スズキは2021年11月25日、突如、7年ぶりのフルモデルチェンジで9代目となる、新型アルトをティザーサイトにて世界初公開した。
ティザーサイトには「マイルドハイブリッド搭載 新型ALTO(アルト)まもなく!」というコピーとともに、エクステリア&インテリアの写真が公開されているが、ティザーサイトだけにボディサイズやマイルドハイブリッド搭載、スズキセーフティサポート全車標準装備といった説明にとどまっている。
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それにしても新型車の発表前に、一部の写真をチラ見せするのはよくあることだが、はっきりと新型アルトの姿をティザーサイトですべて見せたのにはビックリ。
とはいえ、筆者の遠藤氏から、「新型アルトの正式発表は12月10日、発売は22日とディーラーに通達していて11月中旬には、新型アルトの写真が掲載された簡易カタログが配布されており、11月下旬には先行予約を開始する」という情報を得ていたから、さほど驚きはしなかったのだが、このタイミングで世界初公開するとは……。
さて、新型アルトはどんなクルマなのか? どれほど進化したのか? 今つかんでいる新型アルトの情報すべてをお伝えしていこう。
文/遠藤徹
写真/スズキ、ベストカーweb
[gallink]
■アルトワークスが法規対応で生産終了
64ps/10.2kgmを発生する658cc、直3インタークーラーターボを搭載するホットハッチ、アルトワークスは今回のフルモデルチェンジでいったん生産終了となる
新型アルトの情報をお伝えする前に、アルトワークスの生産終了のニュースを報告したい。今回、新型アルトの情報を調査していたところ、信頼できるスズキ関係者からの確かな情報として、アルトワークスが今回のフルモデルチェンジで、生産終了となるという話を聞いたのだ。
S660と同様、年々厳しさを増す、衝突安全性能と燃費性能、騒音規制に対応できないため、“いったん生産終了”という形をとるそうだ。ただ、次期アルトワークスの開発を今後続けるのか、何らかの形で数年後に登場するのかについての言及は避けた。
電動化の波は軽自動車も例外ではないし、新型アルトにはMTや5AGSが用意されていないことを考えると、次期型にはアルトワークス登場の可能性は低いといわざるを得ない。
また、上級個性派バージョンの「アルトラパン」も開発途上にあり、同様の内容で2022年6月頃には世代交代する見込みという情報も入ってきている。
■新型アルトのエクステリアデザインはキープコンセプト!
新型アルトのエクステリア。Aピラーが立っており、リアサイドウインドウのデザインはオーソドックスな形状となった。また現行アルトと比べるとキープコンセプトで全体的に丸みを帯びているのがわかる。ボディサイズは全長3395×全幅1475×全高1525mm
かなり思い切ったデザインで話題となった現行アルト。ボディサイズは全長3395×全幅1475×全高1475mm
新型アルトのリアスタイル。Cピラーの形状や縦型テールランプ、傾斜の少ないリアウィンドウが特徴
現行アルトのリアスタイル。色が異なるテールゲートも用意していた
さて、7年ぶりのフルモデルチェンジとなる9代目アルトのエクステリアデザインから見ていこう。エクステリアデザインは現行と新型の写真を見比べていただければわかるとおり、基本的にキープコンセプトで、若干丸みを帯びたデザインに変更。
室内の居住性を考慮したのか、Aピラーが傾斜が緩やかになり、現行アルトのデザイン上の特徴ともなっていた、後部を持ち上げたリアサイドウインドウもオーソドックスな形状に変更された。
リア回りは、現行ではテールランプを下に配置し、傾斜のきついリアウインドウは、新型となり縦型テールランプとオーソドックスなリアゲートに変更、柔らかなイメージのデザインになった。
全高は現行アルトが1475mm、新型アルトが1525mmと室内の居住性が向上
パッケージングは室内高を引き上げ、ゆとりあるヘッドクリアランスを確保し、運転のしやすさを実現している。最小回転半径は4.4mで従来の4.6mから0.2m短縮することで、小回りがきき運転しやすい。
これはワゴンRやライバルであるダイハツのミライースと同じだ。運転席はエクステリアの丸みに合わせて、計器盤やオーディオディスプレイを丸型ラインでラウンドさせたソフトなデザインでまとめている。
ボディサイズは全長3395×全幅1475×全高1525mmで全長、全幅は従来モデルと同じだが、全高を50mm引き上げることで、室内の十分なヘッドクリアランスを確保している。
■インテリアもキープコンセプト
インテリアデザインもキープコンセプトとなる新型アルトのコクピット。7インチディスプレイオーディオはメーカーオプション
現行アルトのコクピット
一方、インテリアもエクステリア同様、基本的にはキープコンセプトだが、メーター回りやディスプレイオーディオの部分が前面に出っ張ったデザインとなった。
