現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > そろそろ変えても……なぜ教習車はセダンが当たり前なのか

ここから本文です

そろそろ変えても……なぜ教習車はセダンが当たり前なのか

掲載 56
そろそろ変えても……なぜ教習車はセダンが当たり前なのか

 ほぼ壊滅状態のセダンながら、未だに教習車には当然のように採用されている。そろそろコンパクトカーとかに変わってもいいような気がするけど、もうよくない!?

文:山本晋也/写真:ベストカーWeb編集部

そろそろ変えても……なぜ教習車はセダンが当たり前なのか

■教習車=セダンのルールはなかった!! 違うルールが!!

教習車はセダンでないと!! というルールは存在せず、それよりもサイズにかかわるルールが厳しいのだった

 遠くない未来に新車ラインナップからセダンが消滅してしまうのではないか、といわれるほどセダンカテゴリーのモデルは激減している。それにもかかわらず、いまだに自動車学校で使われている教習車はセダン型が基本。

 すでに日本の自動車メーカーが用意している教習車専用モデルというのは、トヨタ(カローラアクシオ・ベース)とマツダ(東南アジア仕様のMAZDA2のセダン)くらいになっているが、そのいずれもがセダン型なのは教習車としてセダンであることが定められているからなのだろうか。

 たしかに巷の声を見聞きしても「トランクがあるセダン型でないと教習車として認められない」、「教習車のルールを定めた時代にはセダン型が乗用車の基本だったから」などなど、もっともらしい意見は多く流布されているようだ。

 結論からいえば「教習車はセダン型でなければならない」という基準は存在していない。

■厳しいサイズ規制が存在!! 軽自動車は絶対ダメ

教習車のトランスミッションに関するルールは存在しない。プリウスの教習車が存在するのはAT限定で取得を目指す受験者のためという場合が多く、MT志願者向けに専用車を設定するケースがほとんど

 実際、トヨタ プリウスは教習車として見かける機会も少なくないが、プリウスには独立したトランクは存在していないので、厳密にはセダンとはいえないボディ形状だ。

 ハッチバック型ボディでも教習車になれるのだとすれば、たとえばトヨタでもっとも売れているヤリスを教習車にしてもいいような気もしてくる。

 しかし、ヤリスを教習車にするのは難しい。なぜならボディが小さいクルマは教習車としては認められないからだ。

 事実上、教習車に求められる要素というのは、道路交通法によって定められている。同法・二十四条には、運転免許の技能試験において使うべきクルマの大きさなどが定められている。多くのユーザーが取得する「準中型免許及び準中型仮免許」の技能試験に用いるべきクルマの条件を引用すると以下の通りだ。

 最大積載量2000キログラム以上の準中型自動車で長さが4.40メートル以上、幅が1.69メートル以上、最遠軸距が2.50メートル以上及び前軸輪距が1.30メートル以上のもの

 ボディサイズに関わる部分を見慣れた数字で書き直すと全長4400mm以上、全幅1690mm以上、ホイールベース2500mm以上、前トレッド1300mm以上となる。

 全長やホイールベースが短いと取り回しが容易になってしまうため公道を走行するのに必要なスキルを身につけているかを確認するには不足。かといって極端に大きなクルマで技能試験をするのも非現実的。ということで、こうした基準があるといえる。

 当然ながら自動車学校で使う教習車も、この基準を満たしていないといけないため、コンパクトカーや軽自動車を教習車にすることはできないのだ。ちなみに、前述したヤリスのボディサイズは(全長3940mm×幅1695mm×ホイールベース2550mm。前トレッドは1480mm)で、惜しくも全長が基準を満たしていない。道路交通法的にいっても教習車としては不適格というわけだ。

■CX-5でもいいけど……ほどよいサイズが鉄則

じつはCX-5は規定をクリアするのだが、初めて運転するクルマと考えると少々大きすぎるなど、教習車ならではの悩みも

 では、SUVやミニバンなど実際のマーケットで主流となっているカテゴリーでは、どのようなモデルであれば教習車の基準を満たせるのだろうか。全幅とホイールベース、トレッドについては登録車であればほとんどのモデルがクリアしているので、問題となるのは4.4m以上という全長だろう。

 SUVカテゴリーのトヨタ車でいうと、ヤリスクロスやC-HRは全長が足りない。カローラクロスが全長4490mmでクリアしているが、全幅1825mmと広すぎるのは初めて運転するクルマとしては難易度が高すぎるといえそうだ。

 マツダのSUVを見ても、CX-30やMX-30はいずれも全長4395mmでギリギリ足らないため、教習車として使えそうなのはCX-5となってしまう。こちらも全幅は1845mmもあるので、やはりワイドすぎるといえる。

 かつて5ナンバーサイズ・セダン「グレイス」をベースにした教習車を用意していたホンダにしても、人気SUVモデルのヴェゼルは全長4330mmと少々足りない。ひとクラス上のZR-Vになれば全長4570mmと条件を満たすが、やはり全幅1840mmというのは広すぎるのだ。

■新型ステップワゴンでもOKだった!!

