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インディカー開幕戦はマクラフランがキャリア初優勝。琢磨は狙い通りのジャンプアップ

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インディカー開幕戦はマクラフランがキャリア初優勝。琢磨は狙い通りのジャンプアップ

 アメリカではパンデミックが沈静化しつつある。2022年のNTTインディカー・シリーズ開幕戦の舞台であるセント・ピーターズバーグのストリートコースには金曜日からとても多くのファンが集まっていた。アメリカの中でもマスク不支持の強い州での屋外イベントだけあって、マスクなどかけている人はほぼ皆無だった。

 レースウイークエンドはマスクなどつけていられないぐらいの気候でもあった。3日続けて快晴。最高気温は26度以上に達し、湿度も高かった。インディカーのエントリーは26台。彼らは暖かいを通り越した暑さの中で激しい戦いを繰り広げた。

マクラフランが初優勝。琢磨も追い上げを見せる【順位結果】インディカー開幕戦セント・ピーターズバーグ決勝レース

 今年最初のレースで優勝したのは、フル参戦2年目のスコット・マクラフラン(チーム・ペンスキー)だった。デビューから18戦目での初勝利となった。

 彼は土曜日の予選でポールポジションを獲得。キャリア初めてのPPは、未だにインディカーの予選で最も手強い存在と言っていいウィル・パワー(チーム・ペンスキー)を相手にして勝ち取った。

 歴代2位の63回もポールを獲得して来ている先輩チームメイトが相手というのは、かなり分の悪い勝負。マシンは同じでデータも共有しているのだから何か秘策を用いて……というわけにはいかない。マクラフランはレッドタイヤで1ラップに全面的にフォーカスし、最高のタイミングでアタック。ミスのないフライングラップを完成させ、パワーより0.1237秒速く走ってみせた。

 開幕直前のテストでも、セント・ピーターズバーグで始まったプラクティスでも好調と映っていたコルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート・ウィズ・カーブ・アガジャニアン)は予選3番手。俊足の若手オランダ人、リナス・ヴィーケイ(エド・カーペンター・レーシング)が予選4位。その後ろにはロマン・グロージャン(アンドレッティ・オートスポート)、シモン・パジェノー(メイヤー・シャンク・レーシング)が続いた。


 レースでのマクラフランは自らも心配していたスタートをきっちりと決めてトップを守り、そこからはレッドもブラックもタイヤを持たせ、燃料をセーブし続けた。

 スタートでレッドを使い、残り2スティントでブラックを連続投入という作戦は上位陣のほぼ全員が採用し、パワーだけがブラックでスタートしていた。レースでも先輩チームメイトが優勝争いの相手となったのだ。

 パワーはハードなタイヤを装着していたために序盤戦に順位を下げたが、1回目のピットストップが近づく頃にはソフトなレッドタイヤを使う面々との立場を逆転させた。安定したタップタイムを刻み続けることのできる彼は2番手まで順位を挽回し、トップ奪取に照準を合わせた。


 ところが、彼の履くブラックの優位が明らかになった頃、ルーキーのデイビッド・マルーカス(デイル・コイン・レーシング・ウィズHMD)がクラッシュしてコースはフルコースコーションになった。トップに躍り出てからピットに入りたかったパワーだったが、それは叶わず。レース展開がマクラフランを含むレッドスタート組に味方したのだった。

 アンドレッティ・オートスポート勢は、走行初日のプラクティス1でグロージャン、ハータがワンツー。戦いをリードして行くと見られたが、予選の戦いぶりがインパクトに欠け、レースでのパフォーマンスも優勝を争えるほど高くはなかった。

 マクラフランに最後の最後でアタックしたのはアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)だった。2番手に浮上したパロウは、残り20周となった時点であった2秒以上の差をグングンと差を縮めていき、トップの背後に迫った。


 しかし、マクラフランはプレッシャーを受けてもミスを冒さず、バックマーカーが進路を譲ってくれない難しい状況にも慌てずにパロウを封じ込め続けた。

 ゴールでのウイナーと2位の差は約0.5秒。3位はパワー、4、5位にはハータとグロージャンが続いた。

「優勝できて本当に嬉しい。信じられないほどだ。そして、ほっとしてもいる。ありがとう、ロジャー・ペンスキー。そして、私を支え、信じてくれた人全員に感謝したい。ゴール前の数周は燃費セーブもしなければならず、とても厳しい状況になっていた。それを何とかやってのけた。シボレーエンジンはドライバビリティが良くなっており、レースでは燃費も良かった」とマクラフラン。


 予選10番手から2位でゴールしたパロウも、勝てはしなかったが、非常に喜んでいた。

「まだ自分たちは予選でのパフォーマンスが十分ではない。しかし、出足の悪かった週末にレースでこれだけ良い結果が得られたのは本当に嬉しい。今シーズン最初のレースで初の表彰台フィニッシュができた。勝ったマクラフランは素晴らしい走りをしていた。彼の初優勝を讃えたい」とコメントした。

 6位はヴィーケイ。グラハム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)が予選11番手から7位フィニッシュし、早めにピットに入っての3ストップ作戦で勝利を狙ったスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)は、それが外れて8位。マーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)が9位で、佐藤琢磨(デイル・コイン・レーシング・ウィズRWR)が10位だった。

 琢磨は予選22番手から今回のレースで最多のポジションアップを果たした。決勝の朝のウォームアップで手応えを掴んだ彼らは正攻法で戦って11ポジションをゲイン。狙っていたトップ10フィニッシュを達成した。ゴールを目前にしてエリクソンにパスされたが、ルーキーのクリスチャン・ルンガー(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)をゴール前3周でオーバーテイクして10位に返り咲いた。

 インディカーでの200戦目を戦い終えた琢磨は清々しい表情で語った。

「デイル・コイン・レーシング・ウィズ・リック・ウェア・レーシングとの最初のレースでは、クルーたちが素晴らしい働きをしてくれ、トップ10フィニッシュができました。予選はまるで望んでいた通りに行きかず、私たちはほぼ最後尾のグリッドからスタートすることになりましたが、レースでは次第に順位を上げていきました」

「スタートでふたつほど順位を上げ、その後もすべてのスティントで良いパフォーマンスを発揮できました。セントピーターズバーグでのレースは荒れることが多いのですが、今年はそうでもありませんでした」

「そして自分たちがレース中にいちばん追い上げたエントリーとなりました。それは非常に素晴らしいことです。チームが一丸となって戦った結果といえます。私自身もチームにしっかり馴染んで行くことができています」

 インディカー次戦は、3月20日にテキサスで第2戦が行われる予定だ。

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