はじめに
速くアグレッシブなSUVに関して、BMWは遠慮がないという点で、意を唱えようという向きはないだろう。今回テストする、10万8935ポンド(約1788万円)のX7 M60iでさえ、BMWにおいては最速最強のSUVではないのだから。そう、この530psのX7の上には、637psの改良型X5 Mと、さらに662psのM専用モデルであるXMがあるのだ。
しかし、当然ながらX7 M60iの領分は、俊足ぶりや運動性能でBMWの可能性の限界を探るだけではない。限りない実用性や贅沢なまでの快適性も備えていなければならないクルマだ。その点はサルーンの7シリーズに重なるところがある。そこが、競合するほかのパワー至上主義のSUVとは異なる要素だ。
そうなると、主要なライバルはなにか。高価さやニッチぶりから言えば、近いものはけっこうある。まずはレンジローバーだ。オフロードの走破性でもオンロードでの走りの洗練性でも、現在のベンチマークと言える。
しかしながら、Mの文字を冠するBMWとしては、7シーターのX7 M60iはさまざまな相手と鎬を削ることになる。走りについてはポルシェ・カイエンと競り合うことが期待されるし、オールラウンドな使い勝手ではアウディQ7、日々感じる豪華さではメルセデス・ベンツGLSに肩を並べるものが望まれる。
実際、このV8を積むX7のトップモデルは、かなりタフな使命を課されている。はたして、その仕事をうまくこなせるクルマに仕上がっているのだろうか。
意匠と技術 ★★★★★★★★★☆
X7はマイナーチェンジで、上下2分割ヘッドライトを採用したが、基本的な部分は変わっていない。7座仕様を用意するフルサイズSUVであり、BMW最大級のモデルで、6気筒と8気筒をラインナップし、全車に8速ATと可変4WDを組み合わせている。
しかしながら、ヘッドライトや形状変更したキドニーグリル、新規設定されたBMW史上最大の23インチホイール以外にも、意味のある改良が施されている。そのひとつが、48Vマイルドハイブリッドテクノロジーの導入だ。
3.0L直6ガソリンで380psのxドライブ40iとディーゼルで340psのxドライブ40d、そして今回の530psを発生する4.4L V8のM60iに採用された。全モデルともトルクの向上に寄与するが、6気筒モデルでは極低速域のみEV走行が可能だ。
また、比較的地味な話だが、X7 M60iではクロスバンク排気マニフォールドを備えた、Mの新型ユニットであるS68型エンジンの初採用モデルだ。おそらく次期M5には、その改修版が搭載される。
どのモデルにも、トランスファーケース内に収まった電子制御の多板クラッチが搭載され、前後駆動力配分を調整する。ただし、フロントへトルクが送られるのは、リアのトラクションが失われたことを、クルマが感知した場合のみだ。
つまり、X7はほとんどの場合、後輪駆動状態で走行する。M60iには、Mスポーツディファレンシャルが装備され、後輪トラクションを最大化するとともに、スポーツサルーン的な運動性を現実的に可能な限り生み出す。速度感応式パワーステアリングはまた、後輪ステアリングとも協調制御される。
オフロード性能については、駆動系の万能性やアンダーボディの頑丈さでレンジローバーのようにはいかないものの、自動レベリングエアサスペンションには意味をなすだけの車高上昇量がある。同時に、140km/h以上では車高が下がり、ドラッグを軽減する。
内装 ★★★★★★★★★☆
X7に乗り込むと、徹底してスタンドアローンな高級SUVというより、肥大化してリフトアップされた5シリーズという印象のほうが強い。それは、レンジローバーやベントレー・ベンテイガとは違って、ルーツがサルーン系なので、同じ要素が見られるのはしかたないことだ。
とはいえそれは悪い話ではない。現行5シリーズは、考え抜かれたエルゴノミクスとマテリアルのリッチさのみごとなバランスに、いつも衝撃を受ける。X7のエルゴノミクスも同様にすばらしく、質感はさらに引き上げられていて、商品力はさらに高まっている。