ただ残念なのは電動パーキングブレーキやオートブレーキホールド、スズキコネクトといったスペーシアに設定された装備がないこと。インテリアで目新しいのは7インチのディスプレイオーディオが設定されたことくらいか。
居住性が向上した新型アルトのコクピット
カタログに掲載されていたメーカーオプションのディスプレイオーディオ。残念ながらスズキコネクトは採用されなかったようだ。電動パーキングブレーキやオートブレーキホールドの採用もなし
■パワートレインは、マイルドハイブリッドとエネチャージの2本立て
新型アルトに採用されたマイルドハイブリッドのシステム図
モーターでエンジンをアシストするのがマイルドハイブリッド。エネチャージは減速時のエネルギーを利用して発電するが、こちらはその電力を電装品に供給する
軽自動車にも電動化が必須の時代、スズキは新型車にどのようなパワートレインを搭載するのか注目されたが、スズキが出した答えは、マイルドハイブリッドとエネチャージの2本立てだった。
マイルドハイブリッドは減速時のエネルギーを利用して発電し、専用バッテリーに充電。加速時にはその電力を利用してモーターでエンジンをアシストし、燃料消費を抑制する。
エネチャージは従来と同様で減速時のエネルギーを利用して発電し、専用バッテリーに充電。その電力を電装品に供給することで、発電による燃料消費を最小限に抑える狙いがある。
マイルドハイブリッドのユニットはすでにスペーシア、ワゴンR、ワゴンRスマイル、ハスラーなどの軽自動車、小型車ではソリオ、スイフト、イグニスなどに採用しており、今回の新型アルトにはこの改良版が搭載される。
残念ながらWLTCモード燃費は公表されていない。現行アルトのエネチャージ搭載車はWLTCモード燃費は25.8km/Lとなっているが、新型アルトのエネチャージ搭載車はこれを超えてくると思われ、マイルドハイブリッド車についても27km/L以上になる可能性が高い。
■新型アルトに新装備された安全装備をチェック!
全車に標準装備されるスズキセーフティサポート。今回から6つのSRSエアバッグが標準装備になったことも大きい
現行の単眼カメラ&レーザーレーダー方式のデュアルセンサーサポートからステレオカメラを使用したデュアルカメラサポートに変更。また新たにヘッドアップディスプレイがメーカーオプション設定
●スズキセーフティサポート
NEW■夜間の歩行者も検知する衝突軽減ブレーキ「デュアルカメラブレーキサポート」
■後退時ブレーキサポート
■誤発進抑制機能
■後方誤発進抑制機能
■車線逸脱警報機能
■ふらつき警報機能
■先行車発進お知らせ機能
■ハイビームアシスト
●そのほか新たに採用された装備類
NEW■6つのSRSエアバッグ全車標準装備
NEW■ヘッドアップディスプレイ(メーカーオプション)
NEW■全方位モニター(メーカーオプション)を採用したことにより、すれ違い支援機能や左右確認サポート、3Dビューなど安全性の向上に寄与
ここで、新型アルトに、新たに採用された安全装備を見ていきたい。安全対策はまず「スズキセーフティサポート」を全グレードに標準装備。誤発進抑制機能、ふらつき警報機能、デュアルカメラブレーキサポート、後方誤発進抑制機能、先行者発進お知らせ機能、後退時ブレーキサポート機能、車線逸脱警報機能、ハイビームアシストなどを標準装備。
新しい安全装備として夜間の歩行者も検知する衝突被害軽減ブレーキ「デュアルカメラブレーキサポート」、「カラードヘッドアップディスプレイ」、見えない場所を映し出す「全方位モニター用カメラ」、6つのSRSエアバッグを採用した。
注目したいのは、現行では単眼カメラとレーザーレーダーセンサーによるデュアルセンサーサポートから、ステレオカメラを使ったデュアルカメラブレーキサポートに変更したこと。フロントガラスに設置したステレオカメラが前方のクルマや人を検知、夜間の歩行者も対応し、衝突回避をサポートする。これは大きな進化といっていいだろう。
全方位モニター用カメラはクルマの前後左右に4つのカメラを設置。運転席から見えにくい周辺状況の確認をサポートする。狭い道でのすれ違いで死角を減らし、接触を防止、すれ違い支援する。自車に近づく人や物をブザーと画面表示で知らせ左右の確認をサポートする。目視しにくいエリアの周辺確認をサポートする3Dビューを装備する。
さらにメーカーオプションの7インチディスプレイオーディオを装着すれば、スマートフォンとの連携やラジオ、全方位モニターやバックカメラ表示にも対応しており、ドライブの楽しさや安心感を高めている。
新採用された全方位モニターカメラ(メーカーオプション)
■ラインナップとグレード間の装備差
マイルドハイブリッドモデル、最上級グレードのハイブリッドX。LEDヘッドランプやフロントグリルのメッキガーニッシュ、リモート格納電動格納式ドアミラー、14インチアルミホイール、キーレスプッシュシステム、フルオートエアコン、UVカット機能ガラス、スモークガラス、リアシートヘッドレストなど装備充実