 ミニバンカテゴリーでいえば、ステップワゴンはボディの見切りがよく、全幅も1750mmとさほど広くない。教習車として使えそうな印象もあるが、全長4800mmと長いのは教習車として考えると大きなウィークポイントだ。

 ホイールベースが基準よりかなり長くなっているのも縦列駐車などの教習プログラムにおける難易度が上がり過ぎるといえそうだ。ちなみにホンダ ステップワゴンAIRは全長4800mm×全幅1750mmでホイールベース2890mm。前トレッドは1485mm。同様のことは、トヨタや日産のMクラスミニバンでもいえる。

 また、ホンダ フリードやトヨタ シエンタといったコンパクトなミニバンでは全長の条件を満たせないため、教習車にすることは難しい。

 現在、教習車を用意していないメーカーでいえば、スバル クロストレックはコンパクトなボディで教習車に向いていそうなサイズ感だが、それでも全幅は1800mmとなっているのは気になるところ。

■サイズに取り回しを考えるとJPNタクシーが最適か!?

教習車といえばコンフォートやクルーなどタクシーに広く使われていたモデルを多数採用していた過去も。となるとJPNタクシーが採用される可能性も!?

 結局、道路交通法で全幅の基準が1690mm以上と定められていることから、5ナンバーサイズのモデルが教習車としてふさわしいということになり、5ナンバーで全長4.4m以上という条件を満たすためにはトランクを持つセダン型になってしまう、というのが実情だろう。

 もしセダン型でない教習車が生まれるとすれば、その有力候補といえるのがトヨタのタクシー専用モデル「JPN TAXI」だ。そもそもフリート向けのモデルという点、ランニングコストに有利なLPG仕様というのは教習所にも向いている。

 さらにいえば全長がギリギリで4.4m以上、全幅も1700mm以下の5ナンバーサイズとなっているのも教習車にふさわしいといえるポイント。ちなみに全長4400mm×全幅1695mmでホイールベース2750mm、前トレッド1485mmと基準に適合するのだ。

 かつて、実質的にトヨタのタクシー向けモデルとなっていた「コンフォート」が全国の自動車学校で教習車として愛用されていた時代がある。その流れを汲んだJPN TAXIであるからして、将来的には教習車として活用されることがあり得るかもしれない。

