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新型ゴルフが8世代目で得たものとは? 渡辺敏史が試乗して見極めた“進化の跡”

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新型ゴルフが8世代目で得たものとは? 渡辺敏史が試乗して見極めた“進化の跡”

フォルクスワーゲン ゴルフ

Volkswagen Golf

新型ゴルフが8世代目で得たものとは? 渡辺敏史が試乗して見極めた“進化の跡”

新型ゴルフを取り巻くSUVとEVの趨勢

ベーシックカーとして世界で最も重用されるCセグメントの、揺るぎなきベンチマーク。そんなフォルクスワーゲン・ゴルフの周辺はいま、大きな変化の波の中にある。

理由のひとつはもはや次世代のベーシックカーとしての体も成しつつあるSUVカテゴリーの台頭。もうひとつはCセグメントのトレンドを主導する欧州系ブランドのEVシフトだ。フォルクスワーゲン自身、EVサブブランドとなるIDの第一弾モデル、ID.3を2019年のフランクフルトショーで大々的に発表。そのサイズやデザインは、否応なしに未来のゴルフを窺わせる。

最新デジタルプラットフォームを真っ先に投入

と、そんな微妙な空気の中で発表された8代目。そのフルモデルチェンジにおいて最も特徴的なトピックは、今後のフォルクスワーゲンのモデル群を担うべく完全刷新されたデジタルプラットフォームを市販する初のモデルということになるだろう。

メータークラスターに収まるのはナビゲーションなどの連携に優れた10インチのデジタルインストゥルメント。ゴルフ7では一部グレードに採用されたそれが、ゴルフ8では全車標準化されている。その横に並ぶ、同じく10インチのインフォテインメント用モニターは静電容量式のタッチパネルとなっており、あらかたの車両機能設定はこの内に収められた。

物理スイッチの代わりにAIが出来ること

そして空調の温度調整やオーディオのボリュームなど、最頻度のコントロールは独立してタッチ式のスライダーが画面直下に設けられる。更に下側に目をやれば、物理式のハザードボタンの周囲にドライブモードやADASなど4種のファクターに一気にジャンプできるタッチ式ボタンが配されている。

設定ロジックの集約化に加えてシフトレバーのバイワイヤー化もあって、ゴルフ8の内装は極めてクリーンに纏められることとなった。一方で操作性についてはある程度の階層化が余儀なくされたということもあって、直感的にはいかないところもある。それを補うべく搭載されたのがAIとの対話式となるボイスコミュニケーションシステムだ。目的地の設定や音楽ソースの選択、車内温度の上下やライトのオンオフなどを声で指示できるそれを、フォルクスワーゲンのエンジニアは高齢者にも優しいソリューションとして訴求する。

日本仕様はどうなるのか?

当然といえば当然だが、このインフォテインメント&タッチパネルコントロールのシステムは先に発表されたID.3と同じ仕様だ。が、製品としてはゴルフ8の側が先出しとなる。分母が拡大すればするほど、コスト的にも情報密度や確度的にも有利になるのはこの手のデバイスの常なわけで、恐らくこのデジタルプラットフォームはフォルクスワーゲンのコンベモデルやEVだけでなく、グループブランドの銘柄にも広く採用されることになるだろう。

ちなみにゴルフ8は他にも、スマホのNFC規格を使ってドアロックの開閉を行える機能や、アプリを通じて自らの好みに合わせた車両やインフォテインメントの設定を他のフォルクスワーゲンモデルにも簡単に引き継げる機能、車車間通信によるエマージェンシー情報の共有機能など、ここでは書ききれないほどのトピックが盛り込まれているが、それらのどこまでが日本仕様に採用、搭載されるかは現時点では不明だ。台数規模やインフラの問題などもあって、ローカライズが一筋縄ではいかない作業となることは僕でも承知できる。

ガソリン、ディーゼルともに150psを発揮

それゆえに注目されるのが走りの仕上がりだが、この点においては激変というよりも熟成の道を選んだとみていいだろう。先のデジタルアーキテクチャーの織り込みしろにも配慮しながら進化したMQBモジュールは、サブフレームの構造変更による横力耐性の向上や軽量化も果たしている。が、ホイールベースは先代のまま。寸分たりとも車格を変えたくなかったという良心的な事情もあったというが、ディメンションを決める基本骨格はゴルフ7のそれを受け継いでいることが透けてみえる。

実際の走りにも進化の跡がみてとれるのかといえば、答えはイエスだ。静粛性は一層高まり、振動の伝わり方も一層すっきりとしたものになった。但し試乗車はガソリン(eTSI)、ディーゼル(TDI)共に150psのエンジンを搭載しており、リアサスはマルチリンクを採用。それ以下の出力帯はトーションビームになるが、こちらのライドフィールは未知数だ。タイヤによる乗り心地の変化は割と明快に現れるようで、18インチに比べると17インチの快適性は際立っている。エンジンパワーは、eTSI、TDI共に充分だが、いずれも高回転域での伸び感がやや乏しいのが惜しいところ。但しCd0.275と大きく改善された空力特性もあって、高速域では息詰まることなくと淡々と車速を伸ばしていく。

運転支援システムは飛躍的に向上

ゴルフ8ではADASも大きく進化している。レーンキープアシストの据わりの良さや操舵修正の適切さ、ACCの車間や速度の細やかな制御などは先代のそれとは比較にならないほどだ。もちろんロングドライブではこれらが疲労軽減に大きく役立つことになるだろう。

数多のライバルを向こうに回してなお圧倒的な存在で居続けられるのか、それについてはゴルフとて難しい立場に追い込まれつつあるのも確かだ。が、そんな中でゴルフ8が選んだのがゴリゴリのデジタライズだったというところが面白い。背後に控えるのは世界で最も多様なユーザー層。彼らがゴルフ8をどう判断するかは楽しみでもある。

REPORT/渡辺敏史(Toshifumi WATANABE)

【SPECIFICATIONS】

フォルクスワーゲン ゴルフ 1.5 eTSI

ボディサイズ:全長4284 全幅1789 全高1456mm

ホイールベース:2636mm

エンジン:直列4気筒DOHCターボ+BSG

総排気量:1468cc

最高出力:110kW(150ps)/5000-6000rpm

最大トルク:250Nm/1500-3500rpm
トランスミッション:7速DCT

駆動方式:FWD

サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後マルチリンク

0-100km/h加速:8.5秒

フォルクスワーゲン ゴルフ 2.0 TDI

ボディサイズ:全長4284 全幅1789 全高1456mm

ホイールベース:2636mm

エンジン:直列4気筒DOHCディーゼルターボ

総排気量:1968cc

最高出力:110kW(150ps)/3500-4000rpm

最大トルク:360Nm/1750-3000rpm

トランスミッション:7速DCT

駆動方式:FWD

サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後マルチリンク

0-100km/h加速:8.8秒

【問い合わせ】

フォルクワーゲン カスタマーセンター

TEL 0120-993-199

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みんなのコメント

1件
  • 正常進化だけど、驚くほどじゃない
    インフォテインメント&タッチパネルコントロールを、どう受け止めるか
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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