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新型 メルセデスAMG SLへ試乗 ドライバー・フォーカスの7代目 +2獲得 後編

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新型 メルセデスAMG SLへ試乗 ドライバー・フォーカスの7代目 +2獲得 後編

AMG謹製のV8エンジンの存在感

7代目メルセデスAMG SLのフロントシートの座面は低く、サイドサポートが高い。ヘッドレストが背もたれに一体化されたスポーティな造形だが、首元を温めてくれるエアスカーフ機能も付き、座り心地は良い。

【画像】モデルチェンジしたメルセデスAMG SL 競合するカブリオレ・モデル 6代目SLも 全104枚

ダッシュボードはレザー仕立て。メーターパネル側は12.3インチ、中央のインフォテインメント用は、角度を変えられる11.9インチのモニターが、前面の大部分を占める。主な車載機能は、対話での操作にも対応するMBUXシステムが制御する。

ステアリングホイールのスポーク部分には、タッチセンサー式のインターフェイスも付く。リムの形状は底辺がフラットだ。ヘッドアップ・ディスプレイも、オプションで実装できるようになった。

新型の目玉といえる、追加となった+2のリアシートは、あくまでも子供も向き。荷物置き場としても重宝しそうだ。車内の知覚品質は充分に高い。マルチレイヤーのソフトトップを開閉する操作は、少々面倒に感じられた。

SLを発進させてみると、AMG謹製のV8エンジンの存在感に笑顔がこぼれる。始動時からエグゾーストは激しいビートを鳴らし、スポーティなドライブモードを選択すると、メカニカルなエンジンノイズを堪能させてくれる。

SL 55も不足なく速いが、109psと10.2kg-mたくましいSL 63が、動力性能では明らかに上。シャープな変速が重なり、フルスロットルでは思わず目を見開くほどの加速力を体感できる。

新次元といえるドライバーとの一体感

9速ATのシフトアップは、デュアルクラッチATほど素早くないものの、見事にスムーズ。トラクションも、後輪駆動だったSLとは比較にならないほど高い。知的な四輪駆動システムが、確実にパワーを路面へ伝えてくれる。

よりドライバー・フォーカスのモデルを目指したというだけあって、動的能力も確実に磨かれた。自信を持って、SLの深遠な可能性を探ることができる。

多能なカブリオレとして、日常的に乗りやすいのはSL 55かもしれない。それでもレスポンシブでより速くうるさく、エキサイティングな運転に浸りたいなら、SL 63の優勢ぶりは明確。そのかわり燃費は6.5-7.0km/Lと、振るわないが。

ドライブモードをコンフォート寄りにすれば、上質なクルージングも謳歌できる。V8エンジンの豊かなトルクと、ロングなギア比とが融合し、高速道路での移動は極めて安楽。長距離でも心地よく過ごせる。

さらに、ドライバーとの一体感は新次元。最も大きな違いといっても良い。素晴らしく俊敏でバランスに長け、姿勢制御も優秀。AMGダイナミクスをマスター・モードにすると、コーナリング姿勢を自在に調整することも許してくれる。

確かにラグジュアリーで重たい、2+2のコンバーチブルではある。それでも、流暢な身のこなしと、操作への反応の良さはには唸らされる。

引き上げられたボディ剛性と低重心化、サスペンションと四輪操舵システムとのネットワーク化などが相乗。甘美な操縦性と動的能力を実現している。

挑発的な操作でテールスライドも楽しめる

7代目SLは、一部のAMGのように、全身の筋肉を使ってワインディングを攻めるタイプではない。デリケートな入力へ、正確に反応してくれる感度も備わる。幅広いモード設定を活用すれば、思い通りのSLへ変化してもくれる。

電動機械式パワーステアリングの重み付けは完璧で、感触が豊か。AMG GTよりセルフセンタリング性も積極的だ。操舵感は自然なバランスにあり、横Gが増大しても高いグリップ力で不安を抱かせない。

油圧制御のアンチロールバーの仕事も確実。コーナーではボディロールを抑え込み、フラットさを保つことで、意欲的な回頭をアシストしてくれる。

リアタイヤのサイズは、305/30とスーパーカー級。フルスロットルで熱狂的な加速を興じれるが、グリップ限界を破ることは難しい。

それでも、自由度の高いドライブモードを選択することで、リアタイヤの安定性を低められる。四輪駆動システムも後輪駆動状態に変化するため、挑発的な操作でテールスライドも楽しめる。セーフティネットが、しっかり裏支えした状態で。

試乗車には、オプションのカーボンセラミック・ブレーキが装備されていた。AMGの他のモデルにも共通するのだが、温度が上昇するまではペダルの感触が薄い。しかし、制動力は強大だ。

ロードノイズは、路面によって大きくなることも。洗練された印象に少々陰りを落としていた。

才色兼備の傑出したロードスターが誕生

気になったのは乗り心地。サスペンションを最も快適な設定にしても、硬さは隠しきれなかった。かつてのSLのように、優雅な乗り味のロードスターとは表現できないだろう。

橋桁の継ぎ目などを通過すると、ダンパーの素早い変化が追いつかない場面もある様子。強固なボディを通じて、不快な振動が伝わってくる。

とはいえ、落ち着きがないわけではない。荒れた路面をなだめる、充分なしなやかさは備わっている。乗り心地や快適性などの評価は、英国の公道を走ってからにしよう。

7代目へモデルチェンジを果たしたメルセデスAMG SL。専用スペースフレーム・プラットフォームの獲得で、大幅にスポーティなモデルへ生まれ変わったことは明らかだ。

加えて、20年以上ぶりに2+2のシートレイアウトが復活し、実用性も高めている。コンパクトに収納できるソフトトップで、車内空間も拡大している。荷室は小さくなったようだが。

価格は未発表ながら、6代目から大幅に上昇することは間違いなさそうだ。英国では、SL 55が10万ポンド(約1550万円)以上、SL 63が12万ポンド(約1860万円)以上が予想される。

一層ハイエンドなモデルへシフトしたといえるが、ここ数世代で最高のSLが登場したともいえる。+2の実用性に、グランドツアラーに求めるドラマ性と、ドライバーへの訴求力が見事に統合されている。傑出したロードスターの誕生だ。

メルセデスAMG SL 63 4マティック+(北米仕様)のスペック

英国価格:12万ポンド(約1860万円/予想)
全長:4705mm
全幅:1915mm
全高:1359mm
最高速度:313km/h
0-100km/h加速:3.6秒
燃費:6.5-7.0km/L
CO2排出量:268-288g/km
車両重量:1895kg
パワートレイン:V型8気筒3982ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:585ps/5500-6500rpm
最大トルク:81.4kg-m/2500-5000rpm
ギアボックス:9速オートマティック

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みんなのコメント

7件
  • 昔のハードトップのオープンが一番好き。
    これも悪くないけど、共有デザインが多すぎて
    唯一無二って感じがなくなった。
  • 車種増えたことでSLの存在感が薄れましたね。
    デザインも共有してるし
    趣味車としての特徴が薄れると魅力も減ってしまう。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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