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【試乗】AWDとe-BOXERは雪道でも高い安心感を披露! スバル最新SUVを豪雪地帯で試す

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【試乗】AWDとe-BOXERは雪道でも高い安心感を披露! スバル最新SUVを豪雪地帯で試す

 スバルは今4つの4WDシステムを展開する

 スバルは毎年、われわれメディアを冬季の豪雪地域に招待してくれる。その狙いは、スバルのクルマ造りの姿勢にある。机上論ではなく、テストコースではなく、生きた道(実路)でクルマがどう動くかが大事であり、そこを考え、鍛え上げるというもの。人を中心とするクルマ造りのなかで、結果としてシンメトリカルAWDを核に据えた。大事にしたのは、トラクション(駆動力)とアジリティ(俊敏性)そしてスタビリオティ(安定性)だ。

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 今年は山形県でも豪雪地域で知られる大蔵村を拠点に開催。触れたモデルが、フォレスターとXV。それぞれにガソリンとe-BOXERが用意されていたので、雪道での乗り味や特性が狙いとして違うのだろうと深読みしつつ、早速試乗開始……の前に。

 スバルのシンメトリカルAWDを選ぶ方は、4輪駆動の性能にかなりこだわる方も多いと思うので、まず頭で物事を理解する方のために整理しておこう。いまスバルは4つのAWDシステムを持っている。

 まずはハイパワー&ハイトルクにも対応し、ダイレクト感がありスポーティで豪快な走りにも対応するが、スムースさや燃費性能が若干キツいDCCD方式。機械的なトルク感応型LSDと電子制御LSDを組み合わせて使い、全軸41%、後軸59%の前後トルク配分を基本として前後拘束力を調整して路面への駆動トルクを調整するタイプで、WRX STIに使われている。

 ふたつめは、オーソドックスタイプで信頼性があるシンプル構造の、ビスカスLSD付きの機械式センターデフを使用したタイプ。過酷な環境を含め、海外向けXVのMT使用に使われる。

 3つめは、レヴォーグの2Lモデルや、WRX S4に使用され、ダイナミックな味付けが施されているVTD(バリアブル・トルク・ディストリビューション)方式。もっとも機械的に理解し辛いが、まず前軸45%、後軸55%に駆動力を配分する機械的センターデフがある。そのデフケースには複列式の遊星歯車の機構が相まっており、“相方には”には前後の回転差が高まると働き出す油圧式多板クラッチがある。そのクラッチ拘束が強まると、センターデフの45:55の不等分割ギアの効果が薄まるというもの。

 イメージとしては、基本として旋回に優位なリヤ駆動寄りの前後配分が、タイヤが滑ったりすると安定重視に変わっていくもの。もちろんここに姿勢安定のブレーキ制御も相まるのでその特性は自由自在となるが、前後トルク変動に滑らかささを出しながらも、アクティブな効果を期待できる方式であり、ハイパワー対応も容易にできるので、まさにWRX S4のキャラクターにぴったりのAWDシステムなわけだ。

 最後4つめが、今回の車両たちが採用しているアクティブトルクスプリット式。軸重が重くグリップしやすい前輪をメインに駆動させるオーソドックスなタイプでもあるが、軽量かつコンパクト、作動がスムースで、燃費と安定性の両立もできる。前後タイヤの想定以上の回転差(基本前後トルク配分は6:4)を検知すると、多板クラッチがオイル流動によって拘束される。それが強まるほどに、リヤの駆動力が高まるとともに4輪駆動力による安定感が高まるというもの。

 使用するオイルなどでその特性は変えられるし、ブレーキ制御も駆使するので、その味付けは自由自在だし変化が穏やかにできるので、安定性を得るにしても、滑りやすい路面での自然で穏やかな反応が得られるなど、街乗りやお買い物クルマからスポーティドライブ、さらには長距離ドライブでの燃費の良さまで持つ万能的タイプだ。