こんな記事も読まれています

新型プリウス、クラウン、シエンタ、日産サクラで便利に使えるライティングアイテム【特選カーアクセサリー名鑑】
新型プリウス、クラウン、シエンタ、日産サクラで便利に使えるライティングアイテム【特選カーアクセサリー名鑑】
レスポンス
400馬力! スバルの美しすぎる「スポーツクーペ」が凄い! パワフルな「ツインターボ×四輪駆動」搭載! ガバっと開く「斬新ドア」採用した「B11S」とは
400馬力! スバルの美しすぎる「スポーツクーペ」が凄い! パワフルな「ツインターボ×四輪駆動」搭載! ガバっと開く「斬新ドア」採用した「B11S」とは
くるまのニュース
ヨス・フェルスタッペンがオーストリアGPでレッドブルRB8をデモランへ。息子マックスとの”共演”が実現?
ヨス・フェルスタッペンがオーストリアGPでレッドブルRB8をデモランへ。息子マックスとの”共演”が実現?
motorsport.com 日本版
大学への通学2時間でドラテク磨き!「若者のクルマ離れ」がウソのような「軽自動車レース」に青春を捧げた20代男子の英才教育とは
大学への通学2時間でドラテク磨き!「若者のクルマ離れ」がウソのような「軽自動車レース」に青春を捧げた20代男子の英才教育とは
Auto Messe Web
日産ローレルHT2000SGX(昭和47/1972年4月発売・KHC130型)【昭和の名車・完全版ダイジェスト069】
日産ローレルHT2000SGX(昭和47/1972年4月発売・KHC130型)【昭和の名車・完全版ダイジェスト069】
Webモーターマガジン
トヨタ『カローラFX』が米国で登場…現代的でスポーティ
トヨタ『カローラFX』が米国で登場…現代的でスポーティ
レスポンス
日産はレクサスLMよりずっと早く「超VIPミニバン」を作っていた! 「エルグランド・ロイヤルライン」の中身がスゴイぞ!!
日産はレクサスLMよりずっと早く「超VIPミニバン」を作っていた! 「エルグランド・ロイヤルライン」の中身がスゴイぞ!!
WEB CARTOP
サリーン、水素エンジン車でのル・マン復帰を計画中。数年以内にロードカーを生産へ
サリーン、水素エンジン車でのル・マン復帰を計画中。数年以内にロードカーを生産へ
AUTOSPORT web
トヨタがガチで作ったら……想像すると欲しい気がする! なぜトヨタはバカ売れジャンルの「軽自動車」を作らないのか?
トヨタがガチで作ったら……想像すると欲しい気がする! なぜトヨタはバカ売れジャンルの「軽自動車」を作らないのか?
WEB CARTOP
トヨタ「“丸目”商用バン」実車公開! めちゃ「四角い」懐かし系「車中泊」モデル! オシャ内装も魅力的な「Fillmore」がカッコイイ
トヨタ「“丸目”商用バン」実車公開! めちゃ「四角い」懐かし系「車中泊」モデル! オシャ内装も魅力的な「Fillmore」がカッコイイ
くるまのニュース
市販カーナビ最大!アルパイン「11型大画面カーナビ」にトヨタ・ハイエース専用モデルが登場
市販カーナビ最大!アルパイン「11型大画面カーナビ」にトヨタ・ハイエース専用モデルが登場
VAGUE
「台湾の巨匠」ホウ・シャオシェン最後のプロデュース作品『オールド・フォックス 11歳の選択』
「台湾の巨匠」ホウ・シャオシェン最後のプロデュース作品『オールド・フォックス 11歳の選択』
バイクのニュース
フィアット『Nuova 500』モチーフのティッシュケースが登場
フィアット『Nuova 500』モチーフのティッシュケースが登場
レスポンス
まさか!? 4時間セーフティカー&またSCでレースは振り出しに……2号車キャデラックが暫定トップ|ル・マン24時間:18時間経過
まさか!? 4時間セーフティカー&またSCでレースは振り出しに……2号車キャデラックが暫定トップ|ル・マン24時間:18時間経過
motorsport.com 日本版
日産「新型・車中泊“専用”バン」がスゴい! 超オシャレ「上質インテリア」採用! クルマとは思えない斬新「部屋仕様」に大反響
日産「新型・車中泊“専用”バン」がスゴい! 超オシャレ「上質インテリア」採用! クルマとは思えない斬新「部屋仕様」に大反響
くるまのニュース
アウトドアカーはシンプルがいいね! 大容量&車中泊に特化したトヨタ ハイエースがベースのキャンパー
アウトドアカーはシンプルがいいね! 大容量&車中泊に特化したトヨタ ハイエースがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
「ヨシムラ SERT Motul」チームの応援グッズが発売!鈴鹿8耐で身につければ、気合いと楽しさは倍増だ!  
「ヨシムラ SERT Motul」チームの応援グッズが発売!鈴鹿8耐で身につければ、気合いと楽しさは倍増だ!  
モーサイ
今年も猛暑! クルマの熱中症対策グッズは「6月」までに準備すべき理由 昨年は9万人以上が救急搬送されている
今年も猛暑! クルマの熱中症対策グッズは「6月」までに準備すべき理由 昨年は9万人以上が救急搬送されている
Merkmal

みんなのコメント

56件
  • 誰かに乗せてもらうのではなく、
    自分でクルマを運転するって、チャリとは全然違う感覚
    1.7トンもある巨大なモノを他にぶつけないように動かす

    だから基本になる車両感覚を身につけるのに、
    ある程度ノーズとトランクスペースがあった方がいい
    このライターはアホだから何も考えてない
  • いやいや、セダンがクルマとしての基本形であって、いきなりコンパクトのハッチバックモデルで教習を受けると、ラージサイズのモデルに乗り換えるとき大変な思いをする。
    (フランスやイタリア等ヨーロッパの一部ではCセグメントのハッチバックの教習車が多いが。)
    だから、教習を受ける時は前後方確認がしやすいセダンが適している。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村