レザーはソフトで、興味を惹く操作系は、BMWが長年にわたって磨きをかけてきた実体コントロールデバイスに対抗しうるものだ。日常づかいするクルマとしてX7は、機能性とラグジュアリーさのまさしくスイートスポットを捉えている。ただし、10万8935ポンド(約1788万円)を支払うM60iのオーナーが、もうちょっと個性的なものを求めたとしても無理はない。
あまり好きになれなかったのは、メーターとセンター画面を一体化した曲面ディスプレイを用いる、第8世代のiドライブだ。公正にみれば、この大画面はX7に収まりのいいサイズで、より小型の4シリーズなどで感じる、圧倒的で避けがたいキャビンの支配感はない。
それでも、X7のサイズをもってしても、ちょっとばかり奇妙な存在感があり、レザーに包まれた昔ながらのメーターバイザーを恋しく思わせる。速くて本気のクルマのコクピットに包まれる安心感が、このデザインでは薄まってしまうのだ。控えめながら効果的なインテリア照明でさえ、それを埋め合わせることはできない。
キャパシティについては、やはり広大なものがある。6座のオプションはないが、7座のどこでも快適で、3列とも電動調整とヒーターを備えている。テールゲートは上下分割式で、上下とも電動式だ。
走り ★★★★★★★★☆☆
計測データを見れば、このX7のトップグレードは、単なるM的要素を持ったクルマではなく、正真正銘のMモデルなのではないかと思ってもしかたのないことだ。
満タンにドライバーが乗ると、2750kgを優に超えるが、0−97km/hは4.2秒、161km/hには10.4秒で到達する。この数字は、ほんの1世代前のM5に近い。まるでボンドカーのようなパフォーマンスだ。
中間加速もかなりのもの。キックダウンでの48−113km/hはたったの3.7秒、3速での48−80km/hは2秒ジャストという驚きのスコアで、さらに、5速での129−161km/hは3.9秒だ。
M由来のV8ツインターボは、160km/hに近づいても、かなりの空気抵抗をものともしない力強さを発揮する。もちろん、最近ではハイパフォーマンスSUVが、その巨体を忘れさせるパフォーマンスをみせることに慣れてきているし、客観的な数字はこれまでになかったようなものではない。
おそらく、このX7のスピード感を驚くべきものにしているのは、パフォーマンスそのものが型通りのキャラクターではないことだ。4.4Lのエンジンは、M60i専用のスポーツエキゾーストを備えながらも、トップエンドでの弾けるサウンドは感じられない。
うまくいっているのは、うれしいくらいシャープなスロットルレスポンスだが、これには新型の48Vマイルドハイブリッドシステムが寄与している部分もある。そして、炸裂するトルクがイージーに引き出せるのも理由だ。
この優れたスロットルレスポンスと楽な中間加速に、8気筒の柔和なサウンドが相まって、X7 M60iを心地よいクルマに仕上げている。さらに新型トランスミッションは、ナチュラルで控えめな制御が施され、パドルで特定のギアを選ぶ必要性を感じさせることが滅多にない。
このパワートレインはこの上ないほどなめらかで、ドライバーがその気にならない限りは存在感を示すことがないほどだ。
もしもこれ以上を望むなら、昔からBMWのアキレス腱となっているブレーキの強化だろうか。といっても、性能的に問題があるわけではない。113km/hからの制動に必要な距離は45.2mで、これはポルシェ・カイエン・ターボGTとさほど変わらない。
しかし、重量級モデルにあってほしい、安心感あるカッチリした食いつきはない。また、効き具合に一貫性が薄いので、ペダルでのコントロールがしづらい。ほかを台無しにするようなことではないのだが、この点ではカイエンに大きく後れをとっているのも事実だ。
使い勝手 ★★★★★★★★☆☆
インフォテインメント
BMWのiドライブ8は、機能が充実している上に驚かされるような要素も備える。しかし、従来型ほどは直観的に操作できない。
それは単に、画面上のアイコンが多すぎて、ロータリー式コントローラーでも、タッチ操作でも、やたらスクロールしなければならないから。しかも、画面へ手を伸ばすと、身体が不自然に前傾せざるを得なくなる。
また、エアコン関連の一部の操作がタッチ画面へ移行した。そのため、調整をする際に、視線を路上から外す時間が長くなってしまっている。
