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【動画付き】コーナーの横G加速がたまらないランボルギーニ「アヴェンタドール S」

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【動画付き】コーナーの横G加速がたまらないランボルギーニ「アヴェンタドール S」

■連載/石川真禧照のラグジュアリーカーワールド

 ランボルギーニといえば「カウンタック」がスーパーカー世代にとってヒーローと呼べるクルマだった。低くて幅が広い車体、上にハネ上がるガルウイングドア、車体の真ん中に搭載されたV型12気筒エンジン、そして、そのエンジンからの迫力あるエキゾーストノート。それは、まさにスーパーカーと呼ぶにふさわしい形だった。

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「アヴェンタドール」が「カウンタック」の後継車として登場したのは2011年。クーペバージョンの「LP700-4」から始まった。カーボンファイバーのモノコックボディーは、コクピット、フロアルーフが一体となったシングルシェル構造を採用。



 車体中央には、自社開発のV型12気筒、700PSエンジンを搭載、0→100km/hの加速は2.9秒、最高速350km/hを公表。もちろん、乗降用ドアは上に向かって開くガルウイングを採用していた。2012年11月にはルーフが脱着できる「ロードスター」が登場。2分割ルーフはカーボンファイバー製で6kg未満という超軽量パネルが特徴だった。

 現行モデルの「アヴェンタドールS」は2016年に発表されたモデル。自然吸気のV型12気筒エンジンはチューンされ、排気量6.5Lで出力は740PS、トルクは690Nmを発生する。7速ATと4輪駆動に4輪操舵システムを組み合わせ、再設計されたサスペンションと共にスポーツカーとしてのポテンシャルはさらに高められている。

 ボディーも「アヴェンタドール」よりさらにシャープになったノーズと長さを増したフロントスプリッターが空力効率と冷却効率を向上させている。フロントバンパー側面の2本のエアダクトが、フロントタイヤからの空力干渉を抑え、リアラジエターへの流れを最適化している。ちなみに、試乗車のタイヤ/ホイールは、前255/30ZR20、後355/25ZR21のピレリ「Pゼロ」を装着していた。

 車体後部で目につくのは、ブラックのディフユーザー。垂直フィンが気流の効果を増幅させると同時に、ダウンフォークを発生させる構造となっている。可動式のリアウイングは車速やドライブセレクトモードに応じて3つの位置に移動。「S」になってドライビングモードは「ストラーダ」「スポルト」「コルサ」に加え、「エゴ」(※エコではない)が加わった。「エゴ」モードは、運転者の好みに応じて駆動、ハンドル、サスペンションをカスタマイズできるモードという意味だ。ドイツ車などの「インディビデュアル」と同じモードだと捉えればよい。

 試乗は「ストラーダ」でスタート。ガルウイングドアをハネ上げ、乗り込んだ。全高は1140mmしかないので、このドアは乗り降りに便利だ。サイドシルに乗りシートに座る。着座位置が低いので、ドアを開けると手が地面に着きそうだ。ドライビングポジションは、テレスコピックのハンドルは奥に押しこんでも運転者に近い位置で止まってしまう。ハンドルをしっかりと抑えて走行する競技用マシンに近いポジションだ。ルームミラーやドアミラーを調節するが、斜め後方の視界はほぼ絶望的。大きなエンジンとそれをクリアするボディーが迫っている。



 Mボタンをプッシュし、スタート。V12、6.5Lエンジンは低回転からのトルクが太く、スタートしてからのタウンスピードでも次々にシフトアップしていく。試しにマニュアルモードでパドルを操作すると、60km/hで7速1200回転でも走行することができた。このスピードからアクセルを踏み込んでも、力強く加速していく。この領域では全くドラマチックなことは起こらない。V12エンジンは平和に回ってくれる。さらに4輪操舵システムも低速では前後輪が逆向きに動くので、小回りが効く。

 100km/hでの巡行も7速2200回転程度なので、運転者の背後で作動しているV12エンジンもおとなしい印象だ。このエンジンが目覚めるのは、2500回転から。この回転数を境にすると、性格が豹変する。車体後部のエキゾーストパイプからは、勇ましい咆哮が周囲を威圧するように響く。同時にアクセルペダルの反応も鋭くなる。重めの操舵力のハンドルはさらに重さを増し、運転者を緊張させる。

 エンジン回転計は1000回転まで刻まれているが、5000回転を超えてからの「アヴェンタドールS」はかなりヤンチャな性格を表わしてくる。ちなみに5000回転まで各ギアで回すと1速50、2速80、3速で100km/hをオーバーしてしまう。7速のパドルシフトは若干、シフトラグがあるので、加速はタイミングを合わせることが要求される。

 常時4輪駆動、4輪操舵、低い全高の車体は、コーナーでは路面に貼りつくように横Gだけで加速する。ただし、最新式とはいえ、プッシュロッド+磁気粘性サスペンションは、ストラーダモードでも乗り心地は硬く、ソリッドな動きをする。スポーツモードを選択すると、日本の道ではかなり上下動が気になるレベルになる。ハンドリングを楽しむスーパースポーツカーとは言い難い。

 でも、そこが「アヴェンタドールS」の魅力でもあり、オーナーはこの時代を感じさせるスパルタンさウリでもあるのだ。この古典的とも言えるスーパースポーツは、今も次々とリミテッドエディションを生み出し、世界中の「アヴェンタドール」マニアを魅了し続けている。日本での販売価格は4575万円~となっている。



■関連情報
https://www.lamborghini.com/jp-en/%E3%83%A2%E3%83%87%E3%83%AB/aventador/aventador-s

文/石川真禧照 撮影/萩原文博 動画/吉田海夕

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