
●全長×全幅×全高:4825×1890×1545mm
●ホイールベース:2815mm
●車両重量:1660kg
●エンジン:直4 DOHCターボ
●総排気量:1595cc
●最高出力:132kW(180ps)/5700rpm
●最大トルク:240Nm(24.5kgm)/1600-5000rpm
●トランスミッション:6速DCT
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:プレミアム・70L
●JC08モード燃費:12.4km/L
●タイヤサイズ:205/60R16
●当時の車両価格(税込):449万円
[ アルバム : ボルボ V70(2011年) はオリジナルサイトでご覧ください ]
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みんなのコメント
10年お世話になりました。
このモデル辺りから劇的に故障が減りましたね。
案外、維持費はフィールダーより安かったです。