2021年F1第15戦ロシアGPは、予選こそ雨のなかで行われたものの、決勝日はドライコンディションとなった。タイトルを争うマックス・フェルスタッペンはグリッド降格ペナルティにより最後尾からスタート、ルイス・ハミルトンは4番グリッドだ。トップ3にはランド・ノリス、カルロス・サインツ、ジョージ・ラッセルという顔ぶれが並んだ。ロシアGP前半を無線とともに振り返る。
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ラッセル10位「序盤、3番手争いができたことは誇りに思ってもいいだろう」ウイリアムズ/F1第15戦決勝
ロシアGP初日は完全ドライ、ところが2日目は悪天候でFP3が中止され、予選もウエット路面で行われた。そして決勝当日は再びドライコンディションとなったが、レース中の降水確率は70%。波乱の展開が予想された。
ルイス・ハミルトン(メルセデス)の担当エンジニア、ピーター・ボニントンが最新の天気予報を伝えるが、100%の確信はない。
ボノ:レース序盤に雨が来る可能性がある。でも正確な予測は今のところ不可能だ
一方マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)は、パワーユニット交換で最後尾スタートとなった。ピットスタートを選んでセッティングを完全に変える選択肢もあったが、初日ドライ路面の感触で行けると踏んだのか。フロントウイングなど、限られた範囲の変更を行うにとどめた。
ジャンピエロ・ランビアーゼ:フロントウイングはどうだ?
フェルスタッペン:これでいい
フォーメーションラップが始まった。より細かい天候予測が、担当エンジニアのウィル・ジョゼフからポールシッターのランド・ノリス(マクラーレン)に伝えられた。
ジョゼフ:3時5分から15分の間に雨が来る。ただし軽い降りだ。プランAのままで問題ない
予選が雨だったため、決勝スタートでのタイヤは自由に選べる。ノリスはミディアムタイヤを選択した。プランAは17~22周目でハードタイヤに履き替える1回ストップ作戦ということだったのだろう。
ここでフェルスタッペンが、交換したばかりのバッテリーシステムの異常を訴えた。
フェルスタッペン:バッテリーが漏れている。何が起きてるのかわからない
「漏れている」とは、どういう症状だったのか。いずれにしてもステアリング上の操作で元に戻ったのだろう、すぐに「すべて大丈夫だ」と言った。
2番手カルロス・サインツ(フェラーリ)はスタートで出遅れたものの、ターン2までの加速でジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)を抜き返し、さらにフルブレーキングでノリスをかわして先頭に立った。
リカルド・アダミ(→サインツ):いいぞ。タイヤを持たせていくんだ。ランドの後ろはラッセル、ストロール、アロンソ。ハミルトンは6番手だ
正確にはスタート直後のハミルトンはダニエル・リカルド(マクラーレン)、ランス・ストロール(アストンマーティン)に抜かれて7番手まで順位を落とし、6番手に上がったのはフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)を抜いた2周目だった。
心配されたスタート直後の雨は、降りそうにない。7番手から4番手まで順位を上げたストロールに、「コース上でラッセルを抜け」と指示が飛ぶ。
ブラッドリー・ジョイス(→ストロール):雨の確率が下がっている。ラッセルを何とかしろ
上位2台のペースについて行けないラッセルは、5周目には早くもノリスに6秒近い差をつけられていた。1~2秒の間隔でサインツを追うノリス。しかし早くもグリップ不足を訴え始めた。
ノリス:リヤタイヤが厳しい!
一方9番手のエステバン・オコン(アルピーヌ)は、ラッセルを先頭とするDRSトレインの真っ只中にいたものの、先行車の乱流をさほど気にしてないようだった。
ジョシュ・ペケット:前の5台はラッセルに捕まっている。タイヤはどうだ?
オコン:問題ないよ
序盤7周目前後、サインツの担当エンジニア、アダミが指示を出した。
アダミ:プランA+3で行く
ピットインのタイミングを3周遅らせようということか。しかしこの頃からサインツはグレイニング(ささくれ摩耗)に苦しみ、ノリスとの差はあっという間に1秒以内に縮まってしまった。
トム・スタラード(→リカルド):ダニエル、プランBに変えるかもしれない
リカルドの担当エンジニア、スタラードのいう「プランB」とは、2ストップを指すのか。彼らも予想以上にタイヤが保たないことに気づき始めたようだった。それは、ハミルトンも同様だった。
ハミルトン:左フロントにグレイニングができている
11番手まで上がっていたフェルスタッペンがシャルル・ルクレール(フェラーリ)に仕掛けるが、ルクレールに進路を塞がれる。中継映像ではぎりぎり接触していないように見えたが、フェルスタッペンはウイングを踏まれたと感じたようだ。
フェルスタッペン:フロントウイングは大丈夫か? チェックしてくれ!
ランビアーゼ:わかった
幸いダメージはなかったようで、すぐにルクレールをかわしたフェルスタッペンはセバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)も抜き去って、15周目には6番手まで順位を上げた。ハミルトンは、わずか3台前。完全に射程距離圏内だ。
10周目前後、首位サインツを追うノリスが、「左フロントが完全に終わっちゃった」と訴える。前日の雨で路面のラバーが完全に流れたことで、タイヤの保ちは予想以上に悪くなっているようだった。
13周目に3番手ラッセル、そして14周目に首位サインツもピットに向かった。しかしノリスは踏ん張った。2回ストップを示唆していたリカルドもステイアウトしたことで、前戦イタリアGPに続いてマクラーレンが再び1-2体制を構築した。
その後のノリスは、序盤にあれだけ苦しんだことがウソのように、ペースが上がっていった。
ノリス:路面が良くなったことで、デグラデーションを隠してくれてるみたいだ
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(2)に続く
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みんなのコメント
思っていたけどリカルドも同じ技持っていたのね。