クレ製氏ちろ円15CV
CLEは、1960年代に彗星のように現れて、消えてしまったフランスのミニカーメーカーだ。シー・エル・イーと呼ぶ人もいるが、私は「クレ」と呼ぶのが正しいと考えている。クレというのはフランス語で鍵(clefもしくはclé)のことで、CLEのロゴマークは、鍵のデザインになっているからだ。
余談だが、フランス在住の日本人の間で有名な小話があって、日本人が外出中に鍵を落としてしまった。そこで大家に鍵を貸してくれと頼んだのだが、フランス語で鍵を何というのかわからない。そこで日本語で「鍵をクレ!」と叫んだら、鍵が差し出されたというものだ。
さて、クレのモデルは、オール・プラスチックで、オールドタイマーのラインアップが充実している。ちょうど同時期に活躍したフランスのサフィールと同じようなラインアップだ。ただ、クレの場合は当時の現代車もラインアップに加えているのが特徴で、シトロエンのDS19やルノーの4CVなどをモデル化している。
写真のシトロエン15CVは、1938年から1955年まで生産された高級車で、後のDSシリーズの前身となるモデルだ。
クレの15CVは、全長が20cm近くあり、おそらく43分の1ではなく35分の1くらいのスケール感だ。その大きさのせいもあるのかもしれないが、大型高級セダンの雰囲気を実によく再現している。
また、プラスチック製のモデルは、経年劣化が激しく、ホイールが溶けてしまったり、ボディが歪んでしまう場合が多いのだが、このモデルは、そうした劣化がいっさい見られない。相当、良質の材料を使い、適切な方法で製造されたのだろう。
クレのモデルは正規ルートでは日本に輸入されておらず、現存するものは極めて少ない。そのためネットオークションに出品されるケースも稀だ。しかし、ミニカーの市場というのは不思議なもので、レア度が高すぎると、コレクターも少なくなってしまう。
写真のモデルは、つい最近ネットオークションで落札したものだが、落札額は、たった530円だった。「これはいいものを見つけた」と思い、それ以降、ネットオークションでクレのモデルを探している。
だが、残念ながら、その後、クレのモデルが出品されたことは一度もない。粘り強く探し続ける以外に、クレを手に入れる方法はなさそうだ。
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それはDSにも受け継がれ、やがてそれをホンダが目をつけて日本法人に何度も足を運んで研究してホンダが特許申請した。