とはいうものの、広い曲面ディスプレイはこの上なくシャープで多機能だ。そして、Apple CarPlayやAndroid Autoが、もともとシステムに組み込まれているソフトであるかのように使える。加えて、M60iのオーディオは20スピーカーのバウワース&ウィルキンス・ダイヤモンドサラウンドが標準仕様で、サウンドの明瞭さや深さは際立っている。
さらに注目すべきは、オプションのトラベル&コンフォートシステム。2列目と3列目にUSB−Cポートが多数用意され、前席のヘッドレストにタブレットが設置される。
燈火類
ロービームとハイビームが別モジュールとなったヘッドライトには、マトリックスLEDテクノロジーとコーナリングライト機能を標準装備。みごとな出来栄えで、欠点は見つけられなかった。
ステアリングとペダル
このサイズのクルマとしては、ドライビングポジションはトップレベル。シートは広く、驚くほど低く下げられるが、あまり下げるとこのクルマのキモを外してしまう。ステアリングコラムの調整機能も上々だ。
操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆
重いクルマのハンドリングを軽いクルマのように仕上げるという点で、BMWはこれまで平均以上の仕事をしてみせてきた。それについては、ベストな自動車メーカーと言ってもいいだろう。
M5 CSをドライブすれば、それは誰にでもわかる。スーパーサルーンが、重量を感じさせない元気さと一体感のあるコーナリングを見せるのだから。それはM3コンペティションにも同じことが言える。どちらも大きくて比較的ラグジュアリーなクルマでありながら、チャレンジングな走らせて楽しい道を、じつに生き生きと駆け抜けるのだ。
われわれとしては、X7 M60iのハンドリングが、それらのMモデルと同じレベルだとはいわないが、Mのノウハウを活かし、新型レンジローバーやアウディQ7、メルセデスGLSなどを凌ぐものにはなっている。このクラスのベンチマークであるカイエンさえ危ういのではないかと思わせるほどだ。
となると、このMパフォーマンスのX7がどれくらいよく走るのか、という話になる。物理的な動きに関して言えば、その答えは「ベリーグッド」。しかしながら、リアルな満足感ということになれば、ハイパフォーマンスサルーンには少なからず及ばないところがある。
ほとんどの場合、M60iのシャシーはきっちり整って、安全で自然な走りに徹する。ピッチとロールのみごとな抑えぶりが特徴的に思えることがあり、このコントロール具合が、ステアリングフィールの欠如でコンフィデンスにぽっかり空いた穴を埋めてくれる反面、ドライバーとマシンには距離感が生まれてしまう。
また、大きくて高い位置に積まれたV8がノーズをワイドに引っ張る感覚があるのを否めない。また、これに対してある程度は音スロットルでアジャストできるものの、クルマの質量が大きく、4WDシステムやESCのチューニングがコンサバティブなので、その効果は緩和されてしまう。
そうはいってもコーナリングのバランスは楽しめて、さすがは優れた縦置きエンジンの血統にあると感じさせる一番のポイントとなっている。それでも、一体感を味わえるものにはなっていない。
それでもかなり悪くないように思えるのだが、カイエンの操作に忠実な走りを知ってしまうと、物足りなさを覚えてしまう。X5 Mや、V8のベントレー・ベンテイガと比較しても同じことが言える。
快適性/静粛性 ★★★★★★★★☆☆
7番台のBMWならばいずれも、官能的なレベルの洗練された走りが期待されるが、その点はこのX7も裏切らない。4.4LのV8を積み、サイドウォールの薄い22インチタイヤを履いていてさえ、M60iは静粛性も快適性も、全般にわたる落ち着きぶりも、有り余るほど持ち合わせている。
英国でも最悪の部類に入るような路面も、ほとんどものともせずにいなし、舗装がガタガタのB級道路でさえ、戸惑うようなヘッドトスはほとんど出ない。いったいどうやったら、その気になって走らせてもこれほど背の高いクルマの重心を低く抑えたように感じさせることができるのか。それでいて、目的地まで楽に走りたいときには、力を抜いて高級車らしさも発揮できるのはどういうわけだろうか。
