1台ですべてを極め尽くす、ハイエンド・オールマイティモデル
一時は、統一感はあれどラインナップ内で金太郎飴化が進み、モデル間で見分けにくくなっていたアウディのデザインが、近頃は安心して眺められるというか、良くなったと感じないだろうか?
2014年以降、アウディデザインのヘッドとして指揮を執るマーク・リヒテ。彼の方針が、就任して初のコンセプトカーとして発表された「アウディ・プロローグ」に表されたデザイン・ランゲージであり、それが現行モデルの隅々まで行き渡った証左と言える。
それでも、今回新しいRS6アバントがもたらした驚きは、弟分のRS4アバントより過激なアピアランスに仕上がってきたことだ。兄貴分のクセに大人げないと眉をひそめるか、それでこそRS6アバントだともろ手で賛同するかで言えば、筆者は後者のクチだ。 リヒテ世代のデザイン流儀に従って、サルーンやワゴンでは6角形(SUVモデルなら8角形)をとるワイドなシングルフレームグリルに、クワトロ・スポーツに連なるブリスターフェンダー、リアエンドに向かってなだらかに伸びるルーフライン、フラットなCまたはDピラーは、すぐ見てとれる。
だが、RS6アバントを弟分のRS4アバントより過激に見せるのは、フロント両サイドのエアスクープ。LEDヘッドランプとの位置関係を見れば分かるとおり、かなり外側に寄っている。その穴の背後には水冷式インタークーラーが控え、冷却エアはホイールハウス内へ導かれて、10ポッドキャリパーと440mmもの大径カーボンセラミックディスクという、巨大なフロントブレーキを冷やすのだ。
じつはこの強化ブレーキ自体が130万円のオプション装備なのだが、これまたオプション34万円の10.5J×22インチホイールの内側をみっちりと埋めてくれる様は、数寄者にはたまらないものがある。リヒテは、クワトロという駆動方式をデザインで表現するのに、ただワイドなブリスターフェンダーやエッジを効かせるだけでなく、地面への踏んばりを強調するのが肝心と事あるごとに述べているが、このブレーキ&ホイールのオプションは、ずるいことにまさにそれだ。V8ツインターボとクワトロAWDというパワートレインを積んだ2.2トンものボディの、走る・止まる・曲がるのエクストリームなパフォーマンスぶりが、この足元に表されているのだ。 確かに今次のRS6アバントはベースモデルのA6同様、48VのMHEVや気筒休止システムと組み合わされ、紳士的な側面も抜かりなく磨かれている。街乗りでの軽快な乗り心地や高速巡航でのコースティングの利きは、外観とのギャップに拍子抜けするほどだ。
だが、近頃のニューモデルで、かくもジキルとハイドを演じられる1台も珍しく、後者側のキャラクターへの振れ幅は激しい。
そもそも、V8ツインターボは先代からキャリーオーバーどころか、ボア×ストロークとも86mmにスクエア化された、別物だ。低中速域の、ただでさえ滑らかでトルクフルなところに、踏み込んでタービン過給が加わると、それこそロケットかカタパルトじみた二次曲線的な怒涛の加速が、気が遠くなるほどに続く。上り坂でさえ、タコメーターで言えば6000rpm手前のイエローゾーンを維持しづらい、それほどのパワー感なのだ。一輪あたり均等割りなら150ps/200N・m、前後非対称トルク配分によってはそれ以上だが、それでも予測制御をもこなす最新のクワトロAWDシステムや、DRCと組み合わされれたRSスポーツサスペンションプラスには、難しいタスクではないようだ。
通常モデルより手応えは増しているとはいえ、アウディらしく太すぎない握りのステアリングに、軽やかな操舵感でコーナーのRを難なくなぞっては、爆発的な加速で脱出させる。ストッピングパワーも当然盤石で、過度にノーズダイブしない安定感ごと模範的だ。 ▲48Vマイルドハイブリッドやシリンダーオンデマンド(cod)を組み合わせることで、パワーだけでなく燃費効率も高められているよくRS6アバントは、過激なスポーツワゴンとかワゴンのカタチをしたスーパーカーと形容されるが、それらは過少評価というものだ。
1台ですべてを欲張りに極めるのはホットハッチあたりも同じだが、欧州Eセグは非ショーファードリブンのドライバーズカーとして頂点であることは言うまでもなく、ハイエンド・エクストリーマーAWDとしてRS6アバントは今も先駆であり、独立峰と言える。 文/南陽一浩、写真/柳田由人アウディ RS6アバントの中古車を探す▼検索条件アウディ RS6アバント × 全国【試乗車 諸元・スペック表】●アウディ RS6アバント型式3AA-F2DJPF最小回転半径5.2m駆動方式4WD全長×全幅×全高5m×1.96m×1.49mドア数5ホイールベース2.93mミッション8AT前トレッド/後トレッド1.67m/1.65mAI-SHIFT-室内(全長×全幅×全高)-m×-m×-m4WS◯車両重量2200kgシート列数2最大積載量-kg乗車定員5名車両総重量-kgミッション位置フロア最低地上高0.16mマニュアルモード◯標準色ミトスブラックメタリック、グレイシアホワイトメタリック、デイトナグレーパールエフェクト、フロレットシルバーメタリック、ナバーラブルーメタリック、ナルドグレー、セブリングブラッククリスタルエフェクト、タンゴレッドメタリックオプション色-掲載コメント-型式3AA-F2DJPF駆動方式4WDドア数5ミッション8ATAI-SHIFT-4WS◯標準色ミトスブラックメタリック、グレイシアホワイトメタリック、デイトナグレーパールエフェクト、フロレットシルバーメタリック、ナバーラブルーメタリック、ナルドグレー、セブリングブラッククリスタルエフェクト、タンゴレッドメタリックオプション色-シート列数2乗車定員5名ミッション位置フロアマニュアルモード◯最小回転半径5.2m全長×全幅×全高5m×1.96m×1.49mホイールベース2.93m前トレッド/後トレッド1.67m/1.65m室内(全長×全幅×全高)-m×-m×-m車両重量2200kg最大積載量-kg車両総重量-kg最低地上高0.16m掲載用コメント-エンジン型式DJP環境対策エンジン-種類V型8気筒DOHC使用燃料ハイオク過給器ターボ燃料タンク容量73リットル可変気筒装置◯燃費(10.15モード)-km/L総排気量3996cc燃費(WLTCモード)7.6km/L└市街地:5km/L└郊外:7.9km/L└高速:9.5km/L燃費基準達成-最高出力600ps最大トルク/回転数n・m(kg・m)/rpm800(81.6)/4500エンジン型式DJP種類V型8気筒DOHC過給器ターボ可変気筒装置◯総排気量3996cc最高出力600ps最大トルク/回転数n・m(kg・m)/rpm800(81.6)/4500環境対策エンジン-使用燃料ハイオク燃料タンク容量73リットル燃費(10.15モード)-km/L燃費(WLTCモード)7.6km/L└市街地:5km/L└郊外: 7.9km/L└高速: 9.5km/L燃費基準達成-
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