 ガソリンとハイブリッドでそれぞれの持ち味を体感

 ではXVとフォレスター、それぞれのガソリンとe-BOXERの乗り味について触れていこう。

■全車に共通していること

 安定性と駆動力が高く、雪道がとても走りやすい。とくにハンドルセンター付近の反応に適度な緩さがあり、これが絶えず路面が多少なりとも凸凹している雪路面での過敏な反応を抑えつつ適度な素直さを生み出し、狭い道での雪上でのすれ違い動作などを含めて気苦労するなく走れる。この外乱を的確に吸収する特徴は、サマータイヤからスタッドレスにして、タイヤ全体の剛性、とくにブロック剛性が落ちている影響もあるが、じつはクルマ自体が持っている特性でもある。

 とくにフォレスターはラフロードの荒れた路面など外乱影響を吸収してハンドルに伝えないようにする狙いがあるのか、結果として、夏季路面では微細なハンドル操作自体がクルマに吸収される感覚がある。ハンドルの切り返し操作での正確性を害する場面もあるが、雪道は大の得意といった印象。これを踏まえると正確なハンドリング特性を求めるなら、標準サイズのホイルは冬季用にして、夏用にインチアップサイズを手に入れるのも、乗りこなしとして得策ともいえる。

■フォレスターとXVの違い

 ボディの大きさからくる、意のままに動く感覚や、ボディ四隅にまで意識が届く感覚は当然異なるが、加えて車両重量の違いが大きく乗り味と操作性を左右していた。例えばフォレスターのガソリンモデルは1530kg。XVのガソリンモデルは1440kg。これだけ違ったら、グリップレベルが低い雪道、さらに前述した理由から操作レスポンスが落ちやすい操作性において、90kgの差は大きい。

 乗り換えるとXVの意のまま感がとても光るし、重さが明確に不自由感として出やすい下り坂を要する山道の安心感が大きく違う。ちなみに意のまま感やレスポンスでは軽さが武器になるが、通常時の乗り味は圧倒的にフォレスターだ。やはり軽いXVは、クルマごと路面の凸凹で跳ね上げられ、ヒョコヒョコと動き、フォレスターのようなしっとり上質の落ち着き感は少ない。

■e-BOXER(グレード:アドバンス)とガソリンの違い

 3つ考えるべきことがある。

 ひとつは、フルハイブリッドではなく、加速を陰で“さりげなく”サポートするマイルドハイブリッドがe-BOXERの本質なので、モーターらしいレスポンス良い加速などは、低回転の出足など要所でしか体験できない。とくに高速領域になってしまうと、小さな電動モーターなのでその存在感はなかなか感じられず、排気量を踏まえたら加速が良い? とか燃費が良かったなど、頭で理解する魅力であり直感的に得られる魅力にはなりにくい。なので、まずは街中走行が多い方におすすめである理由がここでひとつできる。

 ふたつめは、前章同様に重さの影響。フォレスターにせよ、XVにせよ、e-BOXERにすると車両重量が110kg増える。これにより乗り味には重厚感がでるが、その分、自由自在感は薄れると捉えた方が良い。もちろん雪面の下り坂の安心感なども変わってくる。

 最後3つめは、コントロール性の違い。重さの違いもあるが、乗り比べたら、明確にフィーリングの取りやすさが違う。ガソリンモデルの方が、いまクルマに何が起きているのかがよくわかり、グリップ限界が近いなどもよくわかり、安心してクルマを信じて走って行ける。もちろん、その先にはスポーティに走れるし、豪快な楽しい走りもある。

 では雪道は絶対にガソリン? となりそうだが、違う。じつはe-BOXERは何が起きているか直感的にはわかりにくい。重さの影響もあるが、不思議と滑らずにグリップするし、不思議なほど旋回中にフロントタイヤが逃げず(回生ブレーキのアンダーステア制御が効いているのか……)旋回もする。不思議と……この表現通り、グリップするからといってそのグリップを信じることができず、豪快に走ることはできないが、滑りにくいのは確かなので街中、お買い物クルマ的な生活に寄り添った実務でのクルマの使い方にはとても適している特性だろう。

■まとめ

 勘違いしてもらいたくないが、スバル車が冬季路面に強いことはクルマ好きなら知っていて当然だろうし、それを前提に今回はXVとフォレスター、そしてe-BOXERとガソリンの違いを明確にしてみた。ご自身のライフスタイルに照らし合わせて、クルマ選びの参考にしていただけたら幸いだ。

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