その理由として、ひとつにはエアスプリングの賢明なチューニングもあるが、アクティブスタビライザーの貢献度が高い。その小さいながらも決定的な効果が、なににも増して乗り心地とハンドリングの二律背反を両立している要因だ。
プライマリーライドはどんなときもエクセレント。舗装の穴や路面の波打ちを完全位牌なしきれないことがあるにしても、玉にキズといった程度の些細な問題にすぎない。それより悪いのはバネ下重量だ。ホイールとタイヤのセットは、1本あたり32kgもあるようなのだ。こうしたところは、レンジローバーのほうがうまい。
残念ながら、教会のような静けさという点でも、レンジローバーには及ばない。テストしたのはスポーティではない直6ターボディーゼルだったが、113km/hでの室内騒音は61dBA。同じ速度で今回のX7は、65dBAを計測している。ほかの速度でも、2台の差は同じくらいだ。
とはいえ、それがBMWの評価を下げるようなことはない。このクルマのパフォーマンスと運動性を考えれば、上々の結果だと言える。レンジローバーが例外的によくできているだけなのだ。
購入と維持 ★★★★★★★★☆☆
一般的に競合するプレミアムブランド、それもドイツ勢とガチンコで張り合うモデルを用意しがちなBMWだが、X7のフラッグシップであるM60iはおもしろいことに、独自性の強い立ち位置を打ち出してきた。
ライバルの筆頭はメルセデスのGLSだろう。しかし、ほぼ完璧なV8のキャラクターを存分に味わえなくてもいいので、12万3000ポンド(約2017万円)を超える出費を避けたいというなら、選択肢は直6ディーゼルの400dしかない。
価格的にはポルシェ・カイエン・ターボと同等だが、あちらには3列シートが用意されない。そして、もっとスポーティな方向性を徹底したキャラクターだ。BMW由来のV8を積むレンジローバーも競合モデルとなりうるが、本体価格は13万5000ポンド(約2214万円)ほどに上る。
ダイレクトなライバルと言えそうなのは、アウディSQ7くらいだろう。フル装備のヴォルスプラング仕様でも、M60iより十分に安い。とはいえ、内装の贅沢さや走りのよさでは、BMWの敵ではない。
テスト時の平均燃費は7.3km/Lで、83Lの燃料タンクが満タンでも、計算上の航続距離は600kmちょっと。残価予想は、レンジローバーほど高くはないが、カイエンには勝てる程度にいい。
スペック
レイアウト
X7はBMWのほかのエンジン縦置きモデルと同じく、モジュラープラットフォームのCLARがベース。ツインターボV8は主に駆動力をリアディファレンシャルへ送り、クラッチ式トランスファーボックスが必要に応じてフロントへも分配する。
しかしながら、M60iは通常時には後輪駆動がデフォルト。ディファレンシャルの手動ロック機構は備えていない。
エンジン
駆動方式:フロント縦置き四輪駆動(48V ISG装備)
形式:V型8気筒4395ccツインターボ、ガソリン
ブロック・ヘッド:アルミニウム
ボア×ストローク:φ88.3×89.0mm
圧縮比:10.5:1
バルブ配置:4バルブDOHC
最高出力:530ps/5500~6000rpm
最大トルク:76.5kg-m/1800~4600rpm
エンジン許容回転数:6500rpm
馬力荷重比:204ps/t
トルク荷重比:29.4kg-m/t
エンジン比出力:121ps/L
ボディ/シャシー
全長:5181mm
ホイールベース:3105mm
オーバーハング(前):904mm
オーバーハング(後):1172mm
全幅(ミラー含む):2218mm
全幅(両ドア開き):3800mm
全高:1835mm
全高(テールゲート開き):2175mm
足元長さ(1列目):最大1130mm
足元長さ(2列目):650~770mm
足元長さ(3列目):600~720mm
座面~天井(1列目):最大1090mm
座面~天井(2列目):980mm
座面~天井(3列目):900mm
積載容量:300~2120L
構造:アルミ+スティール、モノコック
車両重量:2600kg(公称値)/-kg(実測値)
抗力係数:0.34
ホイール前/後:9.5Jx22/10.5Jx22