ハイブリッドSは、エネチャージのLにプラスした装備はフロントグリルのメッキガーニッシュやカラード電動格納式ドアミラー、インテリアのシルバーのガーニッシュなど。ヘッドライトはハロゲン
エネチャージ搭載モデルの上級グレードL。エネチャージAからプラスされた装備は14インチフルホイールキャップや電動格納式リモコンドアミラーやカラードドアハンドル、運転席シートヒーターなど
新型アルト(乗用車)の最廉価グレードがこのA。とはいえデュアルカメラブレーキサポートやSRS6エアバッグなど安全装備は標準
新型アルトのラインナップは、マイルドハイブリッド搭載モデルが、上からハイブリッドX、ハイブリッドSの2グレード、エネチャージ搭載モデルが上からLとAの2グレードで合計4グレード構成となっている。各グレード、2WD、4WDを設定。トランスミッションはいずれもCVTでこれまで設定されていた5速MT/5AGSは廃止となった。
各グレードの装備と見ていくと、最上級のハイブリッドXにはLEDヘッドランプ、フロントバンパーのメッキガーニッシュ、リモート格納電動格納式ドアミラー、14インチアルミホイール、キーレスプッシュスタートシステム、フルオートエアコン、全面UVカット機能付ガラス、リアドア&バックドアにスモークガラス、運転席シートヒーターが標準装備となる。
ハイブリッドS以下の3タイプはいずれもハロゲンヘッドランプが標準。フロントバンパーはハイブリッドSがメッキガーニッシュでLとAはメッキなし。ドアミラーはハイブリッドSが電動格納式カラード、Lは電動格納式、Aはターンオーバー式。
ホイールはハイブリッドSとLが14インチホイールキャップ、Aはセンターキャップ。スタートシステムはハイブリッドX以外の3タイプはノーマルのキーレスエントリーのみ。
UVカット機能付ガラスはハイブリッドX以外だとフロントのみ、スモークガラスはハイブリッドX以外だと装備なし、運転席シートヒーターはAグレード2WD車以外の全グレードが標準装備となる。
■価格は現行モデルから10万円以上の値上がり!
現行アルト。価格帯は86万3500~129万円5800円
新型アルト。予想価格はエネチャージモデルが100万~110万円台、マイルドハイブリッドモデルが120万~130万円台
さて、注目の価格だが11月26日現在、まだ明らかになっていない。現行モデルは、86万3500~129万5800円(4WD含む)。最も安いグレードはエネチャージ非搭載のFで5速MT、5AGS(いずれも2WD)ともに86万3500円。ただしこれはスズキセーフティサポート非装着車。この装備が付く5AGS車は92万4000円。
現行アルトのエネチャージ搭載車はLとS。価格はLのCVT、2WDが91万8500円、スズキセーフティサポート搭載車が97万9000円。S(スズキセーフティサポート非搭載車、2WD、CVT)が109万7800円。
ディスチャージヘッドランプやキーレスプッシュスタートシステムなどの豪華装備が付いたSアップグレードパッケージ装着車(2WD、CVT)が119万3500円となっている。
これに対し、新型アルトはマイルドハイブリッド搭載モデルの予想価格は、ハイブリッドXが130万円台、ハイブリッドSが120万円台。エネチャージ搭載モデルのLが110万円台、Aが100万円程度と予想。
首都圏のスズキアリーナ店営業マンに話を聞いたが、圧倒的に高い販売構成比を見込んでいるのはマイルドハイブリッドXとマイルドハイブリッドSを想定しているという。
現行のアルトは低価格設定で女性を中心とした一般ユーザーや法人ユーザーに支えられていたそうだが、新型アルトではマイルドハイブリッドの設定や安全装備の充実によって乗用ニーズへの拡大を目指した仕立てとなっており、価格設定は高めになりそうだ。今回の新型アルトはアルトラパンに似た丸いフォルムで女性ウケがよさそうだ。
■ボディカラーはホワイト2トーンルーフが新しい
POPなホワイトルーフと組み合わせたアーバンブラウンパールメタリック、フェニックスレッドパール、ダスクブルーメタリック、ソフトベージュメタリック4色の2トーンカラーが新たに設定される
ボディカラーはモノトーンが8色、新たに設定されるルーフがホワイトとなる2トーンカラーが4色、合計12色のラインアップ。モノトーンはダスクブルーメタリックとソフトベージュメタリックの2色が新色。
現行モデルから引き継ぐのはアーバンブラウン、フェニックスレッド、ブルーイッシュブラックパール、シルキーシルバーメタリック、ピュアホワイトパール、ホワイト。
2トーンカラーはすべてルーフがホワイトで、ボディはアーバンブラウンパールメタリック、フェニックレッドパール、ダスクブルーメタリック、ソフトベージュメタリック。カタログやテレビコマーシャル用のテーマカラーは2トーンのダスクブルーメタリックとなる。
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みんなのコメント
価格アップはある程度仕方ないにしろ、ワークス無し、MT・AGS廃止なら物足りなさは否めない
ワークス無いの!?