2021年6月4日、トヨタC-HRに追加された特別仕様車「G“Mode-Nero Safety Plus II”」は、マットブラック(つや消しの黒色)塗装のホイールを装着。こうしたマット塗装は、ここ3年ほどの間に高額輸入車を中心として増えている。
そこで、本稿ではC-HRの特別仕様車が登場したことを期に、マット塗装について解説していきたい。
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文/永田恵一、写真/Daimler、BMW、TOYOTA
【画像ギャラリー】新設定のC-HR特別仕様車のホイールにも……流行のマットカラー塗装を見る
■なぜマット塗装は増えてきたのか
限定車ではあるが市販車で初めてマット塗装を採用したアルファロメオ・ブレラ
マット塗装を採用した市販車は、2010年にアルファロメオ ブレラに設定された限定車が世界初で、その後2016年に先代プジョー 208の限定車、2017年にシトロエン DS3の限定車などで採用例があった。
マット塗装を設定するモデルが増え始めたのは冒頭に書いたように2018年あたりからで、その理由としては「高額輸入車のユーザーには個性的なものを求める人も一定数おり、マット塗装はその答えや形のひとつ」といった側面が大きいのだろう。
それまで、マット塗装に近いものでは、ドリフト愛好家などのなかでクルマを艶無しの缶スプレーで塗るといったケースも見られあり、それほど高級なイメージはないのが率直なところだった。
そんなマット塗装が、後述するように現在さまざまな意味で高級なイメージとなっているのは、例えばフェラーリ社創立40周年記念車「F40」のインテリアが、「シンプルかつスパルタンな設えとすることで、レーシングカーの雰囲気をユーザーに楽しんでもらう」という逆転の発想だったことと近いかもしれない。
また、後述するGRヤリスのファーストエディションやC-HRのG“Mode-Nero Safety Plus II”のように、細部をマットブラック塗装とすることで、「わかる人だけがわかる」、さり気ないアクセントとして使う手法もある。
■マット塗装を採用する最新モデルは?
メルセデスベンツ Cクラスのマット塗装色「セレナイトグレーマグノ」
さて、現在マット塗装を設定している主なモデルは【表】のとおり。国産メーカーのトヨタ以外では、メルセデスベンツとBMWなどドイツ勢が多いことがわかる。
そのほか、マット塗装はベントレーやランボルギーニなどにも設定される。
傾向や気付くこととしては、
・主に設定されるのは、やはり1000万円越えの高級輸入車。ただ、普通のメルセデスベンツEクラスやBMW 5シリーズで選べることにも驚く。対照的にメルセデスベンツ SクラスやBMW 7シリーズは、クルマの性格がフォーマルな方向のためなのか設定されない。
・オプション価格が10万円台という意外に安いものもある。
といった点が挙げられる。
【表】現在マット塗装を設定している主なモデル
■クールなマット塗装ながら選ぶ際には覚悟も必要
「フローズンブリリアンホワイト」塗装のBMW 840i グランクーペ
このようにトレンドとなっているマット塗装ながら選ぶには覚悟も必要だ。というのもマット塗装は、オプション価格に加え、手入れなどが非常に大変だからだ。
具体的には、マット塗装はザラザラとしているのでその凹凸にいろいろなものが入り込みやすいこともあり、洗車は小まめに優しい手洗い(洗車機はもちろん、コイン洗車場などの高圧洗浄機もNG)が必要。
また、普通のカーシャンプーがNGなこともある(マット塗装専用のものなら大丈夫だろう)。加えて、コーティングやワックスもNGであり、鳥のフンや白系のボディ色だと水アカも塗装に入り込みやすい。そのため特に前者は素早い除去が必要で、後者は付かないよう小まめに洗車したい。
さらには、雨粒に太陽光が当たってできる雨染みが取れにくい、補修の際の再塗装が非常に大変といったネックもある。手入れに関してはクルマによって異なるところもあるので、説明書を確認して欲しい。
また、筆者の愛車でもあるGRヤリスは、RZハイパフォーマンスのファーストエディションで、細部がマット塗装となっている。ボディに関しては手洗い洗車なので不便はないが、マット塗装のホイールへのブレーキダストの入り込みは、GRヤリスの4WD+ターボはブレーキダストが非常に多いこともあり、強烈だ。
そのため筆者は信頼できるところでボディコーティングをした際にホイールもコーティングしてもらい、水洗いすれば汚れが容易に落ちるようにしている。
つまり、マット塗装のクルマは、地面が舗装された車庫保管の必要性が強く、手入れ&補修が大変=お金が掛かるということだ。そのため、ボディ全体がマット塗装のモデルは基本的に高額車にしかなく、そういったお金を出せる人向けというのもよくわかる。
それだけに新車・中古車ともにマット塗装を選ぶ際には熟考が必要だ。
また、今あるクルマをマット塗装にしたいなら、全塗装だけでなく相応の費用は掛かるが、イザとなったら剥がせるラッピングという手段も考えた方がいいだろう。
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みんなのコメント
維持とお手入れにお金と時間がかかるよなぁ
ボデイこすったら怒られたなw