現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > ジャガー I-PACE 再考。サーキットと峠で試す、デンキ自動車のスポーツ性能

ここから本文です

ジャガー I-PACE 再考。サーキットと峠で試す、デンキ自動車のスポーツ性能

掲載 更新
ジャガー I-PACE 再考。サーキットと峠で試す、デンキ自動車のスポーツ性能

Jaguar I-PACE

ジャガー I ペイス

ジャガー I-PACE 再考。サーキットと峠で試す、デンキ自動車のスポーツ性能

電気自動車に対するジャガーの姿勢

ジャガーにとって初のBEV=フルバッテリーEVは、“PACE(ペイス)”というネーミングからも分かるように、SUVのスタイルをもつモデルとして誕生した。そもそもSUVは、BEVに必要とされる大量のバッテリーを搭載するには最適なスタイルと考えられ、今回試乗した「I-PACE」もまた、フロア下に90kWhの容量をもつリチウムイオンバッテリーが搭載され、WLTCモードで438kmの最大航続距離を可能にする。432個のパウチセルで構成されるバッテリーの総重量は約600kg。それによる重量増は確かにネガティブな要素ではあるが、一方で重心高の低下と前後重量配分を50:50と最適化することができたことは走りに好影響を与えるはずだ。ちなみに車重は2240kgとかなりの重量級ではあるが・・・。

キャブフォワードのデザインはEVだから可能に

I-PACEのボディデザインは、フロントにエンジンを搭載する必要がなくなったこともあり、あらゆるSUVと比較しても個性的なフィニッシュを見せている。とりわけ印象的なのは短いフロントノーズで、キャブフォワードのデザインが実現したこと、そしてルーフラインとウエストラインがリアに向って美しく流れていくことで、ジャガーらしい個性的でスポーティなエクステリアが完成されている。ちなみにこのボディはフレームとともにアルミニウム製とされ、軽量化とともにジャガー車ではかつてないほどの高剛性化を実現しているという。

ホールド性に優れるドライバーズシートに身を委ねると、視界に入り込んでくるのは上段が10インチ、下段が5インチサイズのデュアルタッチスクリーンの「タッチプロデュオ」だ。その操作には下段のパネルではある程度の慣れは必要で、特にドライバーが走行中に目的の画面を呼び出し、それを操作するのは難しい。一方、上段のメーターパネルの視認性は素晴らしく、バッテリー残量や走行可能距離は、ここで常に確認することができし、ナビ画面を同時に表示することもできるなど使い勝手には優れている。

シームレスな加速感はスポーティ!

では、実際の走りはどうか。ジャガーのSUVモデル、F-PACEがそうであったように、このI-PACEもまた、その走りはスポーティでまったく不満はない。いや、むしろアクセルペダルを踏み込んだ瞬間から、感覚的にはまったくタイムラグなく696Nmの最大トルクが発生し、それが4000~5000rpmといった高速域にまでシームレスに続くのだから、体感できる加速感は相当に息が長い。

もちろん市街地などで緩やかにアクセル操作を行えば、I-PACEは実にマナー良く静かに加速し、不快な動きを感じさせることもない。ちなみにI-PACEには「ハイ」と「ロー」の回生ブレーキのモードが用意されており、ハイを選択すればアクセルペダルのみでかなりの範囲で加減速の調節を行うことができる。さらにブレーキペダルを踏み込めば、最大で0.4Gに相当する制動エネルギーが回生され、それはバッテリーに充電される仕組みとなっている。

ホイールベースの長さが効くスポーツ性能

I-PACEに搭載されるモーターは、フロントアクスルとリアアクスルに各々1個。トータルの最高出力は400ps、最大トルクは前でも触れたとおり696Nmというスペックだから、これは2240kgの車重には十分な数字だ。

今回は市街地から高速道路、そしてワインディング、サーキットとさまざまなシチュエーションでその走りを試すことができたが、パフォーマンスとしてはどのステージでも動力性能に不満を感じることはなかった。その中でも印象的だったのはワインディングでの走りで、バッテリーという重量物を低い位置に搭載することで低重心が図られたこと、加えて2990mmという長いホイールベースが設定されたことによる安定感は、市場に数多くあるプレミアムSUVの中でも高く評価すべきだろう。エアサスペンションを装備した試乗車は、その乗り心地も素晴らしかった。

SUVとしての実用性も十分に満足できるものだ。エンジンがなくなったため、フロントには27リットル分のラゲッジスペースが新たに設けられたほか、リアのラゲッジルームは通常時で638リットル、最大時には1435リットルに拡大が可能。充電は7kWh普通充電と50kWhの急速充電(チャデモ)に対応し、0→80%までの充電時間はチャデモで約85分、普通充電では約12.6時間を必要とする。

ジャガーは2020年以降、すべてのモデルを電動化する計画をすでに打ち出している。もちろんそれにはBEVのほかに、PHEV、HVとさまざまな選択肢があるのだろう。加えてフォーミュラEへの参戦など、自動車の電動化にはこれまでも積極的な姿勢を見せてきたジャガー。その技術の積み重ねが評価される時代が、このIペイスを幕開けとしてこれからやってくる。

REPORT/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)

【SPECIFICATION】

ジャガー Iペイス HSE

ボディサイズ:全長4695 全幅1895 全高1565mm

ホイールベース:2990mm

車両重量:2240kg

駆動用バッテリー:リチウムイオン電池

総電圧:388.8V

総電力量:90kWh

最高出力:294kW(400ps)/4250 – 5000rpm

最大トルク:696Nm/1000 – 4000rpm

駆動伝達方式:AWD(前:モーター1基 / 後:モーター1基)

最終減速比:1.000

サスペンション形式:前ダブルウイッシュボーン 後インテグラルリンク

タイヤサイズ(リム幅):前後245/50R20

航続距離(WLTC):438km

0→100km/h加速:4.8秒

車両本体価格:977~1184万円(税込)

【キャンペーン】マイカー・車検月の登録でガソリン・軽油7円/L引きクーポンが全員貰える!

