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619psと103.3kg-mのフラッグシップ BMW iX M60へ試乗 一味違うMのSUV

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619psと103.3kg-mのフラッグシップ BMW iX M60へ試乗 一味違うMのSUV

システム総合で619psと103.3kg-m

BMWの電動SUV、iXにM60が追加された。もはや衝撃的なのは、ルックスだけではなくなった。そのスタイリングの好みには、賛否両論あると思うが。

【画像】600馬力超えの電動SUV BMW iX M60 欧州で競合する同クラス・モデルと比較 全105枚

このM60の場合、搭載される駆動用モーターは2基。システム総合で619psの最高出力と、103.3kg-mという圧巻の最大トルクを生み出す。車重は2584kgもあるが、0-100km/h加速を3.8秒でこなしてしまう。

ちなみに現在のBMWで最もスポーティな純EV、4ドアサルーンのi4 M50より0.1秒短くこなしてしまう。空気抵抗は大きいはずだが。

このiXのフラッグシップは、英国では6月に販売が始まる。そのお値段は、11万6905ポンド(約1870万円)から。iXのxドライブ50 Mスポーツより、約2万ポンド(約320万円)もお高い。その価格上昇へ見合うように、各部に手が加えられている。

iX M60の場合、リアの駆動用モーターは360psを発揮する。xドライブ50のものと比較し、モーター内部のローターが20mm長く、冷却機能も強化されている。インバーターも3相ではなく、6相のものが搭載されているという。

サスペンションは、リアのアンチロールバーが引き締められ、ダンパーのレートは20%増している。エアスプリングとステアリングラックも、正確性と操縦性を向上させるため、僅かに手が加えられたという。

フラッグシップとして能力を高めたiX

ルックスの違いは限定的。ブロンズ色のボディトリムが全体を彩り、21インチのアルミホイールが専用品となる程度。タイヤは4本ともに幅255のピレリ社製だ。

インテリアの変更点はさらに小さい。前後のシートはxドライブ50と同じもの。各部にMのロゴが配されている。

全体的な成り立ちを見ると、iX M60は打倒ランボルギーニ・ウルスを掲げるような、アグレッシブなSUVではない。「M」を冠していても、あくまでもiXのトップグレードとして、能力を高めた純EVといえそうだ。

実際の走りもそんな雰囲気。デフォルトのドライブモードでは、xドライブ50と同じく非常に運転しやすい。ステアリングホイールへ伝わる感触はほぼないが、レシオは自然。ペダルの反応は良好で、運転席からの視界も広く、とても扱いやすい。

103.3kg-mという最大トルクは、メルセデスAMGのV型12気筒ツインターボ・エンジンを搭載した、ハイパーカーのパガーニ・ウアイラより上。だが運転している限り、そんな過激ぶりは微塵も感じさせない。

走行中は、駆動用モーターの仕事量へ同調するように、音楽家のハンス・ジマー氏がデザインしたサウンドが車内へ響く。それも、車内へ穏やかに広がる程度。アクセルペダルを優しく倒している限り、高級リムジンのように上質だ。

好ましい後輪駆動らしいフィーリング

もちろんフラッグシップとして、積極的にも走れる。ドライブモードをスポーツに切り替えると、隠された牙が顕になる。S54直列6気筒エンジンでは叶えられない勢いで、凄まじい加速力が放たれる。ハンス・ジマー氏のサウンドも、迫力を増す。

印象的な加速力を生み出す駆動用モーターだが、BMWらしい特徴といえるのが、高速域になっても勢いが衰えにくいこと。現在の一般的な純EVとは異なる特性だ。

アウトバーンでアクセルペダルを倒し続けると、249km/hのリミッターへ簡単に当たってしまった。もしモーターの回転数制限が解かれれば、300km/h超えも難しくないように思う。

今回はワインディングを攻める機会はなかったものの、能力は充分に高そうだ。i4 M50並みに、機敏にクリアすることはないとしても。

ポルシェ・カイエンの方が、シャシーバランスや操縦性、俊敏性では上にある。しかし、iX M60の後輪駆動らしいフィーリングは好ましい。ボディロールの発生も抑えられ、挙動は一貫しており、不安感はまったくない。

ただし、引き締められた足まわりが、傷んだ英国の一般道で良くない影響を生むことも想像できる。特に日常的な速度域で。改めて実際に確かめてみたい。

洗練され実用的で、安楽に速く走れる

BMW iX M60は、その動力性能の数字ほど攻撃的なSUVではない。引き締められたシャシーによって、目的地までより速く安楽に移動することができる、電動のラグジュアリーSUVだ。

ステアリングホイールの重み付けは軽すぎず、姿勢制御も抑制が効いている。速めのペースで長時間運転しても、思いの外疲れにくい。コンフォート・モードを選べば、上質な空間でゆったりと過ごすこともできる。

一方でiX M60には、内燃エンジンを載せる高性能SUVに匹敵するような、ある種の魅力が足りないようにも感じる。価格に縛られず、速く機敏で大きめのSUVをお探しなら、まだBMWならX5を、ポルシェならカイエンを検討しても良いだろう。

洗練され実用的で、安楽に速く走れる純EV SUVをお考えなら、確かにiXは有力な候補になる。ただし、xドライブ50 Mスポーツでも充分満足できるかもしれない。

BMW iX M60(欧州仕様)のスペック

英国価格:11万6905ポンド(約1870万円)
全長:4953mm
全幅:1967mm
全高:1695mm
最高速度:249km/h(リミッター)
0-100km/h加速:3.8秒
航続距離:500-561km
電費:−
CO2排出量:−
車両重量:2584kg
パワートレイン:ツインAC同期モーター
バッテリー:105.2kWhリチウムイオン(実容量)
最高出力:619ps
最大トルク:103.3kg-m
ギアボックス:シングルスピード・リダクション

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