中古車市場などで、まれに「ニコイチ」ということばが使われることがあります。聞いたことはあるけど実際はどんなものなのか分からないという人も多いことと思います。果たしてニコイチとはどういったクルマのことを指すのでしょうか。
日産 180SXにシルビアのフロント周りを移植した「シルエイティ」はあまりにも有名。ほぼボルトオンで付く 最近では、若者を中心に「いつも二人でいるほど仲が良く、二人でひとつのような存在」という意味で使われることもあるようですが、クルマにおけるニコイチは別の意味を持っています。
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それは、「2つのクルマを組み合わせて1台のクルマにする」という意味で、複数台の車両の部品を寄せ集めて1台にしているということです。
たとえば、旧車といわれるような古いモデルでは部品の供給状態が良くないため、必要な部品を廃車された個体などから取り、自分のクルマに装着するような場合があります。
また、エンジンが故障してしまい、他のクルマに搭載されていたエンジンを単体で購入して載せ替えた、という場合もニコイチといえるでしょう。
ちなみに2台を1つにするだけでなく、3台のパーツを組み合わせたものは「サンコイチ」、4台の場合は「ヨンコイチ」など、台数が増えるごとに呼び方が変わる場合もあります。
チューニングカーやモータースポーツに参加しているクルマの場合は、激しい走りでヘタったボディからエンジンや足回りなどの主要パーツ一式を、ヘタリの少ないボディに組み替える「箱替え」という行為をすることがありますが、これもニコイチのひとつといえるでしょう。
また、同じプラットフォームを使っているほかの車両からフロントマスク一式を移植する「フェイススワップ」と言われるカスタマイズも広義の上ではニコイチといえます。
有名なところでは、日産「180SX」のフロントマスクを兄弟車のシルビアに移植した「シルエイティ」や、その逆の「ワンビア」などが知られています。
ほかにも、トヨタ「プラッツ」に「ヴィッツ」のフロントマスクを移植したものや、「スープラ」に「ソアラ」の顔を移植したもの、日産「ステージア」に「スカイライン」の顔を移植したものなど多岐に渡ります。
ちなみに兄弟車とはいえ、大掛かりな加工が必要なクルマもあれば、アフターパーツメーカーから交換用のキットが出ているものもあり、難易度もかかる費用もクルマによってさまざまです。
「ニコイチ」は違法ではないが、申告しないで販売すると罪に問われることも ニコイチは、クルマを動く状態で維持するためにやむなくおこなわれるものや、カスタマイズの一環として行われることが多いです。しかし、それとは別にあまり好ましくないニコイチ行為もあります。それはクルマの車体番号を貼りかえるというものです。
日産 180SX シルビアに180SXのフロント周りを移植すると「ワンビア」の完成 ※「エイシル」と呼ぶ人もいる たとえば同型車で走行距離が2万キロしか走っていないものの、事故で全損級のダメージを負ったクルマがあるとします。
いっぽう、事故はしていないものの、走行距離が15万キロの過走行車があったとして、前者の2万キロの事故車の車体番号一式を後者の15万キロの車体に移植してしまうと、形式上は走行距離2万キロの無事故車ができ上がる、というものです。
いうまでもなくこの行為は違法行為であり、許されるものではありませんが、なかにはこういったニコイチ行為をおこなう悪徳業者もいるようです。
また、最近ではあまり聞かなくなりましたが、事故でつぶれてしまった部分をスッパリ切り取り、別の同型車のボディを継ぎ足すという修理方法もニコイチのひとつといえます。
このような修理方法は、一般的な中古車店やオートオークションではほぼ確実に見抜かれるくらいずさんな修理ですが、ネットオークションのような個人売買では見抜くことがなかなか難しく、安さだけに惹かれてつい手を出してしまうと後で痛い目をみることになるかもしれません。
※ ※ ※
「ニコイチ」ということばは、しっかりとした定義が厳密にはないため、「どこからどこまでがニコイチか」というのはなかなか難しいところではあります。
しかし、すこしでもニコイチの疑いがある中古車を購入するのであれば、どういう経緯でニコイチになったのかを理解し、しっかりと納得した上で手に入れたいところです。
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