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え!? 日本に来ないの? 新型インテグラは「俺たちのホンダ」の救世主となり得るか?

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え!? 日本に来ないの? 新型インテグラは「俺たちのホンダ」の救世主となり得るか?

 2021年11月20日、米国で新型インテグラが公開された。ただし、これはホンダの北米法人による海外向けモデル(アキュラブランド)で、現状、日本での販売に関してはアナウンスがない状態だ。それでも、日本ではかつて若者たちに人気を誇ったレジェンドモデルということで、デザインや性能、価格も含めて喧々諤々の議論が巻き起こっている。

 では、そんなインテグラが、もし日本に導入されると考えた場合、アリかナシか? 果たして「俺たちのホンダ」の救世主となり得るモデルなのだろうか? 若い頃から歴代インテグラを見てきたベテラン評論家の清水草一氏が解説する。

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文/清水草一
写真/ホンダ

[gallink]

■どうしてインテグラは特別な存在なのか?

 今年に入って、「インテグラが復活する」との報道があり、各メディアはざわめき立った。ホンダファンにとって、インテグラという車名は特別なものだからだ。

初代モデルが登場したのは1985年。車名は「クイント インテグラ」で、同年5ドアモデル、翌年には4ドアセダンモデルも追加された

 1985年発表の初代クイントインテグラは、全車DOHC+リトラクタブルヘッドライトを持つ3ドア&5ドアで登場。いかにもホンダらしい、若者向けのスポーティモデルだった。また、北米市場では、レジェンドとともに立ち上げたばかりのアキュラブランドのラインナップに加えられた。

 続く2代目(1989年発表)は、初のVTEC搭載モデル。バルブの切り替えにより、エンジンサウンドが甲高く変わると同時に、ググッとパワーも増すVTECマジックを、初めて味わわせてくれた。1993年発表の3代目では、あの伝説の「インテグラタイプR」が登場。インテRは4代目にも引き継がれ、インテグラという車名は、クルマ好きにとって特別なものになった。

 が、4代目インテグラは、プレリュードの後継モデルの役目も負ったため、3ドアクーペのみとなり、販売は低調。時代の流れに逆らえず、2007年に絶版となった。そんなインテグラが復活するというのだから、「あのインテRも?」と期待するなというほうが無理である。

 そんな期待の中、北米で新型インテグラが公開された。インテグラは、映画『ワイルドスピード』第1作でも取り上げられた、90年代後半の日本製スポーティカーブームでも、主要なモデルのひとつ。近年の日系旧車ブームもあって、米国ホンダは、「インテグラが帰ってきた!」と、ホンダファンにアピールしている。

■発表されたモデルはシビックの改良版!?

公開された新型は3ドアではなく5ドア。スタイリングはスポーティーだが、クーペではなくハッチバックだった……

 ただ、公開されたクルマは、1.5L VTECターボを搭載した、シビックのアキュラブランド版だった。そのデザインは、シビック5ドアハッチバックのスポーティ版。サイドから見るとよくわかるが、ルーフラインはシビックよりもスポーティで、ボディ中央付近からなだらかに下がりはじめている。

 後姿は完全にクーペライクだ。アウディで言えば「スポーツバック」シリーズに当たるラインである。ベース価格は、北米で3万ドル程度とされていて、それほど高くない。

 近年のSUVブームのあおりを食らい、セダン&クーペは、どんどんシェアを縮小させている。そんななか、希望の光は、こういったスポーティな5ドアハッチバックモデルにある。アキュラのようなプレミアムスポーティブランドには、なくてはならない存在だ。

 しかしフロントマスクは、日本ではレジェンド(年内で販売終了)でおなじみのアキュラ顔そのもの。レジェンドよりはバランスよく収まっているが、日本のクルマ好きからすると、あの大失敗作・レジェンドをダイレクトに連想させる。このアキュラ顔、北米でも中国でも人気があるとは言えず、基本的には統一デザインの失敗例である。

■中高年のホンダファンにはシビックがある!

 さて、この新型インテグラ、日本導入はあるのだろうか?各メディアは希望的観測を含めて「復活を望む」的な論調だが、個人的には、このままでは魅力的とは思えないし、日本導入も99%ないだろう。

 日本では、スポーティな5ドアハッチバックの需要は、ほぼドイツのプレミアムブランドに限られていて、国産車ではサッパリだ。そんななか、5ドアハッチバックの新型シビックは、クルマ好きの静かな支持を集めている。しかも初期受注の約半数が6速MTだったというから涙が出るが、それで十分と言えば十分。今後シビックタイプRの投入も確実視されているから、あえてインテグラを導入する必要性はゼロではないか?

新型シビックは2021年8月に発売。11代目となる世界的なロングセラーモデルで、2022年にはタイプRの発売も予定している

 なんとなく、「インテグラ復活!」というニュースを見ると、「俺たちのホンダが帰ってくるのか?」「新型インテグラは、ホンダの救世主になるのか!?」的な期待が芽生えてしまうが、考えて見れば、「俺たちのホンダ」と思っている中高年のホンダファン向けには、すでに新型シビックがあり、それで需要は満たしている。

 新型シビックは非常にバランスのいいクルマだ。適度な居住性と、古典的にカッコいいルックスをバランスさせつつ、スポーティな走りを実現している「おっさん殺し」である。売れ行きは、国内で月に1000台前後と、セダン系の不振や半導体不足の状況を考えれば、悪くない。同じセダン系のアコードやインサイトが、月に100~200台程度しか売れていないことを考えれば、大健闘以上だ。

 そんなシビックに、あえて姉妹車であるインテグラをぶつけ、戦力を分散させても、いいことはないだろう。「俺たちのホンダ」を愛する古典的ホンダファンは、シビックを大切に守ることが重要だ。もはやパイは小さいのだから、インテグラに浮気をしている余裕はない。インテグラの日本導入など、ホンダにも我々にとっても、メリットはないと断言したい。

[gallink]

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みんなのコメント

54件
  • シビックですら日本では持て余す大きさで、値段も高いし大して売れていない。
    それなのにインテグラの市場が有るとは思えない。
  • 完全にアメ車のデザイン
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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