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【試乗】新型BMW Z4は、機敏で軽快なフットワークを有するソフトトップ付きロードスター

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【試乗】新型BMW Z4は、機敏で軽快なフットワークを有するソフトトップ付きロードスター

3世代目が発表されたばかりの新型 Z4。このオープン2シーターは従来型とは違い、初代モデルのようにソフトトップルーフを採用することになった。(Motor Magazine 2019年5月号より)

期待と予想を超えた仕上がりの良さに満足
スラリと伸びたノーズに、後輪直前に置かれた2人のための小さなキャビン…E65の7シリーズを筆頭に、手掛ける作品には常に賛否両論が渦巻いたアメリカ人デザイナー、クリス・バングル氏が手腕を振るった、いかにもFRレイアウトの持ち主であることを強調するような大胆デザインのオープンモデル。それが、2002年デビューの初代Z4だった。

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後に4気筒版やクーペも用意されたものの、当初はあくまでも「直6搭載のロードスター」をアピール。今振り返れば恐らくはそんな割り切った設定が、BMWらしい〝走りのFRオープンカー〞という明快さを印象付ける、大きな要因でもあったように思う。

そんな個性の持ち主に、〝屋根が開かないバージョン〞が追加設定されたところまでは想定内。けれども、それが次世代へと進化を遂げる過程で、リトラクタブルハードトップ付きへと変貌を遂げることまで予想できた人は、少なかったのではないだろうか。

冷静に判断すれば、決して多くの販売台数が見込めるわけではないこうしたモデルで2タイプのボディを用意するのは、何とも非効率。「だったら1台で両方を満足させられれば」と考えるのは、無理もない事柄ではあっただろう。

けれども、ヒラリヒラリと身をかわす感覚もZ4の魅力と感じていた初代のユーザーにとって、静かさと豪華さを得た一方で重くなった2代目は〝圏外〞と映った人も少なくなかったはず。

何を隠そう、自分もそんなひとりだった。独創のスタイリングと情感豊かなエンジンフィール、そして軽やかなフットワークに魅せられて初代を手に入れ、気に入って乗っていた身にとって、2代目が〝まったく刺さらない〞モデルであったのは間違いなかった。

ところが、そんな自身をして「今買うならば、718ボクスターではなくて絶対コッチだよ」と、思わせてくれたのが第3世代Z4。初代同様ソフトトップのみを設定するロードスターへと徹し、端的に言って「期待と予想を超える仕上がりだった」ということだ。

トレッド/ホイールベースの黄金比を実現したスタイル
ロングノーズ/ショートデッキのプロポーションは、初代から続く〝Z4らしさ〞を演出する今や重要なZ4のアイコン。一方で、従来型比で全長を伸ばしながら、ホイールベースを短くしたことには驚いた。

結果として、フロントオーバーハングの大きさがやや気になる印象だが、どうやらこれはトレッド/ホイールベースで“黄金比”を求めたことも関係がありそう。新型が、改めて“走り”を追求したディメンジョンと、そう解釈しても良いのかも知れない。

車両重量が従来型を下回ったのは、リトラクタブル式ルーフを廃したことを考えれば「当然」とも受け取れる。が、それでも718ボクスターが1.4トンそこそこを実現していることからすれば、1.5トンを軽々と超えるその値には「もうひと踏ん張りが欲しかった」と思えなくもない。

もっとも、いざスタートをしてみればそんな数値は遠くに吹き飛んでいってしまうのが、M40iに乗っての実際の印象だ。4.5秒という0→100km/h加速の発表データを持ち出すまでもなく、絶対的な加速力も一級のスポーツカーに相応しいもの。が、それ以上に褒め称えたくなったのが、サウンド面も含めてのフィーリングの素晴らしさだ。

アクセルONの瞬間に即座に太いトルクで背中が押される、ターボ付きエンジンのネガを一切感じさせない低回転域の躾ぶりはもとより、回転が高まるにつれてパワフルさが加速度的に増して行く感覚が堪らない。もちろん、直6ならではの“一糸乱れぬ滑らかな回転フィール”は、高回転域に至ってもまったく変わらない。「718ボクスターの4気筒ユニットを敵とはしない」と思えたのは、端的に言ってこうした瞬間だ。

ボディ剛性感は、ルーフを開いても閉じても「ボクスターと同等」という印象。すなわち、オープンモデルとしては事実上“最上級”と受けとれる仕上がりだ。

「しなやか」という表現を使うにはやや抵抗があるが、ヒョコヒョコとした動きを目立たせない予想と期待を上まわる乗り味には、ランフラットではないタイヤが貢献をしている感を強く抱いた。

原点回帰でより一級のスポーツカーへと進化
昨今、BMWはX系に「ランフラットタイヤを上手く履きこなしている」と感心できるモデルが少なくない一方で、インチのランフラットタイヤを装着した新型3シリーズは、残念ながらその“例外”に当たると思っている。

Z4も、前述ボディ剛性感の印象から想像すると、これ以上タイヤの縦バネ定数が上がればボディ振動の減衰が追い付かなくなって、途端にフィーリングが悪化をしそうな予感。これが「ランフラットを履かされなくて良かった」と思える理由なのである。

ルーフの開閉にかかわらず予想以上の容量が確保されたトランクスペースやロードノイズが小さいこと、期待以上に優れた静粛性が実現されるなど、従来型からの乗り換えユーザーも意識したリファインの跡も見られる。

それでも新型で最大の見どころは、何と言ってもスタイリッシュで軽やかに走るソフトトップ付きのロードスターという〝原点回帰〞の精神が突き詰められた点にあると思う。

もちろん、最新の運転支援システムやインターネットとのコネクティビティなど〝時代の要請〞に応えているのも、大いに評価できる点である。それでも、フィーリング面も含めた動力性能が飛び切り優れることに加え、機敏で軽快なフットワークを取り戻したことこそに、初代で受けたのと同様のインパクトが感じられたのである。(文:河村康彦)

■BMW Z4 M40i主要諸元
●全長×全幅×全高=4335×1865×1305mm
●ホイールベース=2470mm
●車両重量=1570g
●エンジン= 直6DOHCターボ
●排気量=2997cc
●最高出力=340ps/7500rpm
●最大トルク=500Nm/1600-4500rpm
●駆動方式=FR
●トランスミッション=8速AT
●価格=835万円(税込)

[ アルバム : 新型BMW Z4の世界 はオリジナルサイトでご覧ください ]

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