タイヤ前/後:275/40 R22 113Y XL/315/35 ZR22 113Y XL
ピレリPゼロ
スペアタイヤ:なし(ランフラットタイヤ)
変速機
形式:8速AT
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
1速:5.50/7.9
2速:3.52/12.4
3速:2.20/19.8
4速:1.72/25.3
5速:1.30/33.3
6速:1.00/43.5
7速:0.83/52.1
8速:0.64/67.8
最終減速比:3.39:1
燃料消費率
AUTOCAR実測値:消費率
総平均:7.3km/L
ツーリング:10.2km/L
動力性能計測時:3.0km/L
メーカー公表値:消費率
低速(市街地):5.5km/L
中速(郊外):8.5km/L
高速(高速道路):9.6km/L
超高速:8.5km/L
混合:8.2km/L
燃料タンク容量:83L
現実的な航続距離:608km
CO2排出量:276g/km
サスペンション
前:ダブルウィッシュボーン/エアスプリング、アクティブスタビライザー
後:マルチリンク/エアスプリング、アクティブスタビライザー
ステアリング
形式:電動機械式、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:2.3回転
最小回転直径:12.4m
ブレーキ
前:395mm通気冷却式鋳鉄ディスク
後:345mm通気冷却式鋳鉄ディスク
制御装置:ABS、EBD、ブレーキアシスト
ハンドブレーキ:電動、センターコンソールにスイッチ設置
静粛性
アイドリング:38dBA
全開時(4速):84dBA
48km/h走行時:56dBA
80km/h走行時:61dBA
113km/h走行時:65dBA
安全装備
ABS/EBD/ACS/DTC/HDC/TPMS/VTD/ESC
Euro N CAP:テスト未実施
乗員保護性能:成人-%/子供-%
歩行者保護性能:-%
安全補助装置性能:-%
発進加速
テスト条件:乾燥路面/気温10℃
0-30マイル/時(48km/h):1.7秒
0-40(64):2.3秒
0-50(80):3.2秒
0-60(97):4.2秒
0-70(113):5.4秒
0-80(129):6.8秒
0-90(145):8.4秒
0-100(161):10.4秒
0-110(177):12.7秒
0-120(193):15.3秒
0-130(209):18.7秒
0-140(225):22.5秒
0-402m発進加速:12.8秒(到達速度:177.7km/h)
0-1000m発進加速:23.3秒(到達速度:227.1km/h)
ライバルの発進加速ライバルの発進加速
ポルシェ・カイエン・ターボGT(2022年)
テスト条件:乾燥路面/気温18℃
0-30マイル/時(48km/h):1.3秒
0-40(64):1.8秒
0-50(80):2.4秒
0-60(97):3.1秒
0-70(113):4.0秒
0-80(129):5.0秒
0-90(145):6.2秒
0-100(161):7.6秒
0-110(177):9.1秒
0-120(193):11.2秒
0-130(209):13.5秒
0-140(225):16.2秒
0-402m発進加速:11.4秒(到達速度:195.9km/h)
0-1000m発進加速:21.2秒(到達速度:242.7km/h)
中間加速
20-40mph(32-64km/h):1.4秒(2速)/2.1秒(3速)/2.9秒(4速)
30-50(48-80):2.0秒(3速)/2.6秒(4速)/3.6秒(5速)/5.5秒(6速)
40-60(64-97):2.1秒(3速)/2.6秒(4速)/3.4秒(5速)/4.7秒(6速)/6.7秒(7速)
50-70(80-113):2.2秒(3速)/2.6秒(4速)/3.5秒(5速)/4.6秒(6速)/5.8秒(7速)/11.0秒(8速)
60-80(97-129):2.8秒(4速)/3.6秒(5速)/4.7秒(6速)/5.9秒(7速)/9.3秒(8速)
70-90(113-145):3.0秒(4速)/3.6秒(5速)/4.9秒(6速)/6.3秒(7速)/8.9秒(8速)
80-100(129-161):3.9秒(5速)/5.1秒(6速)/6.7秒(7速)/9.7秒(8速)
90-110(145-177):4.3秒(5速)/5.5秒(6速)/7.1秒(7速)
100-120(161-193):4.9秒(5速)/6.0秒(6速)/7.7秒(7速)
110-130(177-209):6.2秒(5速)/6.6秒(6速)
制動距離
テスト条件:乾燥路面/気温10℃
30-0マイル/時(48km/h):8.5m
50-0マイル/時(64km/h):23.5m
70-0マイル/時(80km/h):45.2m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:2.89秒
ライバルの制動距離ポルシェ・カイエン・ターボGT(2022年)
テスト条件:乾燥路面/気温18℃
30-0マイル/時(48km/h):8.3m
50-0マイル/時(64km/h):22.5m
70-0マイル/時(80km/h):44.3m
各ギアの最高速
1速:51.5km/h(6500rpm)
2速:80.5km/h(6500rpm)
3速:128.7km/h(6500rpm)
4速:164.2km/h(6500rpm)
5速:217.3km/h(6500rpm)
6速:249.4km/h(5790rpm)
7速:249.4km/h(4790rpm)
8速(公称値):250.0km/h(3680rpm)
8速・70/80マイル/時(113km/h/129km/h):1662rpm/1889rpm
結論 ★★★★★★★★☆☆
X7ほどの大きなクルマにMの遺伝子を当てはめることには、疑問を感じる読者も多いだろう。しかし、多くのメーカーが証明しているように、現在のマーケットでは大きな意味を持つ。また、このクルマでは、それが現実的なレベルで滅多にないほど成功している。
X7 M60iはさまざまな性質がみごとなバランスをなしている。豪華なファミリーカーであることに主眼を置いたクルマとして、過度にスポーティな走りをすることはなく、それでいてうわべだけではない運動性能の高さを備えているのも間違いない。
カイエンほど走らせ甲斐のあるクルマではないが、運転に満足感はあり、洗練性についてはほかのフルサイズSUVよりかなり上を行っている。キャビンはフル7シーターで、マテリアルの贅沢さはレンジローバーのオーナーでも一目置くレベル。有無を言わさぬオールラウンダーだ。
本格的なオフロードの走破性と、絶対的な乗り心地や静粛性を求めるなら、まだレンジローバーに分があるし、エキサイティングな走りを追求するならポルシェに軍配が上がる。しかし、それらの要素を両立したクルマを望むなら、価格も含めて、X7 M60iは注目すべき選択肢だと言える。
担当テスターのアドバイス
リチャード・レーンマイナーチェンジ前のM50i以上のパワーとトルクを望みたいのは人情というもの。パワーのほうはその通りになったが、トルクの上積みはなかった。とはいえ、正真正銘のMユニットが搭載されたことには満足を覚えるのではないだろうか。
マット・ソーンダースここまでやらなくても、とX7 M60iを切り捨てるのは簡単だ。しかしこれは、全天候型で万能なすばらしい出来の相棒となってくれるクルマだ。ゆったりした性格も、だんだん好きになる。
オプション追加のアドバイス
ホイールは23インチではなく、より小径のものを選びたい。牽引バーは1320ポンド(約22万円)のオプション。コンフォートプラスパッケージは、マッサージ機能付きシートや5ゾーンエアコンなどがセットで3940ポンド(約65万円)。こちらも一行の価値ありだ。
改善してほしいポイント
・ステアリングの手応えには、もっとバリエーションがほしい。
・セカンダリーライドには、もっと磨きをかけていくべきだ。
・X5 45eのようなPHEVを備えていれば、より多くのユーザーにアピールできるはず。航続距離が110km/h以上あれば、EV走行の近い勝手はもっと高まるはずだ。
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