ポルシェの電気自動車(BEV)であるタイカンに、ユーティリティ性の向上というプラスαの魅力を加えたのが「タイカン クロスツーリスモ」である。車高調整機能や専用のグラベルモードの採用などで、積極的にアウトドアへ出かけたくなるBEVである。(Motor Magazine2021年10月号より)
機能性に加えフォルムでもライフスタイルカーをアピール
ポルシェが作れば、電気自動車でも紛れもないポルシェのスポーツカーになる。期待どおり、いや予想以上の完成度で登場したポルシェ初の電動スポーツカー、タイカンのラインナップにタイカン クロスツーリスモが加わった。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
ずっと情報をフォローしている方なら、市販車としてタイカンが登場する前に「クロスツーリスモ」としてお披露目されたコンセプトカーを覚えているだろう。まさにそこで予告されたとおり、クロスオーバー仕立てとされたタイカンの登場である。
そのタイカンクロスツーリスモがついに日本に上陸。さっそく、テストすることができた。試乗車はタイカン4クロスツーリスモ。前後2モーターを搭載し、最高出力は380ps、ローンチコントロール使用時には476psとなる。
この出力数値は後輪駆動のタイカンセダンのパフォーマンスバッテリープラス装着車と同等で、バッテリー容量も同じ93.4kWhとされるが、こちらは車名に「4」が入るとおり4WDである。一充電走行距離は470kmという設定である。
独立したトランクを持つタイカンセダンに対して、リアゲートを備えたシューティングブレークフォルムとされたボディは全長4975mm×全幅1970mm×全高1410mm。タイカン4Sより10mm長く、5mm広く、30mm高い。
その上タイカン クロスツーリスモは、ブラックのホイールアーチカバー、専用のフロントロアバランスパネル、サイドスカート、リアディフューザーなどによってオフロードのテイストを加えて、クロスオーバー的に仕立てられているのが、そのデザインの特徴である。機能性だけでなく佇まいでも、ライフスタイルカーとして強くアピールしているのだ。
使い勝手の幅も広がり、タイカンの魅力が増した
見るほどに魅力的なそのフォルムのおかげで得られたのが広大なラゲッジコンパートメントで、その容量は後席使用時でも446Lを確保し、後席バックレストを折りたためば1212Lにまで拡大する。電動式テールゲートを開くと大きな開口部の向こうにはフラットで左右側壁もオウトツのない、使いやすそうなスペースが広がる。
ロングルーフとされてはいるものの、フライラインと呼ばれるなだらかなアーチを描くルーフ形状を踏襲しているだけに、決して容量自慢というわけではない。それでもロードバイクのような嵩張るものも余裕で積み込むことができるのは、やはり嬉しい。もちろん、タイカンセダンと同じくフロントにも84Lのスペースが用意され、広さや使い勝手の幅は、相当広がったと言っていい。
その独特なフォルムは、後席スペースにも恩恵をもたらしている。前席を自分のポジションに合わせた状態で座ると、試乗車はオプションのパノラマルーフ付きにもかかわらず頭上には十分な余裕があって、そのガラスルーフが取り込む陽光の明るさも相まって、まるで窮屈感はなかった。
同様にオプションの4+1シートにより、試乗車の後席は3人掛けとなっていた。中央席は座面の広さも足元の余裕もあくまで緊急用ではあるが、それでも必要な時に十分実用になりそうなのは、この空間の余裕のおかげだろう。
改めて前席へ。ドライバーズシートに腰を下ろせば、目の前に広がる景色はまさにタイカンそのものだ。昂ぶる気分を落ち着かせつつ、いよいよ路上に出る。
なんて乗り心地がいいんだろう・・・というのが走りの第一印象である。路面からの当たりがタイカンセダンよりも柔らかく、サスペンションの動きもしなやかさが増している。しかも、よく見たら走行モードが「SPORT」の状態でそんな印象だったのだから驚いた。「NORMAL」に切り替えるとサスペンションはさらにストローク感が増して、乗り心地は極上と言っていいほどの境地に。思わず笑みがこぼれてしまう。
タイカン クロスツーリスモは全車にアダプティブエアサスペンションが標準装備とされ、しかもタイカンセダンよりも標準で車高が高くなる。さらにオフロードパッケージ付きの試乗車はさらに高い設定だ。そんなスペックの違いが快適性の高さとしてしっかり反映されているわけだ。
車両重量は2280kg。同じ前後2モーターのタイカン4Sに対して約40kgしか増えていないから、最高出力380psでもまったく不足を感じることはない。電気モーターならではのピックアップの良さ、力強いトルク、そして何と言っても静かで滑らかな加速感は、街中でも高速巡航でも余裕の走りを可能にしてくれる。
ポルシェらしいハンドリングはクロスツーリスモでも健在
コーナーの連続する区間でペースを上げていくと、ハンドルの応答性が「NORMAL」では、やや甘めと思えた。これだけ乗り心地が柔らかければ不思議ではないし、車体の大きさを考えても納得なのだが、ソノ気で走らせたい時は、「SPORT」、あるいは一気に「SPORT PLUS」に切り替えるといい。
すると、すぐに車高が下がりサスペンションも減衰力が引き締められて、操舵応答は俄然、正確性を増す。そしてコーナリング時の安心感も格段に高まって、まさにポルシェらしい走りを堪能できるようになるのだ。このモード設定は見事である。
クロスツーリスモ専用装備の「GRAVEL」モードは残念ながら今回は試せず。このクルマで本格的なオフロードに挑もうという人はそうはいないだろうが、キャンプ場や河原など活用できる場面はたくさんあるに違いない。
タイカン クロスツーリスモは、その快適性、実用性、そしてファッション性によって、電気自動車でもポルシェらしいスポーツカーの走りを味わえると示したタイカンの世界を一層拡大してみせた。
家族や仲間との充実した毎日、その豊かなライフスタイルに溶け込み、そして歓びにブーストをかける電動のスポーツカー。このクルマとの暮らしは、今まで味わってきたものとは違った、より新鮮で清々しい体験となるはずだ。(文:島下泰久/写真:小平 寛、井上雅行)
ポルシェ タイカン4クロスツーリスモ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4975×1970×1410mm
●ホイールベース:2904mm
●車両重量:2280kg
●モーター:永久磁石シンクロナスモーター
●最高出力:280kW(380ps)/350kW(476ps)<ローンチコントロール時>
●最大トルク:500Nm<ローンチコントロール時>
●バッテリー総電力量:93.4kWh
●WLTCモード航続距離:470km
●駆動方式:4WD
●タイヤサイズ:前225/55R19、後275/45R19
●車両価格(税込):1341万円
ポルシェジャパンはタイカンの充電インフラにもコミットする
東京・虎ノ門ヒルズに新たに開設
都市型充電インフラの「ポルシェターボチャージングステーション」はLINKS UMEDA、あべのハルカス、ヒルトン名古屋、ナゴヤセントラルガーデンがすでに稼働中だが、新たに2021年5月28日から虎ノ門ヒルズにも開設された。
この急速充電器は、ポルシェの電気自動車オーナーのためにABB社と共同で開発したもので、国内ではもっともパワフルな150kW(2021年内予定)の出力により、タイカンを約30分で80%(走行距離約300km)まで充電が可能である。
さらにポルシェジャパンは独自の充電ネットワークの整備にも積極的で国内のポルシェセンターのうち31拠点(21年7月時点)で「ポルシェターボチャージングステーション」と同規格の急速充電器が稼働中だが、23年末には全拠点への設置が完了予定だ。
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みんなのコメント
マイナー前プリウスのパクりだよねw
所詮BEVは街中専用だよ。