こんな記事も読まれています

マツダの新旗艦『CX-80』、欧州市場に登場…3列シートSUV
マツダの新旗艦『CX-80』、欧州市場に登場…3列シートSUV
レスポンス
いまやその価値5億円!? バブル時代に人気絶頂だった“20世紀最高のスーパーカー” フェラーリ「F40」ってどんなクルマだった?
いまやその価値5億円!? バブル時代に人気絶頂だった“20世紀最高のスーパーカー” フェラーリ「F40」ってどんなクルマだった?
VAGUE
「交差点の中」で信号が赤に! そのまま進んだらNG?「違反」になる可能性は!? うっかり「立ち往生」防止に覚えるべき交通ルールとは
「交差点の中」で信号が赤に! そのまま進んだらNG?「違反」になる可能性は!? うっかり「立ち往生」防止に覚えるべき交通ルールとは
くるまのニュース
開発者に聞いたホンダGB350Cの魅力「外装はほぼ新設計&リアル金属」クラシック感を追求した豪華な作りに注目!
開発者に聞いたホンダGB350Cの魅力「外装はほぼ新設計&リアル金属」クラシック感を追求した豪華な作りに注目!
モーサイ
大型連休に行っておきたい! 都心のオアシスで絶品フルーツティーはいかが?
大型連休に行っておきたい! 都心のオアシスで絶品フルーツティーはいかが?
driver@web
タフさにこだわった DEEN.J × WERA コラボアイテム「電動グリップフィットドライバー」が発売!
タフさにこだわった DEEN.J × WERA コラボアイテム「電動グリップフィットドライバー」が発売!
バイクブロス
SUBARUサンバーを快走仕様!「ワイパーモーター不動からの復活」1
SUBARUサンバーを快走仕様!「ワイパーモーター不動からの復活」1
グーネット
1年以内に発売予定! トヨタが新型BEV「bZ3C」と「bZ3X」を北京モーターショーで世界初公開
1年以内に発売予定! トヨタが新型BEV「bZ3C」と「bZ3X」を北京モーターショーで世界初公開
THE EV TIMES
ハースF1の“持病”タイヤ問題、2024年シーズンで大きく改善も小松代表は「まだ完全には解決できていない」
ハースF1の“持病”タイヤ問題、2024年シーズンで大きく改善も小松代表は「まだ完全には解決できていない」
motorsport.com 日本版
三菱自動車、フィリピンで2023年度の販売台数大幅増加。新型トライトンの投入も後押し
三菱自動車、フィリピンで2023年度の販売台数大幅増加。新型トライトンの投入も後押し
driver@web
国道沿いのコンビニかと思ったら「高速道路PA」だった!? 一般道と“ほぼ一体化” 背景にある“方針転換”
国道沿いのコンビニかと思ったら「高速道路PA」だった!? 一般道と“ほぼ一体化” 背景にある“方針転換”
乗りものニュース
マツダ新型「SUV」世界初公開! 進化した“魂動デザイン”に「カッコよすぎる!」と反響!? 25年に中国で発売
マツダ新型「SUV」世界初公開! 進化した“魂動デザイン”に「カッコよすぎる!」と反響!? 25年に中国で発売
くるまのニュース
【ゴールデンウィーク渋滞予測2024】全国の道路別・渋滞予測まとめ!
【ゴールデンウィーク渋滞予測2024】全国の道路別・渋滞予測まとめ!
くるくら
アニメ『MFゴースト』相葉瞬×GT-Rのマンホールカードが小田原城で配布中! GWは小田原でマンホールめぐりだ!
アニメ『MFゴースト』相葉瞬×GT-Rのマンホールカードが小田原城で配布中! GWは小田原でマンホールめぐりだ!
くるくら
斬新デザインの[新型エクストレイル]爆誕!? ヘッドライトどこなの!? 日産本気のコンセプトカー4台イッキ見【北京ショー】
斬新デザインの[新型エクストレイル]爆誕!? ヘッドライトどこなの!? 日産本気のコンセプトカー4台イッキ見【北京ショー】
ベストカーWeb
日本のショップ「RWB」が手掛けたポルシェ「911」の世界的な評価は? 予想より低い約1800万円でした
日本のショップ「RWB」が手掛けたポルシェ「911」の世界的な評価は? 予想より低い約1800万円でした
Auto Messe Web
トヨタ クラウンエステート【1分で読める国産車解説/2024年最新版】
トヨタ クラウンエステート【1分で読める国産車解説/2024年最新版】
Webモーターマガジン
首都高・アクアラインのGW渋滞、連休後半のピークは5月3日!【ゴールデンウィーク渋滞予測2024】
首都高・アクアラインのGW渋滞、連休後半のピークは5月3日!【ゴールデンウィーク渋滞予測2024】
くるくら

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1517.1万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

336.11050.0万円

中古車を検索
I-PACEの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1517.1万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

336